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初めてのデート 4
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私の気持ちを知っているわけなんてないのに、どうしてこんなふうに言われて嬉しい言葉をくれるんだろうか。
なんの先入観や決めつけもない純粋な伊織くんの考えが私の心にゆっくりと染み渡る。
「入り切らなくなるって、どんだけプレゼントしてくれるつもりなの」
「俺が満足するまでだ」
握った手がぎゅっと伊織くんに引き寄せられ私の身体が自然と密着した。
そのまま寄り添うように2人で施設内を歩くとあるハイブランドの前で立ち止まる。
伊織くんと一緒じゃなかったら絶対こんな場所で立ち止まらないと思うほど高級なブランドだった。
テレビの中の女優さんなどが身に纏うようなワンピースやドレスなどがたくさん飾られている。
「ここ、見よう」
「えっ、本気?」
「心春に似合いそうなのがたくさんある」
躊躇なくショップの中に足を踏み入れる伊織くんの後をついていくことしかできず、場違い感も否めないため自然と身体が縮こまる。
いつもこんな場所で伊織くんは買い物をしているのだろうか。
中に入ると普段は絶対見ないような華やかなワンピースやスカートなどがたくさん展示されており見るだけで心が満たされる。
ウィンドウショッピングってこうやって楽しむんだな、なんて考えながら伊織くんの後を追った。
「こんなのどうだ?」
「えっ?!!」
伊織くんが手に取ったのは白いノースリーブのワンピースで腰はベルトでぎゅっと絞られており、身体のラインが出るようなタイトめなものだった。
スカートの裾部分には繊細なレースが施してありいかにも高級だと分かる。
ワンピースに触れると生地がとても滑らかで上質なものを使っているのだと素人の私でも分かった。
確かにすごく可愛いけどいつこんな素敵なワンピースを着るんだろう。
「こ、こんなのいつ着るの?」
「心春の好きな時に着ればいいよ」
「いやいや⋯着れないよこんな素敵なの普段は」
「⋯なら、俺と同伴してもらうような会社のパーティー用にどうだ?」
「それなら⋯⋯」
(いや、それでもこんなに高そうなドレスを着るべきなの?!)
自問自答する中で1つ感じたのは契約結婚だろうが、私は現在東雲ホールディングスの一人息子の妻ということ。
そんな彼と同伴するパーティーというのはきっと偉い人たちがたくさんいるはずだ。
そこに出向くとあれば私もそんな彼の隣に立って恥ずかしくない姿でいなければいけないだろう。
安物のドレスを東雲ホールディングスの一人息子が妻に着せているなんて評判にも関わるかもしれない。
そう考えると私はこういうドレスを着るべきなんだろう。
だけどそれでも普段私が買う服とは桁が1桁違うため気が引けるのは事実だ。
「俺はこれを着た心春が見たいけどな」
「そう言ったら私が断れないって分かって言ってるでしょ」
「またバレたか」
冗談ぽく微笑む伊織くんはすごく楽しそうで、その顔を見るとこのまま伊織くんに委ねてもいいかも、と思える。
こんな嬉しそうな顔を見れるなら、私は伊織くんに流されたっていい。
伊織くんは私の腰に手を回し自分に引き寄せると耳元で吐息をかけながら囁く。
その距離感の近さにバクバクと心臓の鼓動が早まり耳が赤くなるのが分かった。
「ファスナー上げるのは俺の役割だからな」
腰に触れる指先がまるでそれを想像させるように私の背中をツーっと撫で、ゾクゾクと身体の芯が痺れ下腹部がキュンと疼いた。
伊織くんが私の背後に回ってこのワンピースのチャックを上げる姿を想像するだけでドキドキしてしまう。
なんの先入観や決めつけもない純粋な伊織くんの考えが私の心にゆっくりと染み渡る。
「入り切らなくなるって、どんだけプレゼントしてくれるつもりなの」
「俺が満足するまでだ」
握った手がぎゅっと伊織くんに引き寄せられ私の身体が自然と密着した。
そのまま寄り添うように2人で施設内を歩くとあるハイブランドの前で立ち止まる。
伊織くんと一緒じゃなかったら絶対こんな場所で立ち止まらないと思うほど高級なブランドだった。
テレビの中の女優さんなどが身に纏うようなワンピースやドレスなどがたくさん飾られている。
「ここ、見よう」
「えっ、本気?」
「心春に似合いそうなのがたくさんある」
躊躇なくショップの中に足を踏み入れる伊織くんの後をついていくことしかできず、場違い感も否めないため自然と身体が縮こまる。
いつもこんな場所で伊織くんは買い物をしているのだろうか。
中に入ると普段は絶対見ないような華やかなワンピースやスカートなどがたくさん展示されており見るだけで心が満たされる。
ウィンドウショッピングってこうやって楽しむんだな、なんて考えながら伊織くんの後を追った。
「こんなのどうだ?」
「えっ?!!」
伊織くんが手に取ったのは白いノースリーブのワンピースで腰はベルトでぎゅっと絞られており、身体のラインが出るようなタイトめなものだった。
スカートの裾部分には繊細なレースが施してありいかにも高級だと分かる。
ワンピースに触れると生地がとても滑らかで上質なものを使っているのだと素人の私でも分かった。
確かにすごく可愛いけどいつこんな素敵なワンピースを着るんだろう。
「こ、こんなのいつ着るの?」
「心春の好きな時に着ればいいよ」
「いやいや⋯着れないよこんな素敵なの普段は」
「⋯なら、俺と同伴してもらうような会社のパーティー用にどうだ?」
「それなら⋯⋯」
(いや、それでもこんなに高そうなドレスを着るべきなの?!)
自問自答する中で1つ感じたのは契約結婚だろうが、私は現在東雲ホールディングスの一人息子の妻ということ。
そんな彼と同伴するパーティーというのはきっと偉い人たちがたくさんいるはずだ。
そこに出向くとあれば私もそんな彼の隣に立って恥ずかしくない姿でいなければいけないだろう。
安物のドレスを東雲ホールディングスの一人息子が妻に着せているなんて評判にも関わるかもしれない。
そう考えると私はこういうドレスを着るべきなんだろう。
だけどそれでも普段私が買う服とは桁が1桁違うため気が引けるのは事実だ。
「俺はこれを着た心春が見たいけどな」
「そう言ったら私が断れないって分かって言ってるでしょ」
「またバレたか」
冗談ぽく微笑む伊織くんはすごく楽しそうで、その顔を見るとこのまま伊織くんに委ねてもいいかも、と思える。
こんな嬉しそうな顔を見れるなら、私は伊織くんに流されたっていい。
伊織くんは私の腰に手を回し自分に引き寄せると耳元で吐息をかけながら囁く。
その距離感の近さにバクバクと心臓の鼓動が早まり耳が赤くなるのが分かった。
「ファスナー上げるのは俺の役割だからな」
腰に触れる指先がまるでそれを想像させるように私の背中をツーっと撫で、ゾクゾクと身体の芯が痺れ下腹部がキュンと疼いた。
伊織くんが私の背後に回ってこのワンピースのチャックを上げる姿を想像するだけでドキドキしてしまう。
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