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第二十一話
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「お前なぁ……」
大好きなお赤飯おにぎりを横取りされて、僕は少しむっとした顔で板額を見た。
実際、顔では不満げにしてたが、心の中で僕は少しどきどきしてたんだ。女の子が、しかも板額みたいにきれいな女の子が齧った物を僕も齧れる。言い古された事ではあるが、それはなんか間接キスの様で歳頃の男の子の胸をすっごくくすぐる行為だった。でもよく考えれば、もう僕らは軽いとはキスまで済ませているのだ。だから間接キスくらいでどきどきする事はないとは思うが、やはりどきどきした。だって、僕は今日が人生初キスだったのだから。
僕が不満げな表情を浮かべても、板額は少しも悪びれず、にこにこ笑顔を浮かべたまま言った。
「怒らないでよ、与一。
僕のみたらし団子も一つ上げるから」
そう言って板額は手に持っていたみたらし団子を僕の方に差し出した。そこにはタレに絡んで少々黒く焦げた跡があるお団子が一個だけ残っていた。串を持つ板額の細く長い指先にも黄金色のタレが少し付いていた。ちなみにここ『いずみ屋』のみたらしは平たく小判型に潰れた形の団子が四つ串に刺さっている。
「お前、それ一番下で食べにくいからだろ」
僕はそう言いながら横から残ってたお団子にぱくりとかじりついた。僕がかじりつくと板額はタイミングを見計らって器用に串を引き抜いてくれた。
甘さと醤油の辛さと香りが絶妙に混じった独特の風味が口一杯に広がって鼻から抜ける。そしておもむろに口の中に入ったお団子を噛むと、普通の物より少々柔らかい独特の食感が心地良い。ここの団子は餅を噛むと言うより蕩ける感じだ。そしてお餅の味がタレの風味を追いかけて口の中にぱぁと広がるのだ。
「はい、こっちも……」
僕がお団子を口に入れると、板額はタレの付いた指先を僕の方へ差し出した。僕は板額が何をして欲しいのかはすぐわかった。でも僕はそれをすることに一瞬躊躇した。何だかそれはすっごくえっちな事みたいな気がしたのだ。お日様の下で、しかも人目がある所でしてはいけない様な行為にも思えた。でも心のどこかではそれをすごくしたいと思う自分が確実に居る。
結局、僕はやっぱり歳頃の男の子なんだ。そういうえっちな事には逆らえない性なのだ。僕は周りをさっと見回し人目が無い事を確認すると、電光石火の早業で差し出された板額の指先を口にした。口の中でぺろりと舌で舐めまわすと、すぅっと板額の指が唇から抜かれた。僕の口にはみたらしの甘みの強い甘辛い味が広がった。でもそれはいつものみたらしの味より、ちょっとだけ甘酸っぱい気もした。
いや、ちょっと待て。これ逆じゃないか? 僕は、僕に指を舐めさせて妙に満足げな顔をしている板額を見て僕は思った。そうだ、やっぱりこれは逆だ。確かに彼女の綺麗な指を舐められたのはえっちい気分になってすごく良かった。でも、違う。これ、正しくは彼氏が彼女に自分の指を舐めさせて、えっちな事を想像して喜ぶところじゃないのか?
「おい、これ逆じゃないのか?
普通、これをするのは女の子じゃね?」
僕は思った通りのことを冗談めかして尋ねた。
「だって、与一の手にタレは付いてないだろう?」
板額の奴は素知らぬ顔でそう言うと、僕が舐めた指をもう一度自分でぺろりと舐めた。そして、そのままスカートのポケットからハンカチを出して自分の指を拭った。板額が自分の指を舐めるのを見て、悔しいけど僕はえっちな事を想像してどきっとしてしまった。
「それとも与一は、僕で何か変な事想像したのかい?」
板額はハンカチをしまいながら、僕をみてその口元にちょっといやらしい笑みを浮かべた。板額の言葉に心の中を覗かれた様な気がしてちょっと動揺した。でも僕はそれを悟られまいとして、板額から目を逸らせ再び歩き出しながら強気でこう言った。
「じゃあ、どんな想像か言ってみろよ」
すると板額もすぐに、腕を絡ませその身をぺたりとくっつけて歩きだした。
「すごくエッチな事だよね、与一。
もしかして君は僕にその事を言わせたいのかな?」
そして僕の耳元でそう囁いた。
「さあ、馬鹿な事言ってないで早く帰るぞ」
こいつ、凛として真面目そうだけど本性は意外に魔性の女じゃないのか? 僕はそう思ったが、あえてここは踏み込まずスルーした。
大好きなお赤飯おにぎりを横取りされて、僕は少しむっとした顔で板額を見た。
実際、顔では不満げにしてたが、心の中で僕は少しどきどきしてたんだ。女の子が、しかも板額みたいにきれいな女の子が齧った物を僕も齧れる。言い古された事ではあるが、それはなんか間接キスの様で歳頃の男の子の胸をすっごくくすぐる行為だった。でもよく考えれば、もう僕らは軽いとはキスまで済ませているのだ。だから間接キスくらいでどきどきする事はないとは思うが、やはりどきどきした。だって、僕は今日が人生初キスだったのだから。
僕が不満げな表情を浮かべても、板額は少しも悪びれず、にこにこ笑顔を浮かべたまま言った。
「怒らないでよ、与一。
僕のみたらし団子も一つ上げるから」
そう言って板額は手に持っていたみたらし団子を僕の方に差し出した。そこにはタレに絡んで少々黒く焦げた跡があるお団子が一個だけ残っていた。串を持つ板額の細く長い指先にも黄金色のタレが少し付いていた。ちなみにここ『いずみ屋』のみたらしは平たく小判型に潰れた形の団子が四つ串に刺さっている。
「お前、それ一番下で食べにくいからだろ」
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「はい、こっちも……」
僕がお団子を口に入れると、板額はタレの付いた指先を僕の方へ差し出した。僕は板額が何をして欲しいのかはすぐわかった。でも僕はそれをすることに一瞬躊躇した。何だかそれはすっごくえっちな事みたいな気がしたのだ。お日様の下で、しかも人目がある所でしてはいけない様な行為にも思えた。でも心のどこかではそれをすごくしたいと思う自分が確実に居る。
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いや、ちょっと待て。これ逆じゃないか? 僕は、僕に指を舐めさせて妙に満足げな顔をしている板額を見て僕は思った。そうだ、やっぱりこれは逆だ。確かに彼女の綺麗な指を舐められたのはえっちい気分になってすごく良かった。でも、違う。これ、正しくは彼氏が彼女に自分の指を舐めさせて、えっちな事を想像して喜ぶところじゃないのか?
「おい、これ逆じゃないのか?
普通、これをするのは女の子じゃね?」
僕は思った通りのことを冗談めかして尋ねた。
「だって、与一の手にタレは付いてないだろう?」
板額の奴は素知らぬ顔でそう言うと、僕が舐めた指をもう一度自分でぺろりと舐めた。そして、そのままスカートのポケットからハンカチを出して自分の指を拭った。板額が自分の指を舐めるのを見て、悔しいけど僕はえっちな事を想像してどきっとしてしまった。
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