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27歳、先行き真っ暗 2
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会社から家までは15分ほどのため、いつも運動がてらに歩いて出勤している。
帰りも同じように時間をかけて一人暮らしのアパートへと向かった。
弟は臨床検査技師になるため大学に通っており、その大学の学生寮に住んでいる。
医学系の学校の学費はやはり高く、無職になってしまえば到底払っていくことはできないため早急に仕事を見つける必要がありそうだ。
1人で住む1Kのアパートに着いた私は着ていた服を脱ぎ部屋着に着替え、デスクにノートパソコンを広げ再び仕事を開始する。
作業自体が時間がかかるにも関わらず、その時間に対しての進み具合があまり感じられないのはプログラマーのデメリットの1つかもしれない。
だけど何も考えずに没頭できるのが私は意外と好きだった。
集中しすぎてどのくらい時間が経ったか分からなくなるほど、ノートパソコンに向かい合っていたようで気づけば既に夕方になっており部屋にはオレンジの夕日が差し込んでいる。
喉が渇いたためコーヒーでも入れようと立ち上がるとスマートフォンに着信が入った。
急いでディスプレイを確認するとそこには弟の名前が表示されている。
「もしもし冬麻?どうした?」
『あ、姉ちゃん?今ちょっと時間いい?』
「うん、大丈夫よ」
加賀美冬麻は20歳で私とは少し年の離れた可愛い弟だ。
臨床検査技師になるため日々大学に通い頑張る自慢の弟だった。
『先月バイト代結構入ったから姉ちゃんの口座に入れておいたよ』
「いつも言ってるでしょ?バイト代は何かあった時のためとか、交友関係に使いなさいって」
『その分もちゃんと残してあるから大丈夫だって!』
冬麻は昼は大学で勉強しながら生活費を少しでも稼ぎたいと言って夜は居酒屋でバイトをしている。
きっと私に気を使って少しでも大学の学費を自分で払おうとしてくれているんだと思う。
人のことを大切に思える優しい弟のため、言わないだけでもしかしたら罪悪感を感じさせているのかもしれない。
それでも私は冬麻に好きなことをしてほしかった。
『俺が入れておいたやつ、学費に使ってよ』
「⋯本当に生活は大丈夫なの?」
『学生寮だし大丈夫。めちゃくちゃ使うこともないし、困ってないよ』
冬麻はアルバイトで貯めたお金に余裕がある月はこうして私の口座に入金してくれていた。
主に私が学費を出し、こうして冬麻が入れてくれるお金もたまに充てている。
「冬麻。ありがとね」
『なに言ってんの。俺の方こそじゃん。いつも言ってるけど俺のこと気にしなくていいから付き合ってる人とかいれば遠慮なく結婚するんだよ?』
「彼氏なんていないから。私にとっては冬麻が唯一の家族だよ」
両親は私が16歳、冬麻が9歳の時に離婚しており私たち姉弟は母親に引き取られる。
だけど母は新しい男を見つけてはその人に貢ぐようになり、家にお金はほとんど入れない人だった。
自分のために主にお金を使う人だったため、私たちは学生時代はかなり苦労したと思う。
高校時代はアルバイトを掛け持ちしなんとかギリギリ生活をし、プログラマーになるために家で密かに勉強していた。
もちろん私のアルバイト代だけでは生活なんてできないのは分かっており、父が母に黙って私たちにお金を渡してくれている。
それは今も続いており、普段ほとんど会うことはないが毎月1日、必ず入金してくれていた。
どこかで父も私たちに責任を感じているのかもしれない。
現在父は別の女性と再婚し子供もいる。
それでも私たちの存在を消しきれない父は罪滅ぼしのようにお金として私たちに贖罪しているんだと思う。
だから私には実質弟しか家族はいない。
冬麻だけは私がずっと守っていかなければならない、大切な存在だ。
『夏頃、帰れそうだから。姉ちゃんに会いに帰るね』
「うん待ってる。家、狭いけど」
『もう慣れてるよ。じゃあね』
そう言って冬麻の電話は切れるが、我ながらよくできた弟だと思う。
