悪役令息上等です。悪の華は可憐に咲き誇る

竜鳴躍

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誘惑と苛立ちと

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「アイシー様っ……!アイシー様って王家の閨教育担当なんですね…!婚約破棄に伴う賠償金は俺が払いますから!俺をお嫁さんに考えてくれませんか??」

「ブルー殿下困ります。私は婚約者を愛しているのです。」

「ちょっと線が細い彼ですよね。見た目より年をとっていると聞きますし。俺は18歳になったばっかりでピッチピチですよ!胸だって大きいし、お尻だって。安産型だって言われるんです。うちは兄妹多いし、きっと俺もたくさん元気な子を産めますよ!ハァ……。アイシー様の胸筋素敵…!やっぱり夜の御勤めだから鍛えているんですか?アッチも凄いんでしょうね…。俺処女だけど、体力だってあるし絶対に満足させますよ♡」



「アイシー。よかったですね。処女ですってよ。処女でエロイなんて夢みたいですね。しかも私より10も若いですよ。乗り換えたらいいんじゃないですか?」

夜会以降、纏わりつかれるアイシーに、何故かニューイースト領に戻っていないパイロン。

乗り換えたらいいなんて言う割に、苛立ちを隠せない。


「パイロン!私にとっては君が一番エロ可愛いから!」

「どうでしょうねぇ…。」


「ははは。アイシー殿。もしアイシー殿が婚約破棄をしても私が彼に求婚しますので、お気になさらず殿下を口説いていただいていいのですよ?ああ、パイロン様。貴方は私の運命です。」

「ルフィさんでしたっけ?あなたたちは外交できたのではないですか?」

「半分は伴侶探しで来ました!」


「パイロンは私の婚約者だ!!!!!結婚相手は他で見繕ってもらおうか!」

アイシーは怒って大声をあげた。
らしくないその姿に、パイロンは微笑ましくなる。

「その通りだ。俺たちはカラダの相性もバッチリだし、相思相愛なので他を当たってください。」



「「………はい…。わかりました…………。」」

ぽいぽいと2人を追い出して。




「パイロン…。嫉妬してくれて嬉しかった…。」

「だってお前は俺のモノなのに………。今更目移りしたら許さないんだからな。」

もう二度と、婚約者に裏切られたくない。

それに、もうこんなに好きになってしまって。
自分の気持ちに自覚してしまったのに。


当て馬の存在は、素直になれないパイロンにとっていい風に転がったようだ。
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