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伊織の隠し事と本音 3
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私の隣で楽しそうに笑いながらディスプレイやパソコンの電源をつける翔くんの笑みは怪しげで不気味だった。
何か面白いことを見つけた子供のような悪い笑みを浮かべている。
「伊織と何かあったでしょ?」
「さすがもう耳に入ってるんだね」
「いやそれがね、これ見てよ」
そう言って私に差し出したスマートフォンの画面には伊織くんとのやり取りが載っていてそこには予想だにしなかった伊織くんのメッセージが送られてきていた。
"心春に嫌われた"
"どうすればいいだろうか"
"やり過ぎたかもしれない"
そんな後悔のようにも捉えられるメッセージが一方的に伊織くんから送られてきていた。
その他の時のやり取りは翔くんのほうが送るボリュームは多いというのに、その時だけは伊織くんが間髪入れずに送ってきているようだ。
「面白いくらいに狼狽えてるね伊織のやつ」
「私のせいなのに⋯」
「あいつがこんなにテンパってるとこ見たの、初めてかもしれない。貴重な伊織の一面だから俺もう楽しくて楽しくて」
くくくっと喉を鳴らしながら笑いを堪える翔くんはすごく悪い顔をしている。
この状況を楽しんでいるようだ。
「心春ちゃんのこととなるとあいつ、てんでダメだからな。高校生で止まってるんだよ思考が」
「いじわるだな~翔くん」
「こんな伊織を見ること一生ないと思うし、貴重だから楽しまないと」
スクリーンショットしよー、と言って翔くんは伊織くんとのトーク画面を写真に撮っていた。
きっと今後伊織くんはずっとこれをからかい続けられるんだろう。
(ご愁傷さまな伊織くん⋯)
「ま、冗談はさておき、伊織がこんなんなるなんてほんとレアだからね。しかも女の子のことで悩んでるなんて初めて見たよ」
「私が一方的に伊織くんに気持ちぶつけちゃったんだよね」
「俺からより伊織から直接聞くのが1番だと思うけど、伊織に期待していいと思うよ」
私が知らない間の時間を翔くんは一緒に過ごしてきたんだと思うと、いろんな一面の伊織くんを翔くんは見てきたんだ。
その彼が言う言葉は信用に値するとは思う。
だけどそれを知ってしまえば、私は伊織くんとこの先も一緒にいられるのだろうか。
聞かないまま契約結婚した妻として隣にいる方がいいんじゃないかとも思ってしまうが、そのままじゃだめだ。
「伊織って心春ちゃんには違うだろうけど、ほんと無口で無愛想でそれでいて心根は優しい。だけどそれだけじゃなくてあいつ意外とヘタレなんだよあんなにかっこいいのに。あ、でもヘタレは心春ちゃん相手だけか」
優しい部分は痛いほど伝わってくるが、ヘタレという部分はまるで自分にも言われているような気がして耳が痛い。
「まぁ多分今回ので覚悟も決めただろうし、心春ちゃんも自分の気持ちと向き合う覚悟決めてみたら?」
翔くんの言葉は意外とすんなり私に落ちてきた。
私の中にある気持ちを翔くんは気づいていて背中を押してくれているんだろう。
同僚もだし親友もだし頼りになる人が多すぎて私はみんなに助けられすぎだ。
「さてさて、一旦話をやめて仕事をしようか」
「そうだね。今は仕事が1番大事!」
いつものように髪を縛りパソコンに向き合う。
作業をしている間だけは余計なことを考えずに済むのがとてもありがたい。
無心になれるプログラミングに私は感謝している。
締切までは順調に進んでいて、私たちのチームは余裕を持ってスケジュールを組んだかいがあった。
仕事をしている間も伊織くんからたまに連絡がやってくる。
どれも私を気にかける言葉ばかりが送られてきた。
"ちゃんと眠れたか?"
"いつ帰ってくる?"
