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「ロイド様はシナール陛下の実のご子息では無いとはいえ、リアーナ様、ミンティア様とは幼い頃からとても仲の良い御兄妹だったのです。それが変わってしまったのはリアーナ様が皇太女に選ばれた頃からでした。ロイド様は皇太子に選ばれるのは自分だと思われていたんだと思います」
ダリアは私達にそう話を切り出した。
「でも、ロイド様はお爺様の実の子ではないのだもの。お母様が皇太女に選ばれたのは寧ろ仕方がないのでは?」
疑問に思った私が尋ねるとダリアは首を振って否定した。
「いえ…。この国では継承権に男女の区別が無いとは言え、過去の帝位継承者を見ると、それでもやはり男性が有利なのです。事実、シナール陛下がロイド様を引き取られた時から、ロイド様は帝位継承の為の教育を受けておられました。ロドリゲス様が亡くなる時、息子を頼むと言い残された事も大きかったのでしょう」
ダリアの話では、ロドリゲス様が亡くなる寸前まで、お爺様は彼に子供がいる事さえ知らなかったそうだ。だからお爺様は、ロイド様が見つかった時、彼の事をロドリゲス様の生まれ変わりだと言ってそれはそれは大切にしていた。その為、次の皇帝になるのはロイド様だと周りの誰も疑う事すら無かったらしい。
それなのに何故か急に、お爺様はお母様を皇太女に指名したのだと言う。理由も分からず突然梯子を外された形となったロイド様は、それからどんどん性格が歪んでいき、お母様や叔母様との関係もギクシャクしていった。
そしてお母様が駆け落ちした後、お爺様が後継者に今度は叔母様を指名した後は、ロイド様は荒れに荒れ、手が付けられなくなっていったそうだ。彼からしてみれば、今まで自分がして来た努力を全て否定された様な気持ちになったのだろう。
「そう言えば俺の調べた限り、ロドリゲス様が妃を娶ったと言う記述は無かった。陛下すら知らなかったロイドの母親とは一体どんな女性なんですか?」
殿下がダリアにさりげなく問う。お爺様がロイド様を皇太子に指名しなかった理由を私達は知っているからだ。
「……それが分からないのです」
ダリアはそう答え困惑の表情を浮かべた。
「は? 分からないだって? この国は誰の子かも分からない子供を引き取って帝位を継がせ様としていたって事か? だったらその子は本当にロドリゲス様の子かどうかも分からないじゃないか!?」
殿下が呆気に取られた様に言う。
殿下が疑問を呈するのも無理は無かった。私達は叔母の残した鑑定書を見ている。そこには、ロイドと叔母の間に血縁関係はないとハッキリと書かれていた。つまり、ロイドはロドリゲスの子では無い事は間違いの無い事実なのだ。
「仰る通り、ロドリゲス様は戦に明け暮れ、妃を娶る事はされませんでした。ですからロドリゲス様にご子息がいらっしゃると知った時、シナール陛下は大層驚いていらっしゃいました」
軍神と呼ばれた王弟ロドリゲス。戦に明け暮れた彼の私生活はベールに包まれていた。彼は愛する人や自分の子供の存在さえ隠し通したのだ。もし2人の存在が明らかになり、2人が狙われれば戦の足枷になるからと生前彼は語ったそうだ。
「そんな状況で何故ロイド様がロドリゲス様の遺児だと分かったのですか?」
私は素朴な疑問をダリアにぶつけた。
「それは…。戦場でロドリゲス様にずっと付き従っていた副官リベルサス様がこの子がロドリゲス様の子だと連れて来たのです。彼が言うには、ロドリゲス様は1度戦場で敵に補給路を断たれた事があったそうです。絶体絶命のロドリゲス様の為に、新たな補給路の確保に手を尽くしてくれた商人がいました。ロイド様の母親はその商人の娘だと言うのです」
「商人の娘…? まさか…その男1人の証言を信じたのか? 相手は大国の王族に関わる話だぞ」
ありえない話に殿下が訝しむ。
「ですが、ロドリゲス様はそれ程に秘密主義だったのです。ともあれ、ロドリゲス様のご遺言はその場にいた何人もの人間が聞いておりましたし、リベルサス様はロドリゲス様の右腕と呼ばれた人物でロドリゲス様の信任厚く彼に最も近い人物でした」
ここまで話してダリアは何かに気付いた様に不思議そうな顔をして私達に尋ねた。
「あの…つかぬ事をお伺い致しますが、さっきからお二人の話をお聞きしておりますと、何かロイド様がロドリゲス様のお子様では無いと仰っている様に聞こえますが…まさか…それがロイド様が皇太子に選ばれなかった理由なのですか?」
