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ハロウィン
しおりを挟む『トリックオアトリート、お菓子をくれないと悪戯しちゃうぞっていうか、悪戯しちゃいます。……一部地域では勘違いしてコスプレイベントみたいになってるけど、俺がやるのはしっかりしたモノだからね!』
『という事で、三十一日に特殊なモンスターを出現させたり、いつもと違うドロップ割合にするからお楽しみに!!』
一方的にそう言って管理者は消えた。
続けて協会から発表された情報でなんとか落ち着きを取り戻したが、いつもと違うという言葉に探索者たちは胸を膨らませ、ダンジョンへと押し掛けた。
『ドキ、油断すると悪戯されちゃうぞ! 管理者主催の○○年ハロウィンイベント!!』
ダンジョンに足を踏み入れた瞬間に響き渡る声に全員が一斉に辺りを見渡す。
事前公開された情報だと特殊なモンスターは子供のような見た目のモンスターがデフォルメされた小悪魔や魔女の恰好をしたものや目や口みたいな形にくり抜いたカボチャを頭に身に着け、ランタンを片手に持ったジャックオーランタンがいるらしい。
出会うと『トリックオアトリート』の掛け声と共に近寄ってくるらしく、持っているお菓子をあげるとお返しとして何かをくれて渡さないと悪戯されるとの事。
流石に管理者の話よりも先に長期間潜っている探索者や当日にお菓子が足りなくなる事を見越して通常モンスターのドロップにもお菓子を追加するなどの対策を取ってくれているので悪戯被害に遭う可能性は低くしてあるらしい。
ただ、今みたいな事は事前情報に無かった事も有って何が起きるか分からないドキドキ感がある。
「それにしても今日のドロップはどんな感じになるかしら?」
「ですね。いつものにプラスしてお菓子が落ちるのはいいですけど、どれぐらいかによってはハロウィンの方を優先した方が良さそうですし……」
「できればお菓子は全部特殊モンスターにあげたい」
幸と幸太の話に進はそう言うと幸が不思議そうな顔をしながら聞き返す。
「どうしてかしら?」
「あぁ、どんな悪戯を食らうか分からないし、倒す事も出来るらしいけど無理に倒さなくても物が貰えるならその方が楽だろう」
「それはそうだけど、そんな都合良く出会うと思う?」
「わざわざ何種類か出現するようにして有るらしいし、比較的簡単に遭遇すると思う」
進の言葉を疑うように見ていた幸だが、直ぐにラットが襲い掛かってきた事も有ってそっちの対応を優先した。
襲ってきたラットの数は六匹。既に幸太が一匹を倒して次のラットに向かっていた。
それを見ながら幸は幸太から一番遠いものを選んで斬りかかる。
「幸太、そっちの残り二匹は任せたわよ!」
「任せてください!!」
二人の動きから進は問題無く倒せるだろうと判断してドロップ品の回収を優先する。
戦っている二人も最初からそのつもりなのか、倒し終わった後に出るドロップ品には目もくれずに次の相手へと直ぐに向かう。
「これで終わり!!」
「お疲れ様です」
「こっちも他のは回収した。どうやら比較的にお菓子は出やすいっぽいぞ」
ドロップ品を回収していた進は魔石の他は全部お菓子が出た事を二人に告げた。
「えっ、そんなに?」
「はー、今日限定の物ですし、余ったのが良い価格で売れると良いですね」
「まぁ、見た目的に食べたいと思うような物でも無いし、食べれるかも分からないから全部売りたいな」
毒々しい配色のペロペロキャンディーを二人に見せて食べれそうにないと言う進に二人もあまり食べたくないようで反対をする事は無かった。
「じゃあ、後は限定モンスターに出会うだけですし、どんどん降りて行って居そうな場所を探すっての良いですよね?」
「あぁ、そうだな。ただ、今日は日帰りの予定だから潜っても二十階前後で止めて引き返す感じにしよう」
「そうね。途中で何か所かセーフティーエリアに寄って他のパーティーにハロウィン関係の事聞くのも悪くないと思うわ」
「なら、五刻みでセーフティーエリアに寄って二十階で引き返すようにしましょう」
幸太の案に進も幸も特に反対する事も無く、今後の動きが決まった。
しかし、途中のセーフティーエリアで話を聞けたのは一回だけで同じような考えのパーティーが一組いただけだった。
「結局、お菓子は手に入るけどって感じになりましたね……」
「まぁ、仕方ないさ。こういうモンスターは出る時は出るし、出ない時は出ないものなんだから」
「でも、ここまで出ないってなると何かしらの条件が有りそうな気がするわ」
