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第7話 ラマナス海洋国家史(3)
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ここにおいて世界中の誰もがすぐにラマナスは中国共産党政府の手に落ち、この騒動もこのまま終わるものと思っていた。当事者である人民解放軍の兵士さえ誰もがこれは演習と同じく、ただ単純に命令をこなすだけの作業と思っていた。そして、自分たちが手にかける事になる哀れなラマナス側の人間を少々憐れむ余裕を持つ程だった。
しかしである。その数分後、世界中を驚愕に陥れる事態が発生した。そしてのちのこの日、2027年2月14日は『戦慄のバレンタインデー』と呼ばれ、地球の歴史が変わった日として永遠に歴史に刻まれる事となる。
それは何の前触れもなく始まった。
エドワード島すぐ傍の海域から突如、無数の小型ミサイルが轟音を立てて海面を突き破り天に向けて飛び立った。無数、そう、まさにそれは無数だった。かつて誰も見た事のない程の途方もない数のミサイルが海面から真上に向かって発射されたのだ。
そして、一度天空高く舞い上がった無数のミサイルは、突如、その半数が方向を180度変え扇状に広がりながら再び海面へその進行方向を変えた。そして、その落下位置には人民解放軍のラマナス制圧艦隊があった。発射された半数とは言え、今や雨と表現するにふさわしい程の数となっていたミサイルの一軍は完全に人民解放軍の艦隊すべてを覆いつくす量と広がりを持っていた。
ミサイルの接近を探知した艦隊は直ちに迎撃措置に入った。迎撃ミサイル、さらにはファランクス、艦の持つ迎撃能力のすべてをつぎ込んでミサイルの迎撃に掛かった。一部、旧式の艦艇は仕方ないにしても、最新鋭のイージス艦の能力なら例え落下してくるミサイルが多くとも対応できると人民解放軍の指揮官は思った。
しかし、驚くべきことにラマナス側から発射された全てのミサイルは迎撃ミサイルを巧みに避けただけでなく、近接信管で爆発した爆風の中をまるで何もなかったかの様に真っ直ぐ突っ切って落下を続けた。さらには艦艇に取り付けられ艦艇防御の最終砦であるファランクスの20mmガドリング砲が打ち出す毎分3000発もの弾丸の嵐をまったく無視して人民解放軍の艦艇に襲い掛かった。
途中、軌道を180度下方に変えたミサイル以外の残り半数はそのまま緩やかにその軌道を90度近く変えほぼ水平飛行へと変わっていた。
こちらは、そのままエドワード島に迫る爆撃機とその護衛に付く戦闘機の大編隊へ向かって行った。こちらも扇状に広がりその大編隊を包み込む様な規模で進んで行った。
こちらも当然、迎撃のミサイルを発射し、追尾を混乱させるチャフやフレアを放出していた。
しかし、艦隊へ向かったミサイル同様に、人民解放軍の機体が取った防衛策はそれが存在しなかったかの様にまったく機能しなかった。
エドワード島近海の海からミサイル軍が現れて数分の後、すべてが決していた。人民解放軍のすべての艦艇と航空機が姿を消したのだ。そう消えたのだ。撃墜や沈没と言う生易しいものではなかった。そのミサイルが命中した途端、その対象物は目もくらむ閃光と共にまるで蒸発するかの様に消えたのだ。航空機なら大型の爆撃機でも一発。巨大な空母すら二、三発でそのすべてが消失した。特に空母に関しては、時間差でミサイルが命中すると命中した部分、全体の約1/3がまるでえぐり取られたかの様に消失した。
そのあまりに常識外れな破壊力に、その光景を何らかの方法で見ていた者は皆、恐怖した。
それでも、この時点で実際には人民解放軍の戦力すべてが消失訳ではなかった。海面下に潜む攻撃型潜水艦が数隻、まだ無傷で生き残っていたのだ。彼らは海上、および空の戦力がすべて失われた事を知って直ちに、生き残った自分たちだけでエドワード島への攻撃を決断した。エドワード島は人口島である為に、攻撃型潜水艦での攻撃でも致命的な損傷を与える事が可能だったのだ。
