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16 価

「息子は好奇心が旺盛なんだ。それを止めろという方が難しいよ」
「止めろと言ってるか？　止まらないさ、可変はな」
「お前も知ってるだろう。レトロな世界に閉じ込めたところで、広大な検索窓が閉じる訳ではない。息子は知恵の実を手に入れたのだから。もう私の話なんか聞いてはくれないよ」
「言い訳なんか聞きたくない。我々の義務なんだよ。未来が明るかろうが暗かろうが知ったことないが、希望を抱いて待つ権利は誰にだってある」
「ほう、では私の息子にもあるんだな」
「それは」
「大人しく育てたよ。自らの吸収もなるべく少なめに、体力はひとしおに。立ち向かいはせず従順な犬のように。とてもつまらなかった。私と妻が育てた息子は、内部に爆弾を抱えているのだから仕方ない。皆の為だ、国のため、世界の為だから、人の人生１つくらい犠牲にしましょう。そうしましょう。

バカを言うな。平和や秩序や教会なぞ、今はどうだっていい。いや、どうでも良くなった。我慢の限界と云うやつだ。芽吹いたのなら、私は息子の夢を応援するさ。父親だからな。しかたなく」