義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍

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奥手すぎる貴方

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リーゼロッテ様とスノー王子の婚約はうまくまとまったらしい。

週末のパーティーは急だったが、王女様と僕たちの婚約披露も兼ねたパーティーとして開かれることになった。

とはいっても、かたばらない感じのガーデンパーティーだ。

急だからドレスの新調が間に合わないこと、リーゼロッテ様とスノー王子の性格も考慮したのだろうと思った。


「皆様、この度、王太子のロイとリーゼロッテが婚約することになりました。ロイのお相手はシン=オレリアン公爵。公爵位と領地を持ったまま妃となり、二人の子のうち、臣籍降下する者がゆくゆくは後継となる予定です。」

今日、僕はオレンジ色を差し色にしたロイとお揃いの正装を身に着けている。ロイのが軍服みたいにパリッとしているのに、僕の上着丈は短くて、中のシャツの裾が長く、フワッとしてるけど。

皆様に紳士の礼をする。


「そして、リーゼロッテの嫁ぎ先になるブリザード王国のスノー=リアン=ブリザード王太子です。」

スノー王子が優雅に応える。

ほう、と会場からため息が漏れる。


リーゼロッテ様はとても嬉しそうだ。



「おめでとう、シン。」
アクアリウム公爵家のお祖母様が挨拶してくれた。

「ありがとうございます、お祖母様。」

「来月のパーティーも楽しみにしているよ。」

僕と同じ、ストロベリーブロンドの人たち。
二人はどことなく、僕のお母様に似てる。
バス伯父様は、自分の子どもたちを紹介してくれた。
男の子と女の子。
あっちの従兄弟と違って、いい子そうだ。


「疲れちゃった。」

ロイにエスコートされて、庭の奥の東屋に行く。

「やっぱり王妃教育とかあるのかしら。」

「シンはそのままでも完璧だから、お母様から引き継ぎを聞いたり、要注意人物を教えてもらったり、王家の歴史を学ぶくらいだと思う。」

「ふうん。もっと厳しく詰め込まれると思った。」

それはそうとして。

「エスコートする時、婚約者になったんだし、スノー王子みたいに腰を抱いてもいいんだよ?ダンスの時以外でも、もっと触れてほしいな。」

「えっ。あ、あっ。うん………。」

「おでことか、頬だけじゃなく、唇にキスしても。」


なんで、真っ赤になるの?


「僕、ロイからしてほしいな。」


「こ、心の準備がっ。し、心臓がくるしい」



パタッ。



キャア!なんで倒れるのさ!
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