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第2話
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「そんな…あなた…。本当にアリエルをあの家に嫁がせるつもりですか? それにアリエルは跡取り娘ですよ? では、ガーネット伯爵家はどうするのです?」
母は納得がいかない様子で、父に言い募ります。
「アリエルがここ迄言うんだ。余程ウィリアム様の事を慕っているのだろう。それならば、この子の幸せを考え嫁がせてやろうではないか。幸いにもウィリアム様本人がこの子を是非にと仰って下さっているのだ。侯爵家には寄り親としての恩もある。それならば、私たちは親としてこの子と侯爵家を支えていくしかないではないか?」
「それはそうですが…」
母はそれでもまだ困惑の表情を隠そうともしませんでした。そんな母を尻目に父は私に告げました。
「但し、条件がある。アリエル、お前はこの家の1人娘だ。だからお前はウィリアム様との間に少なくとも2人以上の子を産まなければならない。また、お前の産んだ子の中の1人を我が家は養子として貰い受ける。もし、その条件を侯爵家が飲まぬ場合はこの縁談は断るからな?」
「…分かりました」
貴族にとって後継問題がどれほど大切な事か位、私にもわかります。だからそれは、私の希望を叶える為に父が示してくれた精一杯の譲歩だったのです。
「何かあったら何時でも相談に乗るからな。それに嫌になったら何時でも帰って来なさい。分かったな? お前には帰る家があるんだ。私たちはお前の為ならどんな事でも喜んで力を貸そう」
父は言い聞かせる様にそう言って私の頭を優しく撫でました。
「そうよアリエル。嫌になったら何時でも帰って来なさい」
母もそう言って目に涙を浮かべます。
これから嫁ごうという娘に、両親が揃って何時でも帰って来いと言う。本来ならここで疑問に思うべきだったのです。ですが、やっと両親に認めて貰え、有頂天になっていた私は、1人娘の私を両親が必要以上に心配し過ぎている…それくらいにしか考えてはいませんでした。
何より、望まれて愛する方の元に嫁ぐのです。私は幸せになれると信じて、疑いすら抱きませんでした。
その後、我が家に挨拶にみえたウィリアム様は、ご苦労されているのかかなり痩せておられました。でも、昔のままの優しい笑顔を私に向けて下さったのです。
ウィリアム様は直ぐに父の出した条件を飲みました。
「勿論です。ガーネット伯爵家の後継であられるアリエル様に輿入れ頂くのです。当然の事です」
「ありがとうございます。私共も侯爵家の事情は分かっております。出来る限りのお手伝いをさせて頂きたいと考えております」
「こちらこそありがとうございます。お恥ずかしい話しですが、折角我が家へと嫁いで頂くアリエル様に、私は何もしてあげる事が出来ません。はっきり申し上げて金が無いのです。ですが、これだけはお約束致します。必ず大切に致します」
ウィリアム様は申し訳無さそうに私たちに向かって深々と頭を下げました。
この侯爵家の嫡男でありながら、正直に金が無いと認め、頭を下げるウィリアム様の真摯な態度に両親は感銘を受けたようでした。
こうして私とウィリアム様の婚姻は両家の間で着々と進められていったのです。
母は納得がいかない様子で、父に言い募ります。
「アリエルがここ迄言うんだ。余程ウィリアム様の事を慕っているのだろう。それならば、この子の幸せを考え嫁がせてやろうではないか。幸いにもウィリアム様本人がこの子を是非にと仰って下さっているのだ。侯爵家には寄り親としての恩もある。それならば、私たちは親としてこの子と侯爵家を支えていくしかないではないか?」
「それはそうですが…」
母はそれでもまだ困惑の表情を隠そうともしませんでした。そんな母を尻目に父は私に告げました。
「但し、条件がある。アリエル、お前はこの家の1人娘だ。だからお前はウィリアム様との間に少なくとも2人以上の子を産まなければならない。また、お前の産んだ子の中の1人を我が家は養子として貰い受ける。もし、その条件を侯爵家が飲まぬ場合はこの縁談は断るからな?」
「…分かりました」
貴族にとって後継問題がどれほど大切な事か位、私にもわかります。だからそれは、私の希望を叶える為に父が示してくれた精一杯の譲歩だったのです。
「何かあったら何時でも相談に乗るからな。それに嫌になったら何時でも帰って来なさい。分かったな? お前には帰る家があるんだ。私たちはお前の為ならどんな事でも喜んで力を貸そう」
父は言い聞かせる様にそう言って私の頭を優しく撫でました。
「そうよアリエル。嫌になったら何時でも帰って来なさい」
母もそう言って目に涙を浮かべます。
これから嫁ごうという娘に、両親が揃って何時でも帰って来いと言う。本来ならここで疑問に思うべきだったのです。ですが、やっと両親に認めて貰え、有頂天になっていた私は、1人娘の私を両親が必要以上に心配し過ぎている…それくらいにしか考えてはいませんでした。
何より、望まれて愛する方の元に嫁ぐのです。私は幸せになれると信じて、疑いすら抱きませんでした。
その後、我が家に挨拶にみえたウィリアム様は、ご苦労されているのかかなり痩せておられました。でも、昔のままの優しい笑顔を私に向けて下さったのです。
ウィリアム様は直ぐに父の出した条件を飲みました。
「勿論です。ガーネット伯爵家の後継であられるアリエル様に輿入れ頂くのです。当然の事です」
「ありがとうございます。私共も侯爵家の事情は分かっております。出来る限りのお手伝いをさせて頂きたいと考えております」
「こちらこそありがとうございます。お恥ずかしい話しですが、折角我が家へと嫁いで頂くアリエル様に、私は何もしてあげる事が出来ません。はっきり申し上げて金が無いのです。ですが、これだけはお約束致します。必ず大切に致します」
ウィリアム様は申し訳無さそうに私たちに向かって深々と頭を下げました。
この侯爵家の嫡男でありながら、正直に金が無いと認め、頭を下げるウィリアム様の真摯な態度に両親は感銘を受けたようでした。
こうして私とウィリアム様の婚姻は両家の間で着々と進められていったのです。
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