この話の流れではそう捉えられても仕方がないだろう。
私達はミンティア叔母様が託した鑑定書をダリアに見せた。
「そんな…ではやはりあの方がロドリゲス様の…」
鑑定書を見たダリアが呟いた。
「あの方…? もしかして何か心当たりがあるのですか?」
殿下の問いにダリアは暫く考え込んでいたが、意を決したかの様に口を開いた。
「…ええ…。実はミンティア様が何度かお会いになっていた方がいらっしゃるのです。その方は商売をされていて最初は何かの商談だと思っていたのですが、その方とお会いになる時、ミンティア様はいつも人払いをされるです」
「その方は叔母様の恋人と言う事は無いのですか?」
人払いと聞くと真っ先に思い浮かぶ事だ。
だがダリアは首を振って其れを否定した。
「いえ…。それは無いと思います。お2人に漂う雰囲気がそうではありませんでしたので。むしろその方は、ミンティア様が会いに行かれる事を迷惑がっておられる様に感じました。自分達には関わらないでほしいと声を荒げておられるのが漏れ聞こえて来た事もありました」
「迷惑がっていた? 関わらないで欲しい…? では何故その方がロドリゲス様のご子息だと思ったのですか?」
殿下の問いにダリアは戸惑いながら答えた。
「実はその方のお嬢様をお見かけした事があるのですが、そのお嬢様の瞳の色が、ロドリゲス様そっくりの見事なまでに美しいセレジストグリーンだったのです」
ダリアの話しを聞いた私と殿下は息を呑んだ。セレジストグリーンの美しい瞳を持つ令嬢に心当たりがあったからだ。
「ミンティア様が会いに行かれていた方の名前は分かりますか?」
「ええっと…確か…カシミール様…と仰ったかしら…」
ダリアが思い出す様に答える。その答えに体が震えた。
公爵がロドリゲス様の息子…?
確かに公爵の様子からミンティア様と顔見知りでは無いかと感じた事があった。ロザリア様が叔母と公爵の間に生まれた娘なのでは無いかと疑念を持った事もあった。
でも違うんだ。公爵自身がセレジストの皇族の血を引いていたんだ…。
「…そうか…だから…。きっと母上は全てを知っていたんだ…」
王妃様はカシミール公爵の妹で、2人は仲の良い兄妹だ。知っていたとしても不思議では無い。
「もしかしたら、母上は伯父上をセレジストの皇帝にしようと動いていたのかも知れない…」
ダリアは私達にそう話を切り出した。
「でも、ロイド様はお爺様の実の子ではないのだもの。お母様が皇太女に選ばれたのは寧ろ仕方がないのでは?」
疑問に思った私が尋ねるとダリアは首を振って否定した。
「いえ…。この国では継承権に男女の区別が無いとは言え、過去の帝位継承者を見ると、それでもやはり男性が有利なのです。事実、シナール陛下がロイド様を引き取られた時から、ロイド様は帝位継承の為の教育を受けておられました。ロドリゲス様が亡くなる時、息子を頼むと言い残された事も大きかったのでしょう」
ダリアの話では、ロドリゲス様が亡くなる寸前まで、お爺様は彼に子供がいる事さえ知らなかったそうだ。だからお爺様は、ロイド様が見つかった時、彼の事をロドリゲス様の生まれ変わりだと言ってそれはそれは大切にしていた。その為、次の皇帝になるのはロイド様だと周りの誰も疑う事すら無かったらしい。
それなのに何故か急に、お爺様はお母様を皇太女に指名したのだと言う。理由も分からず突然梯子を外された形となったロイド様は、それからどんどん性格が歪んでいき、お母様や叔母様との関係もギクシャクしていった。
そしてお母様が駆け落ちした後、お爺様が後継者に今度は叔母様を指名した後は、ロイド様は荒れに荒れ、手が付けられなくなっていったそうだ。彼からしてみれば、今まで自分がして来た努力を全て否定された様な気持ちになったのだろう。
「そう言えば俺の調べた限り、ロドリゲス様が妃を娶ったと言う記述は無かった。陛下すら知らなかったロイドの母親とは一体どんな女性なんですか?」
殿下がダリアにさりげなく問う。お爺様がロイド様を皇太子に指名しなかった理由を私達は知っているからだ。
「……それが分からないのです」
ダリアはそう答え困惑の表情を浮かべた。
「は? 分からないだって? この国は誰の子かも分からない子供を引き取って帝位を継がせ様としていたって事か? だったらその子は本当にロドリゲス様の子かどうかも分からないじゃないか!?」
