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これ以上好きになりたくない 2
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(伊織くんにもちゃんと話さないとな)
そう思い、翔くんが持ってきてくれた飲み物を口に含むと甘さが全体に広がった。
頭を使ったせいか、糖分がいつもよりも染み渡る気がする。
「ちなみに伊織、知ってるよ」
「え??!」
「心春ちゃんが嫌がらせで仕事頼まれたってこと」
「それはまずいな⋯⋯」
「うん。俺もそう思う。伊織かなり怒ってたからね」
「伊織くんが?」
なぜ彼が私のために怒ってくれるのか。
その理由は分からないままだ。
「あいつの本心は直接聞くべきだと思うから何も言わないけど⋯」
「うん⋯⋯」
「大切にされてるねほんとに」
その言葉に無意識に期待してしまう自分がいて、そう思われていることが純粋に嬉しかった。
伊織くんが私を気にかけてくれていることが伝わってくる。
契約結婚した妻だが好きになってしまった以上、想いを留めておくのが難しい現状にそんな言葉を親友である翔くんから言われてしまってはますます想いが強くなってしまう。
「多分今日、2人はこっぴどく絞られると思う牧さんにも」
「そっか」
「元々2人の勤務態度は望ましいものではなかったけど、今回のことが完全にアウトだったね。実質クビかな。伊織も許すつもりなさそうだったし」
「え、クビ⋯⋯」
「うん。心春ちゃんだけじゃなくて、他にも被害者は今までいたんだ。このタイミングになっただけでいずれ同じようになってたさ。それに今回は相手が悪かった。心春ちゃんに手を出したのが運の尽きだったかな」
「そっか⋯⋯クビになるんだ⋯」
「そんだけ伊織の逆鱗に触れちゃったってことかな。まぁもちろんそれだけが原因じゃないけどね」
(伊織くんやりすぎでは⋯⋯)
私としてはクビになるとまでは思っていなくて、厳重注意などで済むかと思っていたがそこまで甘くないようだ。
ありがたい気持ちもありつつも、2人の今後を考えるといたたまれない気持ちにもなる。
気持ちを切り替えて仕事をしても今更遅いということだろう。
私以外にも被害者がいたとのことだったため、そういった人たちのためにもけじめが必要なのかもしれない。
「ちなみにクビの意思を固めたのは⋯?」
「⋯心春ちゃんの予想通りかな?」
(やっぱり伊織くん⋯!)
伊織くんがここまでするなんて。
互いの利益のための結婚のはずなのに、私のためにそこまでする理由が分からない。
さすがにやりすぎではないかとも思うが、助けられたのは事実だ。
きっと私以外の被害者の人たちもこの選択に感謝してるだろうし中にはざまあみろ、と思っている人もいるかもしれない。
翔くんとの会話通りその日、山田さんと高橋さんは牧さんから直々に呼び出されそれぞれ個人的に時間が設けられていた。
その呼び出しはあっという間に噂になり、内容もどこから漏れたか不明だが明らかとなった。
今までも期限厳守のところを平気で遅れてきたり、難しい案件の時には他の人に仕事をやらせていたことがあっという間に広がり2人はとても肩身が狭そうだった。
冷ややかな視線を向けられた2人は身体を小さくさせながら真面目にパソコンと向き合っている。
しかしその表情は青ざめており現実を受け止めきれていないような感じだ。
私はというと通常業務にやっと戻ることができた。
「こはるん、大変だったんですね。私たち全然気づかなくてすみません」
「俺もすみません。今度からは俺たちのことも頼ってくださいね」
「2人とも優しい、ありがとう」
翔くんだけでなく噂、もとい事実を知った尚くんと雛菊ちゃんも優しく私に言葉をかけてくれる。
なんて最高なチームメンバーなんだと改めて実感した。
そう思い、翔くんが持ってきてくれた飲み物を口に含むと甘さが全体に広がった。
頭を使ったせいか、糖分がいつもよりも染み渡る気がする。
「ちなみに伊織、知ってるよ」
「え??!」
「心春ちゃんが嫌がらせで仕事頼まれたってこと」
「それはまずいな⋯⋯」
「うん。俺もそう思う。伊織かなり怒ってたからね」
「伊織くんが?」
なぜ彼が私のために怒ってくれるのか。
その理由は分からないままだ。
「あいつの本心は直接聞くべきだと思うから何も言わないけど⋯」
「うん⋯⋯」
「大切にされてるねほんとに」
その言葉に無意識に期待してしまう自分がいて、そう思われていることが純粋に嬉しかった。
伊織くんが私を気にかけてくれていることが伝わってくる。
契約結婚した妻だが好きになってしまった以上、想いを留めておくのが難しい現状にそんな言葉を親友である翔くんから言われてしまってはますます想いが強くなってしまう。
「多分今日、2人はこっぴどく絞られると思う牧さんにも」
「そっか」
「元々2人の勤務態度は望ましいものではなかったけど、今回のことが完全にアウトだったね。実質クビかな。伊織も許すつもりなさそうだったし」
「え、クビ⋯⋯」
「うん。心春ちゃんだけじゃなくて、他にも被害者は今までいたんだ。このタイミングになっただけでいずれ同じようになってたさ。それに今回は相手が悪かった。心春ちゃんに手を出したのが運の尽きだったかな」
「そっか⋯⋯クビになるんだ⋯」
「そんだけ伊織の逆鱗に触れちゃったってことかな。まぁもちろんそれだけが原因じゃないけどね」
(伊織くんやりすぎでは⋯⋯)
私としてはクビになるとまでは思っていなくて、厳重注意などで済むかと思っていたがそこまで甘くないようだ。
ありがたい気持ちもありつつも、2人の今後を考えるといたたまれない気持ちにもなる。
気持ちを切り替えて仕事をしても今更遅いということだろう。
私以外にも被害者がいたとのことだったため、そういった人たちのためにもけじめが必要なのかもしれない。
「ちなみにクビの意思を固めたのは⋯?」
「⋯心春ちゃんの予想通りかな?」
(やっぱり伊織くん⋯!)
伊織くんがここまでするなんて。
互いの利益のための結婚のはずなのに、私のためにそこまでする理由が分からない。
さすがにやりすぎではないかとも思うが、助けられたのは事実だ。
きっと私以外の被害者の人たちもこの選択に感謝してるだろうし中にはざまあみろ、と思っている人もいるかもしれない。
翔くんとの会話通りその日、山田さんと高橋さんは牧さんから直々に呼び出されそれぞれ個人的に時間が設けられていた。
その呼び出しはあっという間に噂になり、内容もどこから漏れたか不明だが明らかとなった。
今までも期限厳守のところを平気で遅れてきたり、難しい案件の時には他の人に仕事をやらせていたことがあっという間に広がり2人はとても肩身が狭そうだった。
冷ややかな視線を向けられた2人は身体を小さくさせながら真面目にパソコンと向き合っている。
しかしその表情は青ざめており現実を受け止めきれていないような感じだ。
私はというと通常業務にやっと戻ることができた。
「こはるん、大変だったんですね。私たち全然気づかなくてすみません」
「俺もすみません。今度からは俺たちのことも頼ってくださいね」
「2人とも優しい、ありがとう」
翔くんだけでなく噂、もとい事実を知った尚くんと雛菊ちゃんも優しく私に言葉をかけてくれる。
なんて最高なチームメンバーなんだと改めて実感した。
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