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伊織side 〈心春のために〉 2
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会社に誘ったことに対して完全に下心がないかと言われれば嘘になるかもしれないが、俺1人で入社を決められる訳ではない。
もちろん人事の人間とも相談した結果で判断している。
プログラミングの能力も申し分ないし人間力としても申し分ないと面談で人事が判断した結果だ。
だが心春のことだからそういった詳細は周りに言わないだろうし、噂ばかりが先走り広がっている状況なのだろう。
ザバッと湯船から上がった俺はラフなスウェットに着替えて濡れた髪をドライヤーで乾かした。
その後、リビングでパソコンを開き調べておきたいことや資料の作成などの準備を軽く進める。
作成に集中している中でふと時間を確認するともうすぐ日付が変わりそうな時間になっていた。
仕事から帰宅し心春が部屋にこもってからだいぶ時間が経つが、リビングに顔を出す気配はない。
さすがにそろそろ寝る準備をしなければ明日も早いため身体に悪いだろう。
様子も見に行きがてらリビングを出て心春の部屋の扉をコンコンとノックをすると中から返事はなかった。
扉の外から名前を呼んでみるものの返事はないためそっと扉を開けて様子を伺う。
「心春入るぞ?」
中に入るとモニターやパソコンが置かれている白いデスクの上で突っ伏している心春の姿が目に入った。
音を立てないようにそっと近づくと画面を開いたままどうやら眠っているようでスースーと小さな寝息が聞こえてくる。
その姿を見るだけで愛しさが込み上げてきた。
顔にかかる髪をそっと指で払い、ふにふにとした柔らかい頬に優しく触れる。
作業中に疲れて眠ってしまったようだ。
やはり最近忙しくてちゃんと眠れていなかったからだろう。
なんとなく開きっぱなしのパソコンを見るとプログラミングの画面と動作確認の画面が開かれていた。
そこでふと疑問に思う。
確か心春たちのチームはメインキャラクターの動作プログラムをしているはずだ。
しかし今広げられている画面はそれとは違って、ホームページに準備されるカウントダウンのプログラミングの言語画面だった。
(なぜ心春がこのプログラミングを?翔はそんな仕事言ってなかったが⋯⋯)
疑問には思ったもの、今は心春を起こして寝かせることを優先させようと思い心春の肩を優しく揺する。
小さく唸って心春は眠そうにゆっくり目を開いた。
「あ、れ⋯⋯伊織くん?」
「こんなとこで寝てたら身体に悪いぞ。お風呂に入ってベッドで一緒に寝よう」
「ん⋯⋯」
虚ろな目で俺を見つめる心春がやけに可愛くて、もっとたくさん触れたい衝動に駆られる。
そんな下心を上手に隠していかにも世話焼きな親切な夫を演じた。
眠そうにあくびをした心春はデータを保存しモニターの電源を消すとゆっくり立ち上がった。
まだボーッとしているのか動作がゆっくりなのがまた愛らしい。
「作業、進んだか?」
「ん、だいぶ。ごめんね起こしてくれてありがとう」
「あの作業も心春の仕事なのか?」
「あ、うん。そうだよ、あと少しで終わりそうだから頑張る」
そっと心春の腰に自然と腕を回し部屋を出るように促す。
心春はそのままお風呂に入っていった。
しばらくリビングで待っているとまだ髪が濡れた状態の心春がお風呂から出てくる。
長い髪からはまだ雫が滴っており、お風呂から出たばかりの頬は赤く火照っていた。
ハーフパンツのパジャマからスラリと覗く太ももがとても色っぽい。
我ながらそんな姿を毎日見ながら手を出さずにいられる自分にあっぱれだと思う。
「あースッキリした!」
「温かい紅茶でも入れるよ」
「え、いいの?ありがとう」
