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第9話
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「妃殿下、陛下がお呼びでございます」
私が実家から戻ると直ぐに陛下の側近が私を呼びに来た。
彼は確か侯爵家の人間だったかしら? 態々側近を寄越すなんて、陛下は余程ルクソールから無事に支援が得られたのか気になるらしい。
4年も放って置いて今更だ。
側近に案内され、陛下の部屋へ向かう。
さて、これからが戦いだ。今日はまず側妃の仇を討つ。廊下を歩きながら私は心に誓った。
陛下の部屋に辿り着くと、側近が部屋の扉を叩き声を掛けた。
「妃殿下をお連れしました」
「入れ」
その言葉を待って私は部屋へ入った。
見ると陛下の隣には王妃もいる。
お誂え向きだ。
部屋に入って来た私を見ると、陛下は笑顔で問いかけた。
「して、守備はどうであった?」
私はにっこり笑った。
「陛下! お喜び下さい。父が橋を公爵家の名義で寄贈してくれるそうですわ! これで長年の懸案事項が一つ減りますわね」
大事な所は殊更大袈裟にハッキリと伝える。
途端に陛下の顔色が変わった。本当に分かり易い。
「何だと? 橋の再建は王家に要望が出されたものだ。それでは王家の面目が立たぬではないか!」
陛下は声を荒げた。
「ですが、王家ではその要望を叶える事は出来ない訳ですよね。父はこう申しました。我が家は側妃様のご実家とは違う。18年もの長きに渡り私財を投げ出し、陛下に尽くし続けた挙句、何の見返りも感謝も得られなかった家紋とは違うのだ。そして、その前例がある以上、我が家はただ黙って王家を支えたりはしないと。そう陛下にお伝えする様に申し付けられました。ですが良かったではないですか!? これで橋は架かるのです。民の生活は守られますわ」
私の言葉を聞いた陛下は、怒りからか拳を強く握り締めた。
それを庇う様に王妃が声を上げる。
「貴方は王太子妃でしょう? 王家の立場も守らず、黙って父親の言い分を聞いてきたのですか!」
「ではお聞きします。王太子妃とは何でしょう? 殿下のお話では、王妃様は殿下に私との間に子は作らぬ様にと申し付けられたとか? 妃の役割も果たさせては頂けず、都合の良い時だけお前は王太子妃だ。役割を果たせとは余りにも都合が良すぎるのではありませんか!」
私はここぞとばかりに言い返した。陛下は信じられない者を見る様な目で王妃を見つめた。
「まさか、お前、そんな事をエドモンドに…言ったのか…?」
王妃にそう問いかけた陛下の声は怒りで震えていた。陛下は知らなかった様だ。
「………っ!」
王妃は陛下のその目を見て、恐怖で息を飲んだ。
そんな2人に私は言い放つ。
「陛下もですわ。もうすぐルルナレッタ様が側妃として殿下に嫁いで来られるとお聞きいたしました。確か陛下は約束しましたね? 殿下とルルナレッタ様は別れさせると。これは一体どう言う事なのでしょう?」
「…それは…」
陛下は口籠る。
「父はこの話しにも、とても怒っておりますのよ。親バカにも程がある。これではまるで詐欺ではないか…と」
「親バカ? 詐欺? 一国の王を捕まえて余りにも無礼な言い分であろう!? 私を馬鹿にしているのか!!」
陛下は激昂した。正直、怖くて足が震えているのが分かる。
だが、これは私の戦いだ。必ずこちら側の要求を認めさせてみせる。
その為には事実を積み重ね、こちら側に有利な状況を作り出さなければならない。
私は嫁ぐ時、父に言われた。お前はルクソールの娘。絶対に負けるなと…。
私が実家から戻ると直ぐに陛下の側近が私を呼びに来た。
彼は確か侯爵家の人間だったかしら? 態々側近を寄越すなんて、陛下は余程ルクソールから無事に支援が得られたのか気になるらしい。
4年も放って置いて今更だ。
側近に案内され、陛下の部屋へ向かう。
さて、これからが戦いだ。今日はまず側妃の仇を討つ。廊下を歩きながら私は心に誓った。
陛下の部屋に辿り着くと、側近が部屋の扉を叩き声を掛けた。
「妃殿下をお連れしました」
「入れ」
その言葉を待って私は部屋へ入った。
見ると陛下の隣には王妃もいる。
お誂え向きだ。
部屋に入って来た私を見ると、陛下は笑顔で問いかけた。
「して、守備はどうであった?」
私はにっこり笑った。
「陛下! お喜び下さい。父が橋を公爵家の名義で寄贈してくれるそうですわ! これで長年の懸案事項が一つ減りますわね」
大事な所は殊更大袈裟にハッキリと伝える。
途端に陛下の顔色が変わった。本当に分かり易い。
「何だと? 橋の再建は王家に要望が出されたものだ。それでは王家の面目が立たぬではないか!」
陛下は声を荒げた。
「ですが、王家ではその要望を叶える事は出来ない訳ですよね。父はこう申しました。我が家は側妃様のご実家とは違う。18年もの長きに渡り私財を投げ出し、陛下に尽くし続けた挙句、何の見返りも感謝も得られなかった家紋とは違うのだ。そして、その前例がある以上、我が家はただ黙って王家を支えたりはしないと。そう陛下にお伝えする様に申し付けられました。ですが良かったではないですか!? これで橋は架かるのです。民の生活は守られますわ」
私の言葉を聞いた陛下は、怒りからか拳を強く握り締めた。
それを庇う様に王妃が声を上げる。
「貴方は王太子妃でしょう? 王家の立場も守らず、黙って父親の言い分を聞いてきたのですか!」
「ではお聞きします。王太子妃とは何でしょう? 殿下のお話では、王妃様は殿下に私との間に子は作らぬ様にと申し付けられたとか? 妃の役割も果たさせては頂けず、都合の良い時だけお前は王太子妃だ。役割を果たせとは余りにも都合が良すぎるのではありませんか!」
私はここぞとばかりに言い返した。陛下は信じられない者を見る様な目で王妃を見つめた。
「まさか、お前、そんな事をエドモンドに…言ったのか…?」
王妃にそう問いかけた陛下の声は怒りで震えていた。陛下は知らなかった様だ。
「………っ!」
王妃は陛下のその目を見て、恐怖で息を飲んだ。
そんな2人に私は言い放つ。
「陛下もですわ。もうすぐルルナレッタ様が側妃として殿下に嫁いで来られるとお聞きいたしました。確か陛下は約束しましたね? 殿下とルルナレッタ様は別れさせると。これは一体どう言う事なのでしょう?」
「…それは…」
陛下は口籠る。
「父はこの話しにも、とても怒っておりますのよ。親バカにも程がある。これではまるで詐欺ではないか…と」
「親バカ? 詐欺? 一国の王を捕まえて余りにも無礼な言い分であろう!? 私を馬鹿にしているのか!!」
陛下は激昂した。正直、怖くて足が震えているのが分かる。
だが、これは私の戦いだ。必ずこちら側の要求を認めさせてみせる。
その為には事実を積み重ね、こちら側に有利な状況を作り出さなければならない。
私は嫁ぐ時、父に言われた。お前はルクソールの娘。絶対に負けるなと…。
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