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第五十五話
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「下の……?」
板額は怪訝な顔をした。そして、おもむろに自分の足元を見た。
「あっ! 与一、ひょっとして僕のストッキングの事気にしてる?」
僕の意図に気がついた板額がそう言って僕を見ると、小首を傾げた。
「与一のえっち……」
板額はわざわざ僕の耳元に口を近づけて小声でそう囁いた。熱い息が耳にふわっとかかり、背中がぞくぞくってした。白状すると男の子の象徴の方も反応する程だった。なんか板額の奴、最近は僕がこう言う反応する事を分かっててわざとやってる節がある……様な気がする。そして僕は、板額の言葉に心の中のとってもすけべな部分を見透かされた様な気がして、僕の方が恥ずかしくなって赤面してしまった。
「ごめん……」
「ううん、謝らなくて良いよ、与一」
思わず僕が謝ってしまったら、板額は優しい笑みをうかべて小首を左右に小さく振った。ああっ、やっぱりこの笑顔だ。板額のこの笑顔は本当に素敵だ。この笑顔を守る為なら僕は何だってする。命だって惜しくない。……はちょっと言い過ぎかな。いや、やっぱりそのくらいだ。
「与一がえっちなのはもう分かってる事だから」
僕が思わずにやけてしまったのが板額には分かったのだろう。板額はこう言ってその笑みを少し意地悪気な物に変えた。こいつは僕の事なら何でも分かっていると常日頃公言してるが、やっぱりそれは本当の様な気がする。押しかけ女房の癖に彼氏である僕をからかうとは何たる事、と僕は少しむっとした。それでもやっぱりこんな笑みも可愛くて許せてしまう。それは、今では僕の方が板額に夢中になってる弱みだろうか。
そう言えば、あちらは公言してないけれど今は僕の彼女になった緑川も二人だけの時はこんな感じだ。板額と緑川って基本的な部分で凄く似てると僕は最近思っている。彼女としてはここ一か月に満たない程しかない緑川だが、知り合ってからなら結構長い。最近では、今まで緑川がこんなに可愛い女の子だったと気づかなかった事がすごく不思議に感じる。きっと僕が『女の子は面倒だから嫌い』と十把一絡げにしてたからじゃないかと思う。
「ほっとけ、こっちは思春期真っただ中の男だ。
えっちなくらいでちょうど良い。
逆に可愛い女の子に対してえっちな事考えない方がおかしいんだ」
僕はそれでもこんなへ理屈をこねて精一杯の強がりをした。
「じゃあ僕にえっちな事聞いて来るって事は、
与一は僕を可愛い女の子って思ってくれてると言う事だね」
すると板額は嬉しそうな、そう本当に嬉しそうな笑みを顔全体に浮かべてそう声を上げた。そして、僕の腕に両手でしがみついて来た。服の上からは分かりにくい控えめだけどちゃんと膨らみのある胸の感触が僕の腕にぎゅっと押し付けられた。ああっ、この感触、今ではかなり慣れて来たけど、やっぱりどきどきするくらい良い物だ。
しかし、板額は本当に変わった女の子だ。今はそのいわれを知って女性の名前だと分かったけど、普通の人なら女の子とは思えないその名前。そして、言葉遣いもほとんど男の子である典型的な『僕っ娘』。でも、時折見せる表情や仕草などがたまらなく可愛いのだ。その上、纏う雰囲気もなんだかすごくミステリアスな感じがする。それに女の子の物とは明らかに異質な色気みたいなものを強く感じる。強いて言うなら性別を超えた所にある色気って感じだろうか? だから女性嫌い、特に同世代の女の子には特別な拒否反応を示していた僕の心に板額はするりと入り込んで来たのだ。あれだけ強引な形で迫られれば、今までの僕ならものすごく強い拒否反応を示していたはずだ。今思えばそんな僕の事を分かっていて、緑川はああ言う形で僕の傍に居られる様に工夫してたのかもしれない。
板額が今流行りの『男の娘』ではと思った事もあった。そして心の隅っちょでそれならそれでいいと思った事もあった。これだけ美人で、でも同じ男の子なら僕でも好きになれるかもって思った。でも板額は僕の手を取って自分が『男の子でない事』を確かめさせた。僕が今確かめられる限りにおいて、板額は身体的には間違いなく『女の子』だった。それでも僕は板額を受け入れた。いや受け入れたと言うより板額にのめり込んでゆく自分を知っている。
