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夫婦 3
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「ならこれにしよう」
「え、本気?」
「だって心春に似合ってるし可愛いから。それが1番大事だろ」
「でも⋯⋯」
「俺にも似合ってるって言ってくれたし、心春がそう言ってくれたのを俺も着けたい」
お揃いのデザインの結婚指輪は2人合わせて200万弱はするものだ。
それを平気で即決できるところがお金持ちの考えることは分からない。
それになぜだか彼の顔はとても嬉しそうだった。
私が似合うと言った時も小さく微笑んでいたし、これにしようと言った時も愛おしそうに私を見つめてくれていた。
そのまま私は流されるようにとんでもない金額の結婚指輪を購入してもらった。
サイズもお互いピッタリのものがあり、クリーニングで綺麗にしてもらったあと私たちの指に通される。
左手の薬指に輝くキラキラと美しいダイヤモンドの指輪が眩しく、それと同時に重みや責任も感じた。
契約結婚とはいえ、私は今日から彼の妻だ。
お揃いのデザインの指輪が真新しくお互いの薬指に輝く。
ただの契約結婚の妻相手にこんな額をかけてくれるなんていくらなんでも甘すぎやしないかとも思う。
「奥様、とても嬉しそうですね」
「えっ?」
「ご結婚指輪を見つめながらずっと笑顔でしたよ」
「そ、そうでした?」
まさかそんなに笑顔になっていたとは全然気づかなかった。
無意識のうちに結婚指輪を見て微笑んでいたらしい。
意外と私は喜んでいるのだろうか、この愛のない結婚に。
私はただお金に目がくらんでその提案を飲んだに過ぎない。
(まさか、そんなはずはない。喜んでるなんてそんなわけないでしょ⋯)
販売員さんはサービスで空の箱に綺麗にリボンを結んでくれた。
紙袋に入れられたその中身の入ってない箱を受け取った伊織くんは私の左手に指を絡める。
突然手を握られ動揺するものの、夫婦としては当然の行いのため見送ってくれる販売員さんに小さく笑みを浮かべた。
最後に"末永くお幸せに"という言葉をもらったが、私たちの幸せはどこまで続くのだろうか。
そもそもこれがお互いの幸せなのかは誰も分からない。
きっといずれ時間がどうだったのか証明してくれるだろう。
私たちは再び乗ってきたスポーツカーに乗り込んだ。
ハンドルを握る伊織くんの左手には私の結婚指輪と同じデザインの指輪がキラリと輝く。
それを見た途端、一気に夫婦になった実感が湧いてきた。
婚姻届出し、戸籍上でも私は遂に東雲伊織という男の妻になったんだ。
「実感、湧いたか?」
「伊織くんが指輪してるとこ見たら、なんか実感湧いてきた」
「そうか。それは良かった」
「ありがとう。こんなに素敵な結婚指輪買ってくれて」
「いや、俺こそ礼を言わないとだな」
運転しながらのためこちらを彼が向くことはないが、その横顔からでも分かるくらい彼はにこやかに微笑んでいる。
あの、無口で無愛想の東雲くんがこんなふうに笑うなんて知らなかった。
「ありがとな。無謀な俺の提案に乗ってくれて」
「ううん、私こそ。ありがとうその⋯⋯いろいろ」
「いいんだ。家には心春の部屋も準備してる、余ってた部屋があったからな。あとこれは確認だが⋯⋯」
伊織くんの家にはパッと見ただけでも6つの扉があった。
あの家の広さからすると扉の向こうには部屋があってさらに扉を挟んで部屋があってもおかしくない広さだ。
「寝室はどうする?別にするか?」
「えっ」
「え、本気?」
「だって心春に似合ってるし可愛いから。それが1番大事だろ」
「でも⋯⋯」
「俺にも似合ってるって言ってくれたし、心春がそう言ってくれたのを俺も着けたい」
お揃いのデザインの結婚指輪は2人合わせて200万弱はするものだ。
それを平気で即決できるところがお金持ちの考えることは分からない。
それになぜだか彼の顔はとても嬉しそうだった。
私が似合うと言った時も小さく微笑んでいたし、これにしようと言った時も愛おしそうに私を見つめてくれていた。
そのまま私は流されるようにとんでもない金額の結婚指輪を購入してもらった。
サイズもお互いピッタリのものがあり、クリーニングで綺麗にしてもらったあと私たちの指に通される。
左手の薬指に輝くキラキラと美しいダイヤモンドの指輪が眩しく、それと同時に重みや責任も感じた。
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ただの契約結婚の妻相手にこんな額をかけてくれるなんていくらなんでも甘すぎやしないかとも思う。
「奥様、とても嬉しそうですね」
「えっ?」
「ご結婚指輪を見つめながらずっと笑顔でしたよ」
「そ、そうでした?」
まさかそんなに笑顔になっていたとは全然気づかなかった。
無意識のうちに結婚指輪を見て微笑んでいたらしい。
意外と私は喜んでいるのだろうか、この愛のない結婚に。
私はただお金に目がくらんでその提案を飲んだに過ぎない。
(まさか、そんなはずはない。喜んでるなんてそんなわけないでしょ⋯)
販売員さんはサービスで空の箱に綺麗にリボンを結んでくれた。
紙袋に入れられたその中身の入ってない箱を受け取った伊織くんは私の左手に指を絡める。
突然手を握られ動揺するものの、夫婦としては当然の行いのため見送ってくれる販売員さんに小さく笑みを浮かべた。
最後に"末永くお幸せに"という言葉をもらったが、私たちの幸せはどこまで続くのだろうか。
そもそもこれがお互いの幸せなのかは誰も分からない。
きっといずれ時間がどうだったのか証明してくれるだろう。
私たちは再び乗ってきたスポーツカーに乗り込んだ。
ハンドルを握る伊織くんの左手には私の結婚指輪と同じデザインの指輪がキラリと輝く。
それを見た途端、一気に夫婦になった実感が湧いてきた。
婚姻届出し、戸籍上でも私は遂に東雲伊織という男の妻になったんだ。
「実感、湧いたか?」
「伊織くんが指輪してるとこ見たら、なんか実感湧いてきた」
「そうか。それは良かった」
「ありがとう。こんなに素敵な結婚指輪買ってくれて」
「いや、俺こそ礼を言わないとだな」
運転しながらのためこちらを彼が向くことはないが、その横顔からでも分かるくらい彼はにこやかに微笑んでいる。
あの、無口で無愛想の東雲くんがこんなふうに笑うなんて知らなかった。
「ありがとな。無謀な俺の提案に乗ってくれて」
「ううん、私こそ。ありがとうその⋯⋯いろいろ」
「いいんだ。家には心春の部屋も準備してる、余ってた部屋があったからな。あとこれは確認だが⋯⋯」
伊織くんの家にはパッと見ただけでも6つの扉があった。
あの家の広さからすると扉の向こうには部屋があってさらに扉を挟んで部屋があってもおかしくない広さだ。
「寝室はどうする?別にするか?」
「えっ」
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