殿下が呆気に取られた様に言う。
殿下が疑問を呈するのも無理は無かった。私達は叔母の残した鑑定書を見ている。そこには、ロイドと叔母の間に血縁関係はないとハッキリと書かれていた。つまり、ロイドはロドリゲスの子では無い事は間違いの無い事実なのだ。
「仰る通り、ロドリゲス様は戦に明け暮れ、妃を娶る事はされませんでした。ですからロドリゲス様にご子息がいらっしゃると知った時、シナール陛下は大層驚いていらっしゃいました」
軍神と呼ばれた王弟ロドリゲス。戦に明け暮れた彼の私生活はベールに包まれていた。彼は愛する人や自分の子供の存在さえ隠し通したのだ。もし2人の存在が明らかになり、2人が狙われれば戦の足枷になるからと生前彼は語ったそうだ。
「そんな状況で何故ロイド様がロドリゲス様の遺児だと分かったのですか?」
私は素朴な疑問をダリアにぶつけた。
「それは…。戦場でロドリゲス様にずっと付き従っていた副官リベルサス様がこの子がロドリゲス様の子だと連れて来たのです。彼が言うには、ロドリゲス様は1度戦場で敵に補給路を断たれた事があったそうです。絶体絶命のロドリゲス様の為に、新たな補給路の確保に手を尽くしてくれた商人がいました。ロイド様の母親はその商人の娘だと言うのです」
「商人の娘…? まさか…その男1人の証言を信じたのか? 相手は大国の王族に関わる話だぞ」
ありえない話に殿下が訝しむ。
「ですが、ロドリゲス様はそれ程に秘密主義だったのです。ともあれ、ロドリゲス様のご遺言はその場にいた何人もの人間が聞いておりましたし、リベルサス様はロドリゲス様の右腕と呼ばれた人物でロドリゲス様の信任厚く彼に最も近い人物でした」
ここまで話してダリアは何かに気付いた様に不思議そうな顔をして私達に尋ねた。
「あの…つかぬ事をお伺い致しますが、さっきからお二人の話をお聞きしておりますと、何かロイド様がロドリゲス様のお子様では無いと仰っている様に聞こえますが…まさか…それがロイド様が皇太子に選ばれなかった理由なのですか?」
この話の流れではそう捉えられても仕方がないだろう。
私達はミンティア叔母様が託した鑑定書をダリアに見せた。
「そんな…ではやはりあの方がロドリゲス様の…」
鑑定書を見たダリアが呟いた。
「あの方…? もしかして何か心当たりがあるのですか?」
殿下の問いにダリアは暫く考え込んでいたが、意を決したかの様に口を開いた。
「…ええ…。実はミンティア様が何度かお会いになっていた方がいらっしゃるのです。その方は商売をされていて最初は何かの商談だと思っていたのですが、その方とお会いになる時、ミンティア様はいつも人払いをされるです」
「その方は叔母様の恋人と言う事は無いのですか?」
人払いと聞くと真っ先に思い浮かぶ事だ。
だがダリアは首を振って其れを否定した。
「いえ…。それは無いと思います。お2人に漂う雰囲気がそうではありませんでしたので。むしろその方は、ミンティア様が会いに行かれる事を迷惑がっておられる様に感じました。自分達には関わらないでほしいと声を荒げておられるのが漏れ聞こえて来た事もありました」
「迷惑がっていた? 関わらないで欲しい…? では何故その方がロドリゲス様のご子息だと思ったのですか?」
殿下の問いにダリアは戸惑いながら答えた。
「実はその方のお嬢様をお見かけした事があるのですが、そのお嬢様の瞳の色が、ロドリゲス様そっくりの見事なまでに美しいセレジストグリーンだったのです」
ダリアの話しを聞いた私と殿下は息を呑んだ。セレジストグリーンの美しい瞳を持つ令嬢に心当たりがあったからだ。
「ミンティア様が会いに行かれていた方の名前は分かりますか?」
「ええっと…確か…カシミール様…と仰ったかしら…」
ダリアが思い出す様に答える。その答えに体が震えた。
公爵がロドリゲス様の息子…?
確かに公爵の様子からミンティア様と顔見知りでは無いかと感じた事があった。ロザリア様が叔母と公爵の間に生まれた娘なのでは無いかと疑念を持った事もあった。
でも違うんだ。公爵自身がセレジストの皇族の血を引いていたんだ…。
「…そうか…だから…。きっと母上は全てを知っていたんだ…」
王妃様はカシミール公爵の妹で、2人は仲の良い兄妹だ。知っていたとしても不思議では無い。
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