今の僕は、もう板額が何モノであっても構わない。板額と言うこの子が良いのだ。それはもう隠し切れない僕の真実なのだ。
板額は怪訝な顔をした。そして、おもむろに自分の足元を見た。
「あっ! 与一、ひょっとして僕のストッキングの事気にしてる?」
僕の意図に気がついた板額がそう言って僕を見ると、小首を傾げた。
「与一のえっち……」
板額はわざわざ僕の耳元に口を近づけて小声でそう囁いた。熱い息が耳にふわっとかかり、背中がぞくぞくってした。白状すると男の子の象徴の方も反応する程だった。なんか板額の奴、最近は僕がこう言う反応する事を分かっててわざとやってる節がある……様な気がする。そして僕は、板額の言葉に心の中のとってもすけべな部分を見透かされた様な気がして、僕の方が恥ずかしくなって赤面してしまった。
「ごめん……」
「ううん、謝らなくて良いよ、与一」
思わず僕が謝ってしまったら、板額は優しい笑みをうかべて小首を左右に小さく振った。ああっ、やっぱりこの笑顔だ。板額のこの笑顔は本当に素敵だ。この笑顔を守る為なら僕は何だってする。命だって惜しくない。……はちょっと言い過ぎかな。いや、やっぱりそのくらいだ。
「与一がえっちなのはもう分かってる事だから」
僕が思わずにやけてしまったのが板額には分かったのだろう。板額はこう言ってその笑みを少し意地悪気な物に変えた。こいつは僕の事なら何でも分かっていると常日頃公言してるが、やっぱりそれは本当の様な気がする。押しかけ女房の癖に彼氏である僕をからかうとは何たる事、と僕は少しむっとした。それでもやっぱりこんな笑みも可愛くて許せてしまう。それは、今では僕の方が板額に夢中になってる弱みだろうか。
そう言えば、あちらは公言してないけれど今は僕の彼女になった緑川も二人だけの時はこんな感じだ。板額と緑川って基本的な部分で凄く似てると僕は最近思っている。彼女としてはここ一か月に満たない程しかない緑川だが、知り合ってからなら結構長い。最近では、今まで緑川がこんなに可愛い女の子だったと気づかなかった事がすごく不思議に感じる。きっと僕が『女の子は面倒だから嫌い』と十把一絡げにしてたからじゃないかと思う。
「ほっとけ、こっちは思春期真っただ中の男だ。
えっちなくらいでちょうど良い。
逆に可愛い女の子に対してえっちな事考えない方がおかしいんだ」
僕はそれでもこんなへ理屈をこねて精一杯の強がりをした。
「じゃあ僕にえっちな事聞いて来るって事は、
与一は僕を可愛い女の子って思ってくれてると言う事だね」
すると板額は嬉しそうな、そう本当に嬉しそうな笑みを顔全体に浮かべてそう声を上げた。そして、僕の腕に両手でしがみついて来た。服の上からは分かりにくい控えめだけどちゃんと膨らみのある胸の感触が僕の腕にぎゅっと押し付けられた。ああっ、この感触、今ではかなり慣れて来たけど、やっぱりどきどきするくらい良い物だ。
しかし、板額は本当に変わった女の子だ。今はそのいわれを知って女性の名前だと分かったけど、普通の人なら女の子とは思えないその名前。そして、言葉遣いもほとんど男の子である典型的な『僕っ娘』。でも、時折見せる表情や仕草などがたまらなく可愛いのだ。その上、纏う雰囲気もなんだかすごくミステリアスな感じがする。それに女の子の物とは明らかに異質な色気みたいなものを強く感じる。強いて言うなら性別を超えた所にある色気って感じだろうか? だから女性嫌い、特に同世代の女の子には特別な拒否反応を示していた僕の心に板額はするりと入り込んで来たのだ。あれだけ強引な形で迫られれば、今までの僕ならものすごく強い拒否反応を示していたはずだ。今思えばそんな僕の事を分かっていて、緑川はああ言う形で僕の傍に居られる様に工夫してたのかもしれない。
板額が今流行りの『男の娘』ではと思った事もあった。そして心の隅っちょでそれならそれでいいと思った事もあった。これだけ美人で、でも同じ男の子なら僕でも好きになれるかもって思った。でも板額は僕の手を取って自分が『男の子でない事』を確かめさせた。僕が今確かめられる限りにおいて、板額は身体的には間違いなく『女の子』だった。それでも僕は板額を受け入れた。いや受け入れたと言うより板額にのめり込んでゆく自分を知っている。
今の僕は、もう板額が何モノであっても構わない。板額と言うこの子が良いのだ。それはもう隠し切れない僕の真実なのだ。
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