「条件、か……」
幸の言葉にハロウィンについて思い出そうとする進だったが、それより先に幸太が話す。
「日本だとコスプレして練り歩くような物になってますよね、ハロウィンって」
「管理者もその事に触れていたし、しっかりした物をやるって言っていたのよね」
「しっかりしたって、どんなものなんですか?」
「あぁー、知っているのはカボチャをくり抜いたランプだかランタンだかが有ったり、子供がお化けの仮装して近所の家に訪れてお菓子を貰うだった筈」
どうやら幸太はここ最近の日本の物しか知らないようだった。
進もそこまで関わりが無い事も有って発表が有ってからチラっと調べた内容を言うが、ダンジョンでってなると少し変わる部分が有るだろうと付け加えて言った。
「ダンジョンに家は無いし、今まで回ってきた階層にもそれっぽい建物は無かったわよね?」
「はい、見てないですね」
そんな話をしていると二十階に有るセーフティーエリアの一つが見えてくる。
「このまま遭遇しないで終わりそうな気もするけど、予定通りにここで休憩して引き返そう」
「仕方ないわね。でも、もしかしたらセーフティーエリアに長時間居たら出てきたりしないかしら?」
「あー、セーフティーエリアを家に見たてる訳ですね」
休憩する準備をしながら二人の会話を聞いていた進はそれを聞いて思った。それが正解なのではかと。
「なぁ、それが正解なんじゃないか?」
「えっ、そう言われると……」
「まぁ、有りそうな気はしますが……」
「今回の休憩で昼飯食べる予定なんだし、食べ終わってからも少しここに居ようぜ」
進の言葉に疑問を抱きながら二人は頷いた。
それを確認した進は荷物から昼食の用意を取り出して作り始める。
「今日は何を作るんですか?」
「あぁ、今日はホットサンドとパンプキンスープだ。パンプキンスープの方は市販の粉のタイプ使うから直ぐに飲めるぞ」
「ホットサンドの具は選べますか?」
目を輝かせたように進に聞く幸太を幸は笑いながら見ていた。
進もそんな二人の様子に苦笑しながら答える。
「ハム、チーズ、レタスなどの野菜に卵は有るぞ。あと、微妙にひと手間加えればここの中に入ってるのは使えるな」
「じゃあ、俺は……」
進が取り出した袋の中を見て幸太は自分の食べる分の要望を進に伝えた。
「分かった。幸はどうする?」
「私は任せるわ。特に食べれない物も無いし、食べられない物は出来ないでしょ?」
「あぁ、分かった。じゃあ、少し待っててくれ」
そう言って調理に取り掛かる進の様子を見て幸太は置かれていたマグカップにパンプキンスープの素を入れたりと手伝い始めるのだった。
やっとソレが現れたのは昼食を終えて少し経ってからだった。
急に今までの雰囲気が嘘のようにどんよりした空気がセーフティーエリア内に充満した時、通路の方から子供が騒ぐような声が聞こえてきた。
「これは、正解だったかな?」
「そのようね」
「お菓子を与えるの優先ですよね?」
徐々に近づいてくる声に警戒しながら、進は鞄を引き寄せて中から道中で手に入れたお菓子を取り出す。
幸や幸太も進に近寄ってお菓子を受け取りながらも視線は通路に向けたままだった。
《ゾウャチシラズタイシ、カオシ、カオトー、リロアオクッリト》
《ラズタイトイソ、オイナレクモトレ、ソルレクハタナア》
通路から現れたのは二体のモンスターだった。
一体は顔の形にくり抜かれたカボチャを頭してその空洞からは光が漏れている。身体はマントに包まれていて全長は管理者の言っていた通りに子供と同じぐらいだろう。
もう一体も大きさとしては同じくらいの子供のような見た目でデフォルメされた角や尻尾、翼を身に着けた人形だった。ただし、どちらも片手に血の滴る子供用の包丁を持っていた。
二体はセーフティーエリア内にいる進たちに気が付くとスルスルと近づいてくる。
本来ならばモンスターを寄せ付けないようになっている筈なのにそれを感じさせない動きには持っている物も合わせて恐怖を感じてしまう人もいそうだった。
「幸太、幸、攻撃するなよ」
「えぇ、分かっているわ」
「はい」
徐々に近づいてくる二体は三人の目の前まで来るとピタッと止まる。
イダウョチヲシカオ、トーリロアオクッリト
二体揃ってそう言いながら包丁を持ってない手を進たちに差し出す。
その様子に何を言っているか分からないながらも恐らくお菓子が欲しいのだろうと思った三人は手に持っていたお菓子を二体の手に恐る恐る乗せた。
シカオ、ダシカ、オタッヤ、タッヤ!!
