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23話
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勉強会をするようになって3日目。3日坊主という言葉はこの世界でも有効なようで、我らが部長は既に限界を迎えようとしていた。
「みゃーちゃーん・・・・・・これもやんなきゃダメ?」
「大会に出たくないなら別にいいけどさ。後輩たちにいいところ見せるんでしょ?」
泣き言を言いながらも手は止まらないのは凄いのかもしれない。自分と伊織はというと、平均点よりも上は確実だろうから、授業の復習のみで済む。が、これだけは何度復習しても違和感と不安が拭えないでいた。
「耳かき史、えらく限定的じゃない?」
「世界史でも日本史でも耳かき文化の発達は特別だよ。それぞれ全く別の地域で生まれたのに、耳かきの腕を競うという文化はどこでもあったからね。」
スポーツの祭典の会場なども、元あったさまざまなスポーツではなく、耳かきの腕をきそう神聖な土地なんだとか。耳かきがスポーツというだけで、歴史が変わるなんてことがあるのか。
「日本が一番最初に耳かきに競技としてのルールを作った、ねぇ。」
「すごいよね。最初は時間を競うだけだったのが、汚れ具合や耳の条件で変わってしまうからって技術点を発明した人がいたんだって。」
「控えめに言ってイカれてると思う。」
「ハハっ。確かに。でもそのおかげで僕たちも耳かきってスポーツを楽しめる。ありがたいことだよ。」
耳かき史なる異常な学問を学びながら、友梨奈先輩たちに再び目を向ける。
手は相変わらず動いているが目から滝のように涙が溢れている。この人飽きっぽ過ぎないか。
「耳かき史以外は本当にダメだね。」
「息抜きー!息抜きに耳かきしたいー!されたーい!」
「あんたねぇ・・・・・・」
駄々っ子と母親のような感じになってる・・・どうしようもない先輩だ。しかし、この人多分マジで耳かきやってる以外のイメージがないことを考えるとよく頑張っている・・・か?
「しょうがない。じゃあ一回だけ。されるほうならいいよ。」
「えー!私耳かきしたい!攻め側やりたい!」
「友梨奈が今攻め側やったら耳かきに思考取られて覚えたこと全部忘れそうだから、受けだけ。受けならリラックスできるでしょ。」
「うーーー。わかったよ・・・・・・」
やや不満そうだが、一応話はまとまったらしい。
「後輩。聞いてたろ。友梨奈にやってあげて。試合じゃないから程々にね。」
「はい。」
宮古先輩に促され耳かきの準備を始める。耳かき道具を手元に置き、ソファに腰掛けると、友梨奈先輩が膝の上に乗る。
「よいしょー!」
顔は外側を向いているので、こちらも安心して耳かきができる。
「んじゃ、はじめますから、終わったらまた勉強してくださいよ?
「前向きに検討します!」
ふんすっ!と鼻息を鳴らしながら何を言ってるんだこいつは。
「ちゃんとやらないと次の練習で鼓膜まで行きますからね?」
「じょ、ジョーダンだよ!部長ジョーク!」
軽い脅しに、慌てた声で答えるのはあまりにも情けないがなぜか憎めないところがあるのは、まあ、得な人種だと思う。
「はぁ。友梨奈、本当にちゃんとしてよ?」
「前から思ってたけどなんで宮古先輩が部長じゃないんです?」
「ひどいよ!?部長がいま後輩くんに脅されてるのに!?その反応?」
いややっぱムカつくなこの人。
「んじゃ、いきますよ。」
耳を伸ばし、穴を覗き込んだ。
「みゃーちゃーん・・・・・・これもやんなきゃダメ?」
「大会に出たくないなら別にいいけどさ。後輩たちにいいところ見せるんでしょ?」
泣き言を言いながらも手は止まらないのは凄いのかもしれない。自分と伊織はというと、平均点よりも上は確実だろうから、授業の復習のみで済む。が、これだけは何度復習しても違和感と不安が拭えないでいた。
「耳かき史、えらく限定的じゃない?」
「世界史でも日本史でも耳かき文化の発達は特別だよ。それぞれ全く別の地域で生まれたのに、耳かきの腕を競うという文化はどこでもあったからね。」
スポーツの祭典の会場なども、元あったさまざまなスポーツではなく、耳かきの腕をきそう神聖な土地なんだとか。耳かきがスポーツというだけで、歴史が変わるなんてことがあるのか。
「日本が一番最初に耳かきに競技としてのルールを作った、ねぇ。」
「すごいよね。最初は時間を競うだけだったのが、汚れ具合や耳の条件で変わってしまうからって技術点を発明した人がいたんだって。」
「控えめに言ってイカれてると思う。」
「ハハっ。確かに。でもそのおかげで僕たちも耳かきってスポーツを楽しめる。ありがたいことだよ。」
耳かき史なる異常な学問を学びながら、友梨奈先輩たちに再び目を向ける。
手は相変わらず動いているが目から滝のように涙が溢れている。この人飽きっぽ過ぎないか。
「耳かき史以外は本当にダメだね。」
「息抜きー!息抜きに耳かきしたいー!されたーい!」
「あんたねぇ・・・・・・」
駄々っ子と母親のような感じになってる・・・どうしようもない先輩だ。しかし、この人多分マジで耳かきやってる以外のイメージがないことを考えるとよく頑張っている・・・か?
「しょうがない。じゃあ一回だけ。されるほうならいいよ。」
「えー!私耳かきしたい!攻め側やりたい!」
「友梨奈が今攻め側やったら耳かきに思考取られて覚えたこと全部忘れそうだから、受けだけ。受けならリラックスできるでしょ。」
「うーーー。わかったよ・・・・・・」
やや不満そうだが、一応話はまとまったらしい。
「後輩。聞いてたろ。友梨奈にやってあげて。試合じゃないから程々にね。」
「はい。」
宮古先輩に促され耳かきの準備を始める。耳かき道具を手元に置き、ソファに腰掛けると、友梨奈先輩が膝の上に乗る。
「よいしょー!」
顔は外側を向いているので、こちらも安心して耳かきができる。
「んじゃ、はじめますから、終わったらまた勉強してくださいよ?
「前向きに検討します!」
ふんすっ!と鼻息を鳴らしながら何を言ってるんだこいつは。
「ちゃんとやらないと次の練習で鼓膜まで行きますからね?」
「じょ、ジョーダンだよ!部長ジョーク!」
軽い脅しに、慌てた声で答えるのはあまりにも情けないがなぜか憎めないところがあるのは、まあ、得な人種だと思う。
「はぁ。友梨奈、本当にちゃんとしてよ?」
「前から思ってたけどなんで宮古先輩が部長じゃないんです?」
「ひどいよ!?部長がいま後輩くんに脅されてるのに!?その反応?」
いややっぱムカつくなこの人。
「んじゃ、いきますよ。」
耳を伸ばし、穴を覗き込んだ。
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