私と冬麻とたった二人だけの家族だからこそ、弟には幸せに不自由なく生活してほしい。
そのためにも次の就職先を見つけて働かなければならない。
改めて自分の置かれている状況に危機感を覚えた。
帰りも同じように時間をかけて一人暮らしのアパートへと向かった。
弟は臨床検査技師になるため大学に通っており、その大学の学生寮に住んでいる。
医学系の学校の学費はやはり高く、無職になってしまえば到底払っていくことはできないため早急に仕事を見つける必要がありそうだ。
1人で住む1Kのアパートに着いた私は着ていた服を脱ぎ部屋着に着替え、デスクにノートパソコンを広げ再び仕事を開始する。
作業自体が時間がかかるにも関わらず、その時間に対しての進み具合があまり感じられないのはプログラマーのデメリットの1つかもしれない。
だけど何も考えずに没頭できるのが私は意外と好きだった。
集中しすぎてどのくらい時間が経ったか分からなくなるほど、ノートパソコンに向かい合っていたようで気づけば既に夕方になっており部屋にはオレンジの夕日が差し込んでいる。
喉が渇いたためコーヒーでも入れようと立ち上がるとスマートフォンに着信が入った。
急いでディスプレイを確認するとそこには弟の名前が表示されている。
「もしもし冬麻?どうした?」
『あ、姉ちゃん?今ちょっと時間いい?』
「うん、大丈夫よ」
加賀美冬麻は20歳で私とは少し年の離れた可愛い弟だ。
臨床検査技師になるため日々大学に通い頑張る自慢の弟だった。
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「いつも言ってるでしょ?バイト代は何かあった時のためとか、交友関係に使いなさいって」
『その分もちゃんと残してあるから大丈夫だって!』
冬麻は昼は大学で勉強しながら生活費を少しでも稼ぎたいと言って夜は居酒屋でバイトをしている。
きっと私に気を使って少しでも大学の学費を自分で払おうとしてくれているんだと思う。
人のことを大切に思える優しい弟のため、言わないだけでもしかしたら罪悪感を感じさせているのかもしれない。
それでも私は冬麻に好きなことをしてほしかった。
『俺が入れておいたやつ、学費に使ってよ』
「⋯本当に生活は大丈夫なの?」
『学生寮だし大丈夫。めちゃくちゃ使うこともないし、困ってないよ』
冬麻はアルバイトで貯めたお金に余裕がある月はこうして私の口座に入金してくれていた。
主に私が学費を出し、こうして冬麻が入れてくれるお金もたまに充てている。
「冬麻。ありがとね」
『なに言ってんの。俺の方こそじゃん。いつも言ってるけど俺のこと気にしなくていいから付き合ってる人とかいれば遠慮なく結婚するんだよ?』
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両親は私が16歳、冬麻が9歳の時に離婚しており私たち姉弟は母親に引き取られる。
だけど母は新しい男を見つけてはその人に貢ぐようになり、家にお金はほとんど入れない人だった。
自分のために主にお金を使う人だったため、私たちは学生時代はかなり苦労したと思う。
高校時代はアルバイトを掛け持ちしなんとかギリギリ生活をし、プログラマーになるために家で密かに勉強していた。
もちろん私のアルバイト代だけでは生活なんてできないのは分かっており、父が母に黙って私たちにお金を渡してくれている。
それは今も続いており、普段ほとんど会うことはないが毎月1日、必ず入金してくれていた。
どこかで父も私たちに責任を感じているのかもしれない。
現在父は別の女性と再婚し子供もいる。
それでも私たちの存在を消しきれない父は罪滅ぼしのようにお金として私たちに贖罪しているんだと思う。
だから私には実質弟しか家族はいない。
冬麻だけは私がずっと守っていかなければならない、大切な存在だ。
『夏頃、帰れそうだから。姉ちゃんに会いに帰るね』
「うん待ってる。家、狭いけど」
『もう慣れてるよ。じゃあね』
そう言って冬麻の電話は切れるが、我ながらよくできた弟だと思う。
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