しかし、それら潜水艦隊もすぐに海上の艦艇や上空の航空機と同じ運命をたどる事になった。
潜水艦の乗員らはまだマシだったかもしれない。何故なら彼らはその意識が消えるまで、海上や上空に居た者たちの様に迫りくる死を見て恐怖する事が無かったからだ。彼らはたぶん、自身が死んだことすら自覚することなくその意識が消失したと思われるからだ。
そう、それは無音で、しかもソナーに対してもまったく無反響で、常識を逸した速度で彼らの乗る潜水艦に迫って来ていたのだ。そして目を持たぬ潜水艦はその接近をまったく気付く事なく、次の瞬間には海上の艦艇、上空の航空機同様に、まるで空間その物を切り取られる様に消失したのだ。
ラマナス側が反撃を開始してたった15分。
エドワード島周辺から人民解放軍の戦力すべてが消えた。そう消えたのだ。兵士の遺体も含めて、一欠けらの残骸すら残さず完全に消失してしまった。まるで、あの戦いがなかったかの様にその海域は静かだった。
この後にラマナス側から正式な発表としてもう一つ驚くべき事が発表されていた。それは今回の紛争におけるラマナス側の人的被害は0であったという事実だった。初戦で撃沈されたラマナス側の船舶のすべてが一括管理でオートコントロールされていたと言うのだ。目視で確認されていた兵士たちも皆、高度な3D投影機が作り出した映像だったと。
離れた場所に居た艦艇、監視衛星や超高空を飛行していた偵察機でこの戦いを監視していた全ての国の軍人は、少なくとも通常兵器によるラマナス海洋王国への攻撃はまったくの無力であると結論付けた。
しかし、当事者であり戦いを仕掛けた中国共産党政府の人民解放軍指揮官は、この結果を見ても敗北を認めなかった。何故なら、ほとんど全ての海軍戦力と多くの爆撃機と戦闘機を一瞬で失った中国共産党政府はこのままでは、アジアにおける覇権を失う事になりかねなかったからだ。
そこで人民解放軍は、とんでもない行動に出た。
それは……自国の領海である九段線内の中央海域で核搭載ミサイルの実験を行う……と言うものだった。九段線の中央海域、それはすなわちラマナス海洋王国の有る場所である。そこへ核搭載ミサイルを実験の為に撃ち込むと言う事はラマナスに対する核攻撃以外の何物でもなかった。
しかしである。その数分後、世界中を驚愕に陥れる事態が発生した。そしてのちのこの日、2027年2月14日は『戦慄のバレンタインデー』と呼ばれ、地球の歴史が変わった日として永遠に歴史に刻まれる事となる。
それは何の前触れもなく始まった。
エドワード島すぐ傍の海域から突如、無数の小型ミサイルが轟音を立てて海面を突き破り天に向けて飛び立った。無数、そう、まさにそれは無数だった。かつて誰も見た事のない程の途方もない数のミサイルが海面から真上に向かって発射されたのだ。
そして、一度天空高く舞い上がった無数のミサイルは、突如、その半数が方向を180度変え扇状に広がりながら再び海面へその進行方向を変えた。そして、その落下位置には人民解放軍のラマナス制圧艦隊があった。発射された半数とは言え、今や雨と表現するにふさわしい程の数となっていたミサイルの一軍は完全に人民解放軍の艦隊すべてを覆いつくす量と広がりを持っていた。
ミサイルの接近を探知した艦隊は直ちに迎撃措置に入った。迎撃ミサイル、さらにはファランクス、艦の持つ迎撃能力のすべてをつぎ込んでミサイルの迎撃に掛かった。一部、旧式の艦艇は仕方ないにしても、最新鋭のイージス艦の能力なら例え落下してくるミサイルが多くとも対応できると人民解放軍の指揮官は思った。
しかし、驚くべきことにラマナス側から発射された全てのミサイルは迎撃ミサイルを巧みに避けただけでなく、近接信管で爆発した爆風の中をまるで何もなかったかの様に真っ直ぐ突っ切って落下を続けた。さらには艦艇に取り付けられ艦艇防御の最終砦であるファランクスの20mmガドリング砲が打ち出す毎分3000発もの弾丸の嵐をまったく無視して人民解放軍の艦艇に襲い掛かった。
