アユミちゃん

まろ蔵

文字の大きさ
上 下
15 / 34

〈アユミちゃんと花咲か爺さん〉

しおりを挟む
『うらのはたけで ポチがなく 
しょうじきじいさん ほったれば 
大ばん こばんが 
ザクザク ザクザク 』

アユミちゃん絵本を閉じると叫びます。
「ポチィ!ポチィーッ!ぷおーっちぃーーっ!
どこ、どこ、どこにいるのぉー?」

「く、くぉん?」
ご主人様の只ならぬ気配に少し怯えながらも、尻尾をパタパタ、ポチがやって来ました。

「ああ、ポチィー。
良い子ねぇー。
さあ、裏の畑に行きましょう」
「くぅん?」

えーっと、アユミちゃんのお家の裏は、確か山だったよね。

「はい小っちゃい事は気にしない、ワカチョコワカチョコぉー!
さ、裏へ行くよぉー!」
「く、く、くぅーん」

有無を言わさず、裏山登り。
当然いつもの竹藪です。

「ああ、この前の光る竹、枯れてるぅーっ!
拾って貰えなかったんだぁ、可哀想ぉー!
ふふふ、悪は滅びる」

アユミちゃん顔が越後屋になってるよ。

その時、ポチが猛然と吠え立てます。
「ワンワン、バウワウ、ガフガフ、ジャウジャウ」
「ポチ、お前スゴイねえ、いったい何ヶ国語喋れるの?」

「ウーウー、ハフハフ、ウワウワ、ゴンゴン」
「へーっ、フランスではウワウワ、インドネシアはゴンゴンなんだ。
面白いねえ」

いやいや、そういうのもうイイからぁ。

「わんわんわんわん」
「あっ!
ここ掘れって事?
合点承知の助!!」

確かにポチがないてる所、土が少し盛り上がってます。

アユミちゃん、やおらねじり鉢巻にタスキがけ、スコップ取り出し、よっこらしょおぅーっ!

「おおお、すんげえっー!
タ・ケ・ノ・コ GET‼️」

ああ、そりゃ道理だわ、だって竹藪だもん。

もう止まらない、アユミちゃんパワー全開!
次々と筍を掘り出します。

「これはこれで豊作って奴だよね」
お顔は泥だらけだけど、白い歯見せてにっこり笑うアユミちゃん、とてもキュートです。

今日の料理はきっと筍づくし、季節の味を堪能してね。
しおりを挟む

処理中です...