義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍

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僕の出産

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リーゼロッテ様は、当面ブリザード王国と行ったり来たりしそうだ。

なんだかめんどくさそうだったので、僕の部屋みたいにあちらの国の部屋とこっちの国の部屋を繋いでしまった。

空中に浮かんだ金色のドアで繋がってはいるけど、許可した者しか絶対に通れない。


「あらまぁ、あらまぁ!可愛らしいこと!」

「本当にねぇ。」

「じいじはこっちだよ!」

「こっちもじいじだよぉ~。」


出産が急だったので、駆けつけられなかった両方の祖父母は、事あるごとに集まっては、孫たちを愛でている。





「ふふふ。可愛いね。」

ロイが僕の腰を抱きながら、三つ子の甥を眺めている。


僕のお腹もだいぶ大きくなった。


本当に元気で育っているのかなって心配だったんだけど、最近、時々、どん!どん!って内側から蹴っ飛ばされるの。

時々お腹の皮が下に引っ張られて、違和感があるけど、すくすく育ってくれて嬉しい。


ロイは、お腹に手を当てて、赤ちゃんのキックを感じたり、耳をあてて、心臓の鼓動を感じたりして、毎日感動している。



甥に贈った三色のドラゴンのお洋服は、試作も兼ねていたそうで、公務の間にせっせと作ったベビー服はかなりの量になっている。

赤ちゃんの離乳食も研究して、赤ちゃん用のレシピ本をこないだ出版したばかりだ。

僕はというと、安定期に入ってから書類の仕事は再開した。

たまには、火をよく通したものなら、魚も食べられるようになった。




そして、僕も―――――――。







「うーーーーーーっ、うーっ。」

「シン、がんばれ、ひーひーふー!」

乙男な夫は出産に立ち会い、僕の手を握りしめる。


「あーっ、あぁーーーーーっ。」

不思議なんだけど、魔法でお腹に赤ちゃんができてるのに、産むときにだけ、産道が現れるんだ。

お尻の穴とタマの間に。


なんでそんなことになるんだか分からないけど。


魔法って不思議。


まあ、でも流石に赤ちゃんがお尻の穴から出てこれるとは思わないし、そんなものかと無理やりに受け入れて。




ほぎゃああ。ほぎゃあ。






やっと、赤ちゃんが産まれた。



「ストロベリーブロンド…。瞳の色は分からないけど、ロイ、ロイに似てる…。」


「ありがとう、シン…。骨格のしっかりした子だ。シンのお腹にいたとは思えないくらい、大きな子だね。陛下もシンのおじいさまも大柄だから隔世遺伝でもしたのかな…。」


「……っっ。」


おかしいな。出産したのに。まだ、お腹が痛い。




「殿下!あと一人!まだ一人います!」


「なんだって?」


「う、あぁあ……っ。」


みゃ…あ。みにゃあああ…。



息を切らして、生まれてきたのは。小さな小さな男の子。



「リーゼロッテ様も三つ子でしたし、姉弟なので、多胎が生まれやすいのかもしれませんね。おめでとうございます。」


「ああ……。かわいい。なんてかわいいんだ。こんなに小さくて。最初の子と比べても、すごくすごく小さい…。髪の色は私だけど、シンによく似てる。」



ありがとう、シン。

おつかれさま。






兄の方にプリンシパル。

弟の方にサンベリルと名付けた。


どっちも可愛い、僕たちの大切な赤ちゃん。

元気に育ってね。



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