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溢れ出した想いは止まらない 1
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「んんっーーーぁっぁーー」
荒々しく舌を絡め取られ何も考えられない。
器用に私の口内を犯す伊織くんの舌は私の舌と深く混じり合い、ちゅぱっと卑猥な水音が響く。
雄々しく乱暴なキスかと思いきや、片手は恋人繋ぎで握ったまま私の身体を組み敷き、空いた片手は私の首元に添えられて、その触れ方がとても優しかった。
ずっと秘めてきた想いが爆発しているように無我夢中で私を求めてくれるその姿が嬉しくて、それでいてすごく恥ずかしい。
こんな雄な伊織くんを見たのは初めてで、すごく色っぽかった。
深く混じり合った唇を離すとツーっと私たちの口元に唾液の橋が渡る。
それが濃厚なキスの激しさを物語っており、伊織くんの顔を直視できない。
「目、逸らさないで」
そう言いながら私の頬を自分の方に向かせ、真っ直ぐ見下ろしてくる伊織くんの瞳は私しか映っていなくて、何も言わずとも伊織くんの考えていることが手に取るように分かる。
組み敷かれてただ見つめられているだけなのに私の心臓はたちまち大きく暴れており、今にも口から心臓が飛び出しそうだ。
これからどんなことが起こるのか、さすがに私にも分かる。
私の口元についた唾液を長い指でグッと拭い、そのままその指は首を伝い胸を通り、腰元をいやらしく撫で上げた。
それだけでゾクッと背筋が毛羽立ち、下腹部がキュンと疼いた気がする。
言葉に出さないだけで、私もこの先起こる出来事を期待しているのだろうか。
「俺がしようとしてること、分かるよな?」
「うん⋯⋯」
「いいんだな?」
こんな時にまで伊織くんは優しい。
何も言わずに抱いてくれてもいいのに、ちゃんと私の意思を確認してくれる。
肯定の意味を行動で表すことはすごく恥ずかしいが、今はもっとたくさん伊織くんに触れたい。
バクバクと暴れる心臓を落ち着かせながら、私は静かにうなづいた。
「心春、分かる?」
私の手は伊織くんによって彼の心臓へと引き寄せられ、そこに触れるとバクバクと脈打つ振動が伝わってきた。
緊張してるのは私だけじゃなくて、伊織くんも同じようにドキドキしているんだと分かって少し安心する。
「高校生の時から好きだったんだ。そんな子を今から俺の手で抱くなんて、ドキドキするに決まってる」
「伊織くんもドキドキするんだね」
「俺をなんだと思ってるんだ」
ふわっと笑う伊織くんの顔はやっぱりかっこよくて、一丁前にこの笑顔は私だけのものなんだと小さな独占欲が生まれた。
見下ろす切れ長の二重の瞳も通った鼻筋も、鍛え上げた筋肉質な身体も全てが色っぽい。
「優しくできる自信がない」
「っ!!」
「ずっと好きだったんだ。触れたかったし、めちゃくちゃに抱きたかった。だから優しくしたいのに、気持ちばかり先に出てしまいそうだ」
「伊織くんがそんな素直なんて、驚きだよ」
「心春にだけだ」
こんなふうに真っ直ぐ気持ちを伝えられて嫌な気持ちは全くしなくて、私をそういう対象に見てくれていることが純粋に嬉しい。
好きな人にそう思われることは幸せだった。
その欲望が私だけに向けられることの優越感を感じる。
無口で無愛想な彼の愛が一心に注がれることがこんなにも幸せで嬉しいなんて知らなかった。
「あのね⋯私も伊織くんに触れられるとその、嬉しいよ。ドキドキするけど、嫌じゃなくて、もう少し触れたいな、って⋯」
たくさんの気持ちを教えてくれる伊織くんに対して私は何も伝えていないことに気づき、素直に話してみると明らかに伊織くんの顔が赤くなったのが分かった。
荒々しく舌を絡め取られ何も考えられない。
器用に私の口内を犯す伊織くんの舌は私の舌と深く混じり合い、ちゅぱっと卑猥な水音が響く。
雄々しく乱暴なキスかと思いきや、片手は恋人繋ぎで握ったまま私の身体を組み敷き、空いた片手は私の首元に添えられて、その触れ方がとても優しかった。
ずっと秘めてきた想いが爆発しているように無我夢中で私を求めてくれるその姿が嬉しくて、それでいてすごく恥ずかしい。
こんな雄な伊織くんを見たのは初めてで、すごく色っぽかった。
深く混じり合った唇を離すとツーっと私たちの口元に唾液の橋が渡る。
それが濃厚なキスの激しさを物語っており、伊織くんの顔を直視できない。
「目、逸らさないで」
そう言いながら私の頬を自分の方に向かせ、真っ直ぐ見下ろしてくる伊織くんの瞳は私しか映っていなくて、何も言わずとも伊織くんの考えていることが手に取るように分かる。
組み敷かれてただ見つめられているだけなのに私の心臓はたちまち大きく暴れており、今にも口から心臓が飛び出しそうだ。
これからどんなことが起こるのか、さすがに私にも分かる。
私の口元についた唾液を長い指でグッと拭い、そのままその指は首を伝い胸を通り、腰元をいやらしく撫で上げた。
それだけでゾクッと背筋が毛羽立ち、下腹部がキュンと疼いた気がする。
言葉に出さないだけで、私もこの先起こる出来事を期待しているのだろうか。
「俺がしようとしてること、分かるよな?」
「うん⋯⋯」
「いいんだな?」
こんな時にまで伊織くんは優しい。
何も言わずに抱いてくれてもいいのに、ちゃんと私の意思を確認してくれる。
肯定の意味を行動で表すことはすごく恥ずかしいが、今はもっとたくさん伊織くんに触れたい。
バクバクと暴れる心臓を落ち着かせながら、私は静かにうなづいた。
「心春、分かる?」
私の手は伊織くんによって彼の心臓へと引き寄せられ、そこに触れるとバクバクと脈打つ振動が伝わってきた。
緊張してるのは私だけじゃなくて、伊織くんも同じようにドキドキしているんだと分かって少し安心する。
「高校生の時から好きだったんだ。そんな子を今から俺の手で抱くなんて、ドキドキするに決まってる」
「伊織くんもドキドキするんだね」
「俺をなんだと思ってるんだ」
ふわっと笑う伊織くんの顔はやっぱりかっこよくて、一丁前にこの笑顔は私だけのものなんだと小さな独占欲が生まれた。
見下ろす切れ長の二重の瞳も通った鼻筋も、鍛え上げた筋肉質な身体も全てが色っぽい。
「優しくできる自信がない」
「っ!!」
「ずっと好きだったんだ。触れたかったし、めちゃくちゃに抱きたかった。だから優しくしたいのに、気持ちばかり先に出てしまいそうだ」
「伊織くんがそんな素直なんて、驚きだよ」
「心春にだけだ」
こんなふうに真っ直ぐ気持ちを伝えられて嫌な気持ちは全くしなくて、私をそういう対象に見てくれていることが純粋に嬉しい。
好きな人にそう思われることは幸せだった。
その欲望が私だけに向けられることの優越感を感じる。
無口で無愛想な彼の愛が一心に注がれることがこんなにも幸せで嬉しいなんて知らなかった。
「あのね⋯私も伊織くんに触れられるとその、嬉しいよ。ドキドキするけど、嫌じゃなくて、もう少し触れたいな、って⋯」
たくさんの気持ちを教えてくれる伊織くんに対して私は何も伝えていないことに気づき、素直に話してみると明らかに伊織くんの顔が赤くなったのが分かった。
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