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伊織side 〈心春のために〉 4
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「気になることがあって翔だけに話したい」
「心春ちゃんのこと?」
「心春のこと名前で呼ぶなって言ったろ」
「おいおいそんな小さなことで嫉妬するなよな~。チームメンバーのことみんな名前で呼んでるだけだよ」
俺以外の男が心春のことを名前で呼ぶのは気に入らないが、100歩譲って翔ならギリギリ許してもいい。
本当は嫌だが仕方ない。
「心春の仕事の様子はどうだ?」
「直接聞けばいいのに。なに、夫婦ケンカでもした?」
「してない、仲良しに決まってるだろ」
「ごめんごめん。実は俺も少し気になってることがあってさ」
ソファに身体を預けていた翔が前のめりに体重を移し、真剣な顔で俺を見つめる。
そんな顔を見て翔から気になっていることへの有益な情報をもらえると確信した。
「なんか、心春ちゃん嫌がらせとかされてないかなってちょっと心配してて」
「どういうことだ?」
「確認はしてないけど、伊織のことが好きな社員になんか言われたんじゃないかって。会議室で密会してるのを見たんだよ」
「なんでそれを早く言わないんだよ」
心春からは何も聞いていない。
もしかしたら俺には言わず1人で何かを抱えているかもしれないということだ。
心春を困らせることがあるのであれば全てを排除していく必要がある。
俺の全権力を使ってでもやるつもりだ。
「ほら伊織モテモテだからさ、狙ってるやつ多いじゃん。この状況で心春ちゃんが伊織の相手だって知られれば恨まれたり妬まれたりする対象にもちろんなるよなって」
「俺のせいだな」
「まぁそういうことになるね」
「翔たちのチームの仕事はメインキャラクターの動作確認してるんだよな?ホームページの発売までのカウントダウンとか担当してるのは別か?」
「カウントダウンは俺たちのチームの仕事じゃないよ。それがどうかした?」
まさかとは思っていたが俺の中で点と点が線に繋がった気がする。
締切に追われている心春はどうやら自分のチームの作業ではない仕事まで抱えているようで、その締切が1週間後というわけだろう。
締切の話しといい、もしかしたら心春は嫌がらせとして仕事をやらされているのかもしれない。
その懸念点を確実にするために翔に少し調べてもらうことにした。
「頼めるか?」
「まぁ普段伊織はなんもできないもんな。いいよ、ちょっと調べとくわ」
「助かる」
心春の身近には信頼できる翔がいるため少しだけ安心できるが、本当だったら俺がずっと近くにいて守ってやりたい。
だけどそうもいかないのが現実だ。
「今日1日ここにいる日?」
「外には出る予定ない」
「なら分かったら伝えに来るから、大人しく待ってろよ~」
翔はそのまま手のひらをひらひらさせて俺の仕事部屋を出ていった。
彼の調査内容によってはそれなりの判断を下すつもりだ。
その日、俺はいつものようにパソコンに向かって作業をしつつ父である代表取締役の補佐としての仕事をこなす。
俺の仕事は基本的には社長のサポートで事業企画の査定や予算管理、経営方針の決定・実行を主に行っている。
運営系に携わっているため現場で実際プログラミングするのはもうしばらくやっていない。
そのため心春の力には現場でなれないため、別の角度からのアプローチを俺なりにするつもりだ。
翔が再び俺の部屋を訪れたのは夕方のことで、仕事の早い彼は早速情報を持ってきてくれたようだった。
あいつはあんな陽気な性格だが仕事は確実で間違いなく出世していく人間だろう。
「早いな翔」
「そりゃ伊織からの頼みなんだもん。何よりも優先順位上げましたよ」
「助かる。で、どうだった?」
「心春ちゃんのこと?」
「心春のこと名前で呼ぶなって言ったろ」
「おいおいそんな小さなことで嫉妬するなよな~。チームメンバーのことみんな名前で呼んでるだけだよ」
俺以外の男が心春のことを名前で呼ぶのは気に入らないが、100歩譲って翔ならギリギリ許してもいい。
本当は嫌だが仕方ない。
「心春の仕事の様子はどうだ?」
「直接聞けばいいのに。なに、夫婦ケンカでもした?」
「してない、仲良しに決まってるだろ」
「ごめんごめん。実は俺も少し気になってることがあってさ」
ソファに身体を預けていた翔が前のめりに体重を移し、真剣な顔で俺を見つめる。
そんな顔を見て翔から気になっていることへの有益な情報をもらえると確信した。
「なんか、心春ちゃん嫌がらせとかされてないかなってちょっと心配してて」
「どういうことだ?」
「確認はしてないけど、伊織のことが好きな社員になんか言われたんじゃないかって。会議室で密会してるのを見たんだよ」
「なんでそれを早く言わないんだよ」
心春からは何も聞いていない。
もしかしたら俺には言わず1人で何かを抱えているかもしれないということだ。
心春を困らせることがあるのであれば全てを排除していく必要がある。
俺の全権力を使ってでもやるつもりだ。
「ほら伊織モテモテだからさ、狙ってるやつ多いじゃん。この状況で心春ちゃんが伊織の相手だって知られれば恨まれたり妬まれたりする対象にもちろんなるよなって」
「俺のせいだな」
「まぁそういうことになるね」
「翔たちのチームの仕事はメインキャラクターの動作確認してるんだよな?ホームページの発売までのカウントダウンとか担当してるのは別か?」
「カウントダウンは俺たちのチームの仕事じゃないよ。それがどうかした?」
まさかとは思っていたが俺の中で点と点が線に繋がった気がする。
締切に追われている心春はどうやら自分のチームの作業ではない仕事まで抱えているようで、その締切が1週間後というわけだろう。
締切の話しといい、もしかしたら心春は嫌がらせとして仕事をやらされているのかもしれない。
その懸念点を確実にするために翔に少し調べてもらうことにした。
「頼めるか?」
「まぁ普段伊織はなんもできないもんな。いいよ、ちょっと調べとくわ」
「助かる」
心春の身近には信頼できる翔がいるため少しだけ安心できるが、本当だったら俺がずっと近くにいて守ってやりたい。
だけどそうもいかないのが現実だ。
「今日1日ここにいる日?」
「外には出る予定ない」
「なら分かったら伝えに来るから、大人しく待ってろよ~」
翔はそのまま手のひらをひらひらさせて俺の仕事部屋を出ていった。
彼の調査内容によってはそれなりの判断を下すつもりだ。
その日、俺はいつものようにパソコンに向かって作業をしつつ父である代表取締役の補佐としての仕事をこなす。
俺の仕事は基本的には社長のサポートで事業企画の査定や予算管理、経営方針の決定・実行を主に行っている。
運営系に携わっているため現場で実際プログラミングするのはもうしばらくやっていない。
そのため心春の力には現場でなれないため、別の角度からのアプローチを俺なりにするつもりだ。
翔が再び俺の部屋を訪れたのは夕方のことで、仕事の早い彼は早速情報を持ってきてくれたようだった。
あいつはあんな陽気な性格だが仕事は確実で間違いなく出世していく人間だろう。
「早いな翔」
「そりゃ伊織からの頼みなんだもん。何よりも優先順位上げましたよ」
「助かる。で、どうだった?」
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