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欲に負けた

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「ああっ…………!はあっ、……………んっ。」


「マスター、部屋を借りる!」

刺激しないよう姫抱きにして、2階に行くと、ベッドに降ろしてやる。


「ここならマスターベーションしてもいいだろう。私は部屋を出ていくから。」

目の端が紅く染まって、潤んだ瞳。


「……………っ、できないっ、手に、ちからが、はいらなっ」



「……………なら、手伝ってやる。」

お人好しにも領民のために、おそらく純潔だろうカラダを捧げようとした青年。


幼いころから暗部を統括する家門の者として、汚いものばかりをみてきたから…。
領民を自分ののように考える貴族の多い世の中で、領民のためなら我が身を投げ捨てようとするこの子が、酷く眩しく見える。

こんな子が自分の隣にいたらどんなに心が休まるだろうか…。

この子に触れたら、自分の穢れがこの子に移ってしまいそうで。

だが、酷く苦しそうなこの子を、早く楽にしてやりたい。

幸い、王家の閨の教育係。この手のテクニックには自信がある。


キモノと呼ばれる衣服は、解くのは簡単だ。衣服が汚れてはいけないので、帯を解き、布を巻いただけの下穿きを脱がせてやる。

細身だから鍛えられた体はけして貧相ではなく、ファーマ王国の人種と比べてやや小ぶりだと思われる彼のモノは、美しい形と色をしていた。

真面目な性格で遊んでいないのだろう。

こんなに純粋なものが、あんな男たちに蹂躙されなくてよかった。


優しく手で包んで、緩急をつけて扱いてやると、だんだん固くなっていく。
が、どうもいまひとつ、十分な固さにはならない。

おかしい。私のテクニックは確かな筈なのに…。



「ん、んんっ、くるしぃ………う、うしろがあついぃ………!」


ピンときた。

処女の男性をその気にさせるための媚薬。

それは、後ろの穴に男を受け入れなければ、熱を冷ますことができない。

体の奥が疼いて、精液を注がれなければ疼きが治まらないような悪質な媚薬なのだ…。



どうすればいい?


どうすれば………。



今にして思えば、私は部下に頼んで、指で治めている間に解毒薬を調達してもらえばよかったのだ。

彼の信頼を得るのであれば。

彼を本当に欲しているのであれば。



「………私が、治めてあげよう。」

「……っ、いやっ……!こ、こわい………っ!」

「大丈夫、あいつらがしようとしていたような、乱暴な行為にはしない…。」

嘘つき。


「………ヤらないと、それは治らない、そういう媚薬なんだ…。」

彼の痴態にビンビンで、彼が欲しくてたまらなくて、欲に負けたくせに。


「………っ、あぁっ、もうっ、イくっ!も、なおった、なおったからあ!抜いてっ!ぬけっ…!」

「ああっ……。」


止まれなかった…。

彼が私に慣れて、私を覚えて、私を忘れないで。そして欲しかった。



我を忘れて、そして正気に戻った時には、彼の冷たい視線を感じた。

「お前だってあいつらと同じだ!1回だけでよかっただろ!!!………あんな、何回も……。酷い…。ケダモノ!!」


「悪かった。私はファーマ王国の侯爵だ。陛下に近しい仕事をしている。必ず、君たちを受け入れさせるようにするから…。」

「絶対だからな!」




あ―――――――――、絶対に初手が悪い。
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