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元·悪役令息は可憐に咲き誇る

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「アレン陛下!いつもありがとう!」
視察先の孤児院で、子どもたちが笑顔で花束を陛下に渡し、にこりとほほ笑みながら陛下は膝を折って受け取る。


大きな日傘がトレードマーク。
あまり外に出られない国王陛下は、愛しい夫に守られながら不定期で国民の様子を視察する。

王都を中心に張り巡らせた交通網に、悪意のある者や疫病を検知する関所。

国中を張り巡らせた結界装置に、馬が疲れにくく馬車が揺れにくい舗装された街道は、熱い土地ではひんやりと、雪の中ではそこだけ積もることはない。


街道沿いには灯りがあり、要所要所に騎士や衛兵の休憩所を兼ねたエリア。

そこでは馬や馬車を泊めて宿泊も可能なように整備。



また造船業の発展したフィシャル王国の技術で丈夫で安全な船と航海路の開拓を図り、海と陸の安全な交易を確立させた。

他国でも優れた知識や技術は取り入れ、魔法だけでは解決できない問題を医学や薬学が解決させた。

お互いを疎んじるのではなく、同じくらい素晴らしいものであるという認識のもとでは、魔法と科学の融合が進んだ。


ニューイースト領がイーストタウンとして異国情緒あふれる観光地になったように、それぞれの領地に特色を持たせるよう地域活性化を促し、今ではそれぞれが自分の領地の特色を最大限活かした結果、ファーマ王国はどの土地を見ても魅力がある国となり、生産物の質も高まって、経済発展を遂げた。

この発展を支える人財育成にも余念がなく、身分に関係なく学問を学べ、魔法や剣を極めたい者は自由に学べるようになり、官吏登用は実力主義になり、平民出身の職員も増えてきた。



「すごいですね、アレンは。私の誇りです。」

「みんなが支えてくれるからだよ。」



アレンは子どもを産んでも若々しく、瑞々しい。

清楚で、凛々しくて、可憐な花。

国で一番の頂で咲き誇り、国中を幸せにする純白の花。








「おかあさまー!!おとうさまー!」

視察が終わり、城へ着くと、真っ先に駆け寄ってくる可愛い息子。

黒い髪に黒い目の息子の名前はエンゼル。

孫を溺愛する人たちの満場一致で決まってしまった。

確かに僕とカエサルのいいとこどりでめちゃくちゃ可愛いのだけど…。

名前負けしないように立派に育てなければならない。


「エンゼル。出迎えありがとう。今日はどんなことをして過ごしていたの?」

「パイロンさんがトーンとスクリーンを連れてきてくれたの。だからお勉強の後は一緒に遊んでいたよ。マージャンっていうんだけど、ちょっと難しかったなあ。」

「そっかあ、パイロンさんの元々いた国では紳士の遊びだったらしいからねぇ。」

「アンジュはつまんないってお昼寝!」

僕たちのもとへやってきた二人目の天使は女の子だった。
アンジュの方がどちらかといえば、より僕にそっくりな気がするけど、こっちは王家の色が出て金髪碧眼だった。
金髪と言っても、ブラウンに近い(黒色が混じっているからかな?)色だけど、だから黄金色っぽくて、瞳も綺麗な青い目なの。

パイロンとアイシーにも男の子が二人生まれたし、僕は子どもたちの将来に想いをはせる。



僕は楽しい学園生活を送れたとは言い難いけど、この子たちは楽しいといいなぁ。


まさか、また、悪役令息だなんていわれないよねぇ…?
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