義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍

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王妃様から回る

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「いらっしゃい!あなたがシンちゃんねっ!」

「は、母上?」

「いえー!王妃の仕事、やりがいがあるなあー?たのしいなー。」

母上ええ。

違います、そういうことじゃありません!


シンの目が冷たいっ。

「失礼ですが。一国の王妃たるもの、そのような振る舞いは控えられたほうがよろしいかと。」


「………はい。」

しょんぼり。

「母上は、和ませようとしてくださったのですよねっ。ありがとうございますっ!」

「そうなの。滑っちゃったわ。なれないことはするものではありませんね。それでは、ゆっくりしてらしてね。」

母上はすごすごと部屋にお戻りになった。


「楽しいお母さんだね。陛下と仲良しなの?」

「ああ。うちは夫婦仲がいいよ。お母様は王妃の仕事、ああみえてちゃんとできるけど、プライベートでは性格はあのとおりだから、癒やされるみたい。」

「オンオフできてるんだね。」


「部屋にクッキーがあるんだ。今朝、私が焼いたんだよ。一緒にお茶にしないか?」

「いいよ。」






「はああ、失敗しちゃったわ。バカ女だと思われちゃったわね。恥ずかしいわ。」

「王妃様。陛下がお呼びです。ブリザード王国の方がお見えになりました。」

「今、行きますわ。」






スノーはバティスタ王国の城に入り、その洗練された城に感心していた。

戦いや争いがない、いい国だ。
だから、街も豊かで城に傷がない。
文化を育めるのは、その余裕があるからだ。

こんな国の王女を本当に自分が貰い受けていいのか悩む。

王の謁見室に向かっていると、隣のフロアで声がした。

王子らしき若い男がストロベリーブロンドの美しい男を連れて、王妃と会話している。
ドギマギしている様子がなんとも。

「焦れったいな。」

「貴方もそう思う?」

急に若い女の声がして振り返ると、朱色の髪の女がクッキーを齧りながらこっちを見ている。

「女々しいのよね。男なら当たって砕けろって言うのよ。あの子と結婚したいけど、あの子は王妃になりたくないんですって。だから何なのよ、ってね。肝心なのは相手だわ。王妃だろうが、ただの嫁だろうが、相手次第だと思うんだけどね。」

「全く同感だ。」

「ふふ、気が合うわね。これ、あげるわ。」

クッキーを一枚、口に放り込んで、リーゼロッテは去っていった。

「王子。陛下と王妃がお見えです。」

オーロラの声で前を向く。
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