喜んだのか二体でグルグルとその場で回りながら何かを言っている様子に三人は間違っていなかった事に安どする。
そして、直ぐに二体が三人の事を思い出すとちょっと恥ずかしそうな雰囲気を出しながらも包丁をグルリと回す。
ネャキナゲアシエカオノシカオ
包丁の先端に光が集まり、そこから飛び出た光が三人の目の前で何か箱のような物を作っていく。
三人は恐らくこれがお返しなんだろうと思いながらもいつ二体が襲い掛かってくるかを警戒していた。
しかし、そんな三人の様子を無視するように来た時と同じように陽気に騒ぎながらセーフティーエリアを出ていく二体のモンスターだった。
「これはひとまず安心して良いのか?」
「良いんじゃない? 居なくなったし、お返しも貰えたんだから」
「何が貰えたんですかね」
最後にポンっと音共にしっかりと姿を現したのはリボンの巻かれたプレゼント包装の箱だった。
目を輝かせた幸太が開けたそうにしている様子とモンスターが戻ってこないのが分かった進は安堵しながらもその箱を手に取るのだった。
『という事で、三十一日に特殊なモンスターを出現させたり、いつもと違うドロップ割合にするからお楽しみに!!』
一方的にそう言って管理者は消えた。
続けて協会から発表された情報でなんとか落ち着きを取り戻したが、いつもと違うという言葉に探索者たちは胸を膨らませ、ダンジョンへと押し掛けた。
『ドキ、油断すると悪戯されちゃうぞ! 管理者主催の○○年ハロウィンイベント!!』
ダンジョンに足を踏み入れた瞬間に響き渡る声に全員が一斉に辺りを見渡す。
事前公開された情報だと特殊なモンスターは子供のような見た目のモンスターがデフォルメされた小悪魔や魔女の恰好をしたものや目や口みたいな形にくり抜いたカボチャを頭に身に着け、ランタンを片手に持ったジャックオーランタンがいるらしい。
出会うと『トリックオアトリート』の掛け声と共に近寄ってくるらしく、持っているお菓子をあげるとお返しとして何かをくれて渡さないと悪戯されるとの事。
流石に管理者の話よりも先に長期間潜っている探索者や当日にお菓子が足りなくなる事を見越して通常モンスターのドロップにもお菓子を追加するなどの対策を取ってくれているので悪戯被害に遭う可能性は低くしてあるらしい。
ただ、今みたいな事は事前情報に無かった事も有って何が起きるか分からないドキドキ感がある。
「それにしても今日のドロップはどんな感じになるかしら?」
「ですね。いつものにプラスしてお菓子が落ちるのはいいですけど、どれぐらいかによってはハロウィンの方を優先した方が良さそうですし……」
「できればお菓子は全部特殊モンスターにあげたい」
幸と幸太の話に進はそう言うと幸が不思議そうな顔をしながら聞き返す。
「どうしてかしら?」
「あぁ、どんな悪戯を食らうか分からないし、倒す事も出来るらしいけど無理に倒さなくても物が貰えるならその方が楽だろう」
「それはそうだけど、そんな都合良く出会うと思う?」
「わざわざ何種類か出現するようにして有るらしいし、比較的簡単に遭遇すると思う」
進の言葉を疑うように見ていた幸だが、直ぐにラットが襲い掛かってきた事も有ってそっちの対応を優先した。
襲ってきたラットの数は六匹。既に幸太が一匹を倒して次のラットに向かっていた。
それを見ながら幸は幸太から一番遠いものを選んで斬りかかる。
「幸太、そっちの残り二匹は任せたわよ!」
「任せてください!!」
二人の動きから進は問題無く倒せるだろうと判断してドロップ品の回収を優先する。
戦っている二人も最初からそのつもりなのか、倒し終わった後に出るドロップ品には目もくれずに次の相手へと直ぐに向かう。