ソファで座る心春のために温かい紅茶を入れるべくキッチンへと立ち上がる。
温かい飲み物は身体を温めてくれるため、きっと心春もぐっすり眠れるはずだ。
もちろん人事の人間とも相談した結果で判断している。
プログラミングの能力も申し分ないし人間力としても申し分ないと面談で人事が判断した結果だ。
だが心春のことだからそういった詳細は周りに言わないだろうし、噂ばかりが先走り広がっている状況なのだろう。
ザバッと湯船から上がった俺はラフなスウェットに着替えて濡れた髪をドライヤーで乾かした。
その後、リビングでパソコンを開き調べておきたいことや資料の作成などの準備を軽く進める。
作成に集中している中でふと時間を確認するともうすぐ日付が変わりそうな時間になっていた。
仕事から帰宅し心春が部屋にこもってからだいぶ時間が経つが、リビングに顔を出す気配はない。
さすがにそろそろ寝る準備をしなければ明日も早いため身体に悪いだろう。
様子も見に行きがてらリビングを出て心春の部屋の扉をコンコンとノックをすると中から返事はなかった。
扉の外から名前を呼んでみるものの返事はないためそっと扉を開けて様子を伺う。
「心春入るぞ?」
中に入るとモニターやパソコンが置かれている白いデスクの上で突っ伏している心春の姿が目に入った。
音を立てないようにそっと近づくと画面を開いたままどうやら眠っているようでスースーと小さな寝息が聞こえてくる。
その姿を見るだけで愛しさが込み上げてきた。
顔にかかる髪をそっと指で払い、ふにふにとした柔らかい頬に優しく触れる。
作業中に疲れて眠ってしまったようだ。
やはり最近忙しくてちゃんと眠れていなかったからだろう。
なんとなく開きっぱなしのパソコンを見るとプログラミングの画面と動作確認の画面が開かれていた。
そこでふと疑問に思う。
確か心春たちのチームはメインキャラクターの動作プログラムをしているはずだ。
しかし今広げられている画面はそれとは違って、ホームページに準備されるカウントダウンのプログラミングの言語画面だった。
(なぜ心春がこのプログラミングを?翔はそんな仕事言ってなかったが⋯⋯)
疑問には思ったもの、今は心春を起こして寝かせることを優先させようと思い心春の肩を優しく揺する。
小さく唸って心春は眠そうにゆっくり目を開いた。
「あ、れ⋯⋯伊織くん?」
「こんなとこで寝てたら身体に悪いぞ。お風呂に入ってベッドで一緒に寝よう」
「ん⋯⋯」
虚ろな目で俺を見つめる心春がやけに可愛くて、もっとたくさん触れたい衝動に駆られる。
そんな下心を上手に隠していかにも世話焼きな親切な夫を演じた。
眠そうにあくびをした心春はデータを保存しモニターの電源を消すとゆっくり立ち上がった。
まだボーッとしているのか動作がゆっくりなのがまた愛らしい。
「作業、進んだか?」
「ん、だいぶ。ごめんね起こしてくれてありがとう」
「あの作業も心春の仕事なのか?」
「あ、うん。そうだよ、あと少しで終わりそうだから頑張る」
そっと心春の腰に自然と腕を回し部屋を出るように促す。
心春はそのままお風呂に入っていった。
しばらくリビングで待っているとまだ髪が濡れた状態の心春がお風呂から出てくる。
長い髪からはまだ雫が滴っており、お風呂から出たばかりの頬は赤く火照っていた。
ハーフパンツのパジャマからスラリと覗く太ももがとても色っぽい。
我ながらそんな姿を毎日見ながら手を出さずにいられる自分にあっぱれだと思う。
「あースッキリした!」
「温かい紅茶でも入れるよ」
「え、いいの?ありがとう」
ソファで座る心春のために温かい紅茶を入れるべくキッチンへと立ち上がる。
温かい飲み物は身体を温めてくれるため、きっと心春もぐっすり眠れるはずだ。
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