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第1章
1話目
しおりを挟む父さん母さん。兄貴を迎えに来たって言う人の姿をした魔族...こっちの世界では彼らのことを魔族と言うらしいです...に引きずられた兄貴にあたしまで引きずられてしまいこの異世界に来たが取り合えずあたしは元気にやってます。
まぁこちらの世界に来る途中何度か足蹴にした為、兄貴と離れてしまい困った事にはなりましたがなにやら言葉は通じるらしく取り合えず一人で生計を立てています。幸い下働きを募集していたところがあったので速攻で掛け合いました。ほぼ腕力にモノを言わせてですが。あ、なんかこの世界に来た時にチートな能力が付属されたらしく体力などが2倍から3倍になってました。
「――カナン、ちょっと手を貸してぇ」
「はいよグエンさん。ここが終わったらそっち行きますんで、もうちょっと待ってて下さい」
そして今日は何時にもまして屋敷の中がてんてこ舞いです。なんでも国王が先月通算596回目の勇者を召喚したらしく、勇者一行がこの屋敷に滞在するとか何とかでこっちの仕事が一気に増えました。マジ勘弁してくれって感じです。595人の勇者が召喚されたことから察するにどうやら兄貴にもあたし同様チートな能力が付いてんのか、はたまた周りのお付の人が優秀なのか分からないが兄貴は無事に生を謳歌しているようです。因みに595人もの数なんですがどうやらあたしは魔王が出現してから数十年から数百年程経って、この異世界に現われたようです。兄貴とはだいぶ時間軸のずれが出来ていました。ええ、なんてたって兄貴が結婚していてしかも自分より年上の甥が居る。しかも魔族って。マジ勘弁して。さっきも使ったが。
「ごめんグエンさん、待たせた?」
「ううんそんなことないよ?」
「じゃ、さっさと始めて終わらせましょうか」
あたしは慣れた仕事をさくさく進め、最後の仕上げとしてキングサイズのベッドメイクをグエンさんに手伝って貰いながら済ます。
「...さてとこれが終わったらグエンさんは裏に隠れててね。表に出てきちゃ駄目だよ?」
「ここに来る前アンヌさんにも言われたわ」
クスクスと天使のように可愛らしく笑うグエンさん。正式名称はグルニエール・ハッシュさん。肩甲骨までの緩やかなカールのハニーブロンドの髪と琥珀色の双瞳を併せ持つとってもキレイな同僚さん。
「聞いた話によると今回の勇者一行、相当女癖が悪いって言うし、あたしとしてはそんな害虫如くの勇者の目にグエンさんを触れさせたくn「まったく、同感よ」...って大奥様?」
「全く、私も今回この屋敷にあの勇者が滞在すると聞いた時にははっきり言って国王の首を絞めてやろうかと思ったわ」
このニーベングル家の家長であるラインテッド・オーベン・ニーベングルの母親で実質の屋敷の最高権力者、その人物の登場にあたしとグエンさんの仕事の手が疎かになる。てか、おいおい。臣下に慕われない王様ってどうよ。
「どちらかって言えば魔王に危機感持つよりも軍事公国のヴェールズに危機感を持って欲しいくらいだわ。」
その後もブツブツと呟く大奥さま。―――確かにそんな話しをあたしもちらほら聞いた。確か下町の居酒屋でご機嫌に飲んだくれてた従軍騎士団の...名前なんだたっけ? まぁいいや知らなくても困らないし。まぁ兎に角、そいつも今は魔族云々よりも国境沿いに進軍して来ているヴェールズに目を向けるべきだ。ってぼやいてたな。
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