「これで終わり!!」
「お疲れ様です」
「こっちも他のは回収した。どうやら比較的にお菓子は出やすいっぽいぞ」
ドロップ品を回収していた進は魔石の他は全部お菓子が出た事を二人に告げた。
「えっ、そんなに?」
「はー、今日限定の物ですし、余ったのが良い価格で売れると良いですね」
「まぁ、見た目的に食べたいと思うような物でも無いし、食べれるかも分からないから全部売りたいな」
毒々しい配色のペロペロキャンディーを二人に見せて食べれそうにないと言う進に二人もあまり食べたくないようで反対をする事は無かった。
「じゃあ、後は限定モンスターに出会うだけですし、どんどん降りて行って居そうな場所を探すっての良いですよね?」
「あぁ、そうだな。ただ、今日は日帰りの予定だから潜っても二十階前後で止めて引き返す感じにしよう」
「そうね。途中で何か所かセーフティーエリアに寄って他のパーティーにハロウィン関係の事聞くのも悪くないと思うわ」
「なら、五刻みでセーフティーエリアに寄って二十階で引き返すようにしましょう」
幸太の案に進も幸も特に反対する事も無く、今後の動きが決まった。
しかし、途中のセーフティーエリアで話を聞けたのは一回だけで同じような考えのパーティーが一組いただけだった。
「結局、お菓子は手に入るけどって感じになりましたね……」
「まぁ、仕方ないさ。こういうモンスターは出る時は出るし、出ない時は出ないものなんだから」
「でも、ここまで出ないってなると何かしらの条件が有りそうな気がするわ」
「条件、か……」
幸の言葉にハロウィンについて思い出そうとする進だったが、それより先に幸太が話す。
「日本だとコスプレして練り歩くような物になってますよね、ハロウィンって」
「管理者もその事に触れていたし、しっかりした物をやるって言っていたのよね」
「しっかりしたって、どんなものなんですか?」
「あぁー、知っているのはカボチャをくり抜いたランプだかランタンだかが有ったり、子供がお化けの仮装して近所の家に訪れてお菓子を貰うだった筈」
どうやら幸太はここ最近の日本の物しか知らないようだった。
進もそこまで関わりが無い事も有って発表が有ってからチラっと調べた内容を言うが、ダンジョンでってなると少し変わる部分が有るだろうと付け加えて言った。
「ダンジョンに家は無いし、今まで回ってきた階層にもそれっぽい建物は無かったわよね?」
「はい、見てないですね」
そんな話をしていると二十階に有るセーフティーエリアの一つが見えてくる。
「このまま遭遇しないで終わりそうな気もするけど、予定通りにここで休憩して引き返そう」
「仕方ないわね。でも、もしかしたらセーフティーエリアに長時間居たら出てきたりしないかしら?」
「あー、セーフティーエリアを家に見たてる訳ですね」
休憩する準備をしながら二人の会話を聞いていた進はそれを聞いて思った。それが正解なのではかと。
「なぁ、それが正解なんじゃないか?」
「えっ、そう言われると……」
「まぁ、有りそうな気はしますが……」
「今回の休憩で昼飯食べる予定なんだし、食べ終わってからも少しここに居ようぜ」
進の言葉に疑問を抱きながら二人は頷いた。
それを確認した進は荷物から昼食の用意を取り出して作り始める。
「今日は何を作るんですか?」
「あぁ、今日はホットサンドとパンプキンスープだ。パンプキンスープの方は市販の粉のタイプ使うから直ぐに飲めるぞ」
「ホットサンドの具は選べますか?」
目を輝かせたように進に聞く幸太を幸は笑いながら見ていた。
進もそんな二人の様子に苦笑しながら答える。