"今日も仕事頑張ろうな"
一方的に出てきたはずなのにどこまでも優しい伊織くんに申し訳なさと共に罪悪感を感じる。
"寧々ちゃんと会ってから帰ろうと思ってるよ"と返信をし、今日も私は定時までしっかりと集中した。
何か面白いことを見つけた子供のような悪い笑みを浮かべている。
「伊織と何かあったでしょ?」
「さすがもう耳に入ってるんだね」
「いやそれがね、これ見てよ」
そう言って私に差し出したスマートフォンの画面には伊織くんとのやり取りが載っていてそこには予想だにしなかった伊織くんのメッセージが送られてきていた。
"心春に嫌われた"
"どうすればいいだろうか"
"やり過ぎたかもしれない"
そんな後悔のようにも捉えられるメッセージが一方的に伊織くんから送られてきていた。
その他の時のやり取りは翔くんのほうが送るボリュームは多いというのに、その時だけは伊織くんが間髪入れずに送ってきているようだ。
「面白いくらいに狼狽えてるね伊織のやつ」
「私のせいなのに⋯」
「あいつがこんなにテンパってるとこ見たの、初めてかもしれない。貴重な伊織の一面だから俺もう楽しくて楽しくて」
くくくっと喉を鳴らしながら笑いを堪える翔くんはすごく悪い顔をしている。
この状況を楽しんでいるようだ。
「心春ちゃんのこととなるとあいつ、てんでダメだからな。高校生で止まってるんだよ思考が」
「いじわるだな~翔くん」
「こんな伊織を見ること一生ないと思うし、貴重だから楽しまないと」
スクリーンショットしよー、と言って翔くんは伊織くんとのトーク画面を写真に撮っていた。
きっと今後伊織くんはずっとこれをからかい続けられるんだろう。
(ご愁傷さまな伊織くん⋯)
「ま、冗談はさておき、伊織がこんなんなるなんてほんとレアだからね。しかも女の子のことで悩んでるなんて初めて見たよ」
「私が一方的に伊織くんに気持ちぶつけちゃったんだよね」
「俺からより伊織から直接聞くのが1番だと思うけど、伊織に期待していいと思うよ」
私が知らない間の時間を翔くんは一緒に過ごしてきたんだと思うと、いろんな一面の伊織くんを翔くんは見てきたんだ。
その彼が言う言葉は信用に値するとは思う。
だけどそれを知ってしまえば、私は伊織くんとこの先も一緒にいられるのだろうか。
聞かないまま契約結婚した妻として隣にいる方がいいんじゃないかとも思ってしまうが、そのままじゃだめだ。
「伊織って心春ちゃんには違うだろうけど、ほんと無口で無愛想でそれでいて心根は優しい。だけどそれだけじゃなくてあいつ意外とヘタレなんだよあんなにかっこいいのに。あ、でもヘタレは心春ちゃん相手だけか」
優しい部分は痛いほど伝わってくるが、ヘタレという部分はまるで自分にも言われているような気がして耳が痛い。
「まぁ多分今回ので覚悟も決めただろうし、心春ちゃんも自分の気持ちと向き合う覚悟決めてみたら?」
翔くんの言葉は意外とすんなり私に落ちてきた。
私の中にある気持ちを翔くんは気づいていて背中を押してくれているんだろう。
同僚もだし親友もだし頼りになる人が多すぎて私はみんなに助けられすぎだ。
「さてさて、一旦話をやめて仕事をしようか」
「そうだね。今は仕事が1番大事!」
いつものように髪を縛りパソコンに向き合う。
作業をしている間だけは余計なことを考えずに済むのがとてもありがたい。
無心になれるプログラミングに私は感謝している。
締切までは順調に進んでいて、私たちのチームは余裕を持ってスケジュールを組んだかいがあった。
仕事をしている間も伊織くんからたまに連絡がやってくる。
どれも私を気にかける言葉ばかりが送られてきた。
"ちゃんと眠れたか?"
"いつ帰ってくる?"
"今日も仕事頑張ろうな"
一方的に出てきたはずなのにどこまでも優しい伊織くんに申し訳なさと共に罪悪感を感じる。
"寧々ちゃんと会ってから帰ろうと思ってるよ"と返信をし、今日も私は定時までしっかりと集中した。
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