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閨の先生
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「お初にお目にかかります。城から派遣されてまいりました。王家の閨の教育係を勤めております、アイシー=レックスと申します。」
「よくぞいらっしゃいました。」
筋肉だるまというわけではない。
年の頃は40代前半。細マッチョで威圧感はない。
茶色の髪は肩まで伸びて、ゆるーくウェーブがかかっており、華やかな感じの結構な美男子が教育係に派遣されてきた。
意外だなぁ、僕もっとおじさんとかが来るのかと思ってた。
僕の閨係は、殿下と同じで王妃様のお父様?だった気がする。
殿下に任せておけばいいんですよとかなんとか無責任なこと言ってたなぁ。
「初めまして、カエサル=プレートです。はるばるお越しいただいて恐縮です。私はアレン様の護衛ですので、教育中もそばで控えさせていただきます。」
カエサル、視線が怖いよ?
「はじめまして。変なことはしませんから、ご安心ください。」
この先生も意外と強いな。
「……………。」
ん?
パイロンどうしたの??
目立たないように、すーっと移動して。
先生のこと知ってるの?
レックス卿は高貴な人たちが通う高級娼館を経営している人だったはず…。
後腐れない高級娼婦たちの斡旋…。
確か全室個室で入口も出口もそれぞれ別の迷宮城みたいな娼館なんだって、アルバートが言ってたなあ。
アルバートはきっと関心が大いにあったのだろう。
「それでは、今日はご挨拶だけで。明日から少しずつ座学でお教えしましょう。」
「はい。よろしくお願いいたします。」
「…………見送りありがとう、パイロン。久しぶり。」
「なんであなたが来るんですか。……もう二度と会うこともないと思っていたのに。」
「おやおや。それが恩人に対する口の利き方かな?私のお陰で変な輩に騙されて『やられ損』になることもなく、無事にこの国に辿り着けたでしょう。」
「それで?俺たちはここで放っておかれたんですけど?アレン様が来てくれなかったら、冬は越せなかった!」
「受け入れた後のことは私のせいではないでしょ。大体、この国に連れてきてやるなんてブローカーを安易に信用して、財産とられて、変な薬盛られて慰み者になるなんて。愚か者は君だったでしょう。今はまあ、アレン様のもとで立派になったようですけどね。」
「慰み者にしたのはあんただろ!」
「新しい従業員をスカウトしに行ったついでに、騙されている世間知らずを見かねて助けてあげたんでしょ。媚薬盛られているんだから抜いてあげないといけないじゃない。ヨかったでしょ、あんな髭面だるまたちに捧げなくて済んで。私、上手だし。」
「そういう問題じゃない…。もう、いいです。」
ふいっと、パイロンは戻っていく。
「さて。宿に行きますかね。」
教える内容がないようなだけに、あのカエサル=プレートが城の中に滞在することは許さなかった。
だけど、この街は過ごしやすいし、美味しいものがたくさんだ。
布と布を合わせただけのような鮮やかな衣装や、黄金の飾りも魅力的。
暫くこの街を満喫したいと思う。
「よくぞいらっしゃいました。」
筋肉だるまというわけではない。
年の頃は40代前半。細マッチョで威圧感はない。
茶色の髪は肩まで伸びて、ゆるーくウェーブがかかっており、華やかな感じの結構な美男子が教育係に派遣されてきた。
意外だなぁ、僕もっとおじさんとかが来るのかと思ってた。
僕の閨係は、殿下と同じで王妃様のお父様?だった気がする。
殿下に任せておけばいいんですよとかなんとか無責任なこと言ってたなぁ。
「初めまして、カエサル=プレートです。はるばるお越しいただいて恐縮です。私はアレン様の護衛ですので、教育中もそばで控えさせていただきます。」
カエサル、視線が怖いよ?
「はじめまして。変なことはしませんから、ご安心ください。」
この先生も意外と強いな。
「……………。」
ん?
パイロンどうしたの??
目立たないように、すーっと移動して。
先生のこと知ってるの?
レックス卿は高貴な人たちが通う高級娼館を経営している人だったはず…。
後腐れない高級娼婦たちの斡旋…。
確か全室個室で入口も出口もそれぞれ別の迷宮城みたいな娼館なんだって、アルバートが言ってたなあ。
アルバートはきっと関心が大いにあったのだろう。
「それでは、今日はご挨拶だけで。明日から少しずつ座学でお教えしましょう。」
「はい。よろしくお願いいたします。」
「…………見送りありがとう、パイロン。久しぶり。」
「なんであなたが来るんですか。……もう二度と会うこともないと思っていたのに。」
「おやおや。それが恩人に対する口の利き方かな?私のお陰で変な輩に騙されて『やられ損』になることもなく、無事にこの国に辿り着けたでしょう。」
「それで?俺たちはここで放っておかれたんですけど?アレン様が来てくれなかったら、冬は越せなかった!」
「受け入れた後のことは私のせいではないでしょ。大体、この国に連れてきてやるなんてブローカーを安易に信用して、財産とられて、変な薬盛られて慰み者になるなんて。愚か者は君だったでしょう。今はまあ、アレン様のもとで立派になったようですけどね。」
「慰み者にしたのはあんただろ!」
「新しい従業員をスカウトしに行ったついでに、騙されている世間知らずを見かねて助けてあげたんでしょ。媚薬盛られているんだから抜いてあげないといけないじゃない。ヨかったでしょ、あんな髭面だるまたちに捧げなくて済んで。私、上手だし。」
「そういう問題じゃない…。もう、いいです。」
ふいっと、パイロンは戻っていく。
「さて。宿に行きますかね。」
教える内容がないようなだけに、あのカエサル=プレートが城の中に滞在することは許さなかった。
だけど、この街は過ごしやすいし、美味しいものがたくさんだ。
布と布を合わせただけのような鮮やかな衣装や、黄金の飾りも魅力的。
暫くこの街を満喫したいと思う。
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