途中、軌道を180度下方に変えたミサイル以外の残り半数はそのまま緩やかにその軌道を90度近く変えほぼ水平飛行へと変わっていた。
こちらは、そのままエドワード島に迫る爆撃機とその護衛に付く戦闘機の大編隊へ向かって行った。こちらも扇状に広がりその大編隊を包み込む様な規模で進んで行った。
こちらも当然、迎撃のミサイルを発射し、追尾を混乱させるチャフやフレアを放出していた。
しかし、艦隊へ向かったミサイル同様に、人民解放軍の機体が取った防衛策はそれが存在しなかったかの様にまったく機能しなかった。
エドワード島近海の海からミサイル軍が現れて数分の後、すべてが決していた。人民解放軍のすべての艦艇と航空機が姿を消したのだ。そう消えたのだ。撃墜や沈没と言う生易しいものではなかった。そのミサイルが命中した途端、その対象物は目もくらむ閃光と共にまるで蒸発するかの様に消えたのだ。航空機なら大型の爆撃機でも一発。巨大な空母すら二、三発でそのすべてが消失した。特に空母に関しては、時間差でミサイルが命中すると命中した部分、全体の約1/3がまるでえぐり取られたかの様に消失した。
そのあまりに常識外れな破壊力に、その光景を何らかの方法で見ていた者は皆、恐怖した。
それでも、この時点で実際には人民解放軍の戦力すべてが消失訳ではなかった。海面下に潜む攻撃型潜水艦が数隻、まだ無傷で生き残っていたのだ。彼らは海上、および空の戦力がすべて失われた事を知って直ちに、生き残った自分たちだけでエドワード島への攻撃を決断した。エドワード島は人口島である為に、攻撃型潜水艦での攻撃でも致命的な損傷を与える事が可能だったのだ。
しかし、それら潜水艦隊もすぐに海上の艦艇や上空の航空機と同じ運命をたどる事になった。
潜水艦の乗員らはまだマシだったかもしれない。何故なら彼らはその意識が消えるまで、海上や上空に居た者たちの様に迫りくる死を見て恐怖する事が無かったからだ。彼らはたぶん、自身が死んだことすら自覚することなくその意識が消失したと思われるからだ。
そう、それは無音で、しかもソナーに対してもまったく無反響で、常識を逸した速度で彼らの乗る潜水艦に迫って来ていたのだ。そして目を持たぬ潜水艦はその接近をまったく気付く事なく、次の瞬間には海上の艦艇、上空の航空機同様に、まるで空間その物を切り取られる様に消失したのだ。
ラマナス側が反撃を開始してたった15分。
エドワード島周辺から人民解放軍の戦力すべてが消えた。そう消えたのだ。兵士の遺体も含めて、一欠けらの残骸すら残さず完全に消失してしまった。まるで、あの戦いがなかったかの様にその海域は静かだった。
この後にラマナス側から正式な発表としてもう一つ驚くべき事が発表されていた。それは今回の紛争におけるラマナス側の人的被害は0であったという事実だった。初戦で撃沈されたラマナス側の船舶のすべてが一括管理でオートコントロールされていたと言うのだ。目視で確認されていた兵士たちも皆、高度な3D投影機が作り出した映像だったと。
離れた場所に居た艦艇、監視衛星や超高空を飛行していた偵察機でこの戦いを監視していた全ての国の軍人は、少なくとも通常兵器によるラマナス海洋王国への攻撃はまったくの無力であると結論付けた。
しかし、当事者であり戦いを仕掛けた中国共産党政府の人民解放軍指揮官は、この結果を見ても敗北を認めなかった。何故なら、ほとんど全ての海軍戦力と多くの爆撃機と戦闘機を一瞬で失った中国共産党政府はこのままでは、アジアにおける覇権を失う事になりかねなかったからだ。
そこで人民解放軍は、とんでもない行動に出た。
それは……自国の領海である九段線内の中央海域で核搭載ミサイルの実験を行う……と言うものだった。九段線の中央海域、それはすなわちラマナス海洋王国の有る場所である。そこへ核搭載ミサイルを実験の為に撃ち込むと言う事はラマナスに対する核攻撃以外の何物でもなかった。
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