「ハム、チーズ、レタスなどの野菜に卵は有るぞ。あと、微妙にひと手間加えればここの中に入ってるのは使えるな」
「じゃあ、俺は……」
進が取り出した袋の中を見て幸太は自分の食べる分の要望を進に伝えた。
「分かった。幸はどうする?」
「私は任せるわ。特に食べれない物も無いし、食べられない物は出来ないでしょ?」
「あぁ、分かった。じゃあ、少し待っててくれ」
そう言って調理に取り掛かる進の様子を見て幸太は置かれていたマグカップにパンプキンスープの素を入れたりと手伝い始めるのだった。
やっとソレが現れたのは昼食を終えて少し経ってからだった。
急に今までの雰囲気が嘘のようにどんよりした空気がセーフティーエリア内に充満した時、通路の方から子供が騒ぐような声が聞こえてきた。
「これは、正解だったかな?」
「そのようね」
「お菓子を与えるの優先ですよね?」
徐々に近づいてくる声に警戒しながら、進は鞄を引き寄せて中から道中で手に入れたお菓子を取り出す。
幸や幸太も進に近寄ってお菓子を受け取りながらも視線は通路に向けたままだった。
《ゾウャチシラズタイシ、カオシ、カオトー、リロアオクッリト》
《ラズタイトイソ、オイナレクモトレ、ソルレクハタナア》
通路から現れたのは二体のモンスターだった。
一体は顔の形にくり抜かれたカボチャを頭してその空洞からは光が漏れている。身体はマントに包まれていて全長は管理者の言っていた通りに子供と同じぐらいだろう。
もう一体も大きさとしては同じくらいの子供のような見た目でデフォルメされた角や尻尾、翼を身に着けた人形だった。ただし、どちらも片手に血の滴る子供用の包丁を持っていた。
二体はセーフティーエリア内にいる進たちに気が付くとスルスルと近づいてくる。
本来ならばモンスターを寄せ付けないようになっている筈なのにそれを感じさせない動きには持っている物も合わせて恐怖を感じてしまう人もいそうだった。
「幸太、幸、攻撃するなよ」
「えぇ、分かっているわ」
「はい」
徐々に近づいてくる二体は三人の目の前まで来るとピタッと止まる。
イダウョチヲシカオ、トーリロアオクッリト
二体揃ってそう言いながら包丁を持ってない手を進たちに差し出す。
その様子に何を言っているか分からないながらも恐らくお菓子が欲しいのだろうと思った三人は手に持っていたお菓子を二体の手に恐る恐る乗せた。
シカオ、ダシカ、オタッヤ、タッヤ!!
喜んだのか二体でグルグルとその場で回りながら何かを言っている様子に三人は間違っていなかった事に安どする。
そして、直ぐに二体が三人の事を思い出すとちょっと恥ずかしそうな雰囲気を出しながらも包丁をグルリと回す。
ネャキナゲアシエカオノシカオ
包丁の先端に光が集まり、そこから飛び出た光が三人の目の前で何か箱のような物を作っていく。
三人は恐らくこれがお返しなんだろうと思いながらもいつ二体が襲い掛かってくるかを警戒していた。
しかし、そんな三人の様子を無視するように来た時と同じように陽気に騒ぎながらセーフティーエリアを出ていく二体のモンスターだった。
「これはひとまず安心して良いのか?」
「良いんじゃない? 居なくなったし、お返しも貰えたんだから」
「何が貰えたんですかね」
最後にポンっと音共にしっかりと姿を現したのはリボンの巻かれたプレゼント包装の箱だった。
目を輝かせた幸太が開けたそうにしている様子とモンスターが戻ってこないのが分かった進は安堵しながらもその箱を手に取るのだった。
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