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アルバートの教育係
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「…全くアルバートが王位継承権を喪失するなど!どうしてそのようなことになるのだ!!」
「お父様。以前から言っておりますが、私は王妃です。親子といえど不敬ですよ。わたくしショックです。お父様がそのようなことを言うなんて…。」
アルバートの手から王位がこぼれ堕ちたのを知り、お目通りを賜った王妃の実家・プライド侯爵家。
その当主は自分の娘に憤った。
大体この娘は役立たずだった。
美しく生まれたので、賢く育て、王妃になった。
プライド侯爵家は歴史が古く、高位貴族なれどその領地は潤っているとは言えず、当主も国の要職につけているとは言い難い。
それが運よく娘を王妃にできたので、てっきり便宜を図ってくれるものだと信じていたのに、この娘は『実家だからこそ重用すると不公平だと言われる、平等に取り扱う。』という。
教養が過ぎてあたまでっかちになってしまって、全く扱いづらい。
運よく最初の出産で王子殿下を産んだが、難産で子を望めなくなるし。
だが、陛下が娘にぞっこんで側妃を娶らないというので安堵した。
しかし、その代わり、公爵家の王弟やその令息が第二第三の王位継承者になってしまった。
それもこれも一人しか産めなかったからだ!
役立たず!!
アルバートの子が多ければよいと考えた私は、王妃の父として品よく取り繕い、陛下から「アルバート」の教育係の役を賜り、早期からアルバートに閨の教育を開始した。
結果、アルバートは性に興味を持った。
英雄色を好むというではないか。
この調子であれば、きっと将来側妃をたくさん娶って、子をたくさん得るだろう。
そうすれば、公爵家に王位をとられることもない!
そう思っていたのに…!
アルバート自身が公爵家のアレンを妃に望んだのは計算外だったが、どうにかして破局させようと思っていたら、運よく他の令嬢に目が向いたし、万々歳と油断していたらこうだ!
「お前もよく許したな!可愛い我が子だろう!!」
「我が子でも王座に就く資格のない者を国王にはできません。むしろもっと早く決断すべきだったのです。それでも毒杯を与えないだけ、私たちは甘いのですよ。」
「そうですよ。」
スッと、アルバトロス陛下が入ってくる。
「!!!」
「どうしました。親子で話したいというから席を外してみたら、言いたい放題。そもそも、アルバートがああなったのは教育係の責任もあると思いませんか。もちろん、義父なのだからと信頼しすぎた私も問題ですが。王妃を立派に育てたあなたなら、アルバートも立派に育つと思っていたのに。」
「王妃候補の娘と王太子の育て方は違います。それに、あなた方もたった一人の子だからと甘やかしたではありませんか。」
国王の仕事は下々が支えればよい!王妃のように賢くなくともいいのだ!
「………アルバートにはどこの領地もやれない。ああいう風になったのならば、どうしようもない。再教育で変わって欲しいが、更生しないのであれば去勢して幽閉するしかない。」
「去勢!お前もそれでいいのか!!血のつながった孫を抱けぬのだぞ!」
「やむを得ないでしょう。」
「ぐぬぬ…!」
「お父様を教育係にするべきではありませんでしたわ。少なくとも、今の教育体制になって座学だけは成績を上げておりますのよ?内政や外政に影響しない範囲の雑事くらいなら出来そうですわね。文字なら綺麗に書けそうですもの。後は、死ぬまでその体内魔力を有効に使ってもらえるように、毎日魔力を提供させることになりますわ…。」
「王妃の実家といえど、プライド侯爵家を重用するつもりはこれからもない。アルバートへの処遇は決定事項。侯爵をお送りしろ!」
「そんなっ………!」
プライド侯爵はつまみ出されるように追い出された。
伯爵に降爵されるのは、すぐのことだった。
「お父様。以前から言っておりますが、私は王妃です。親子といえど不敬ですよ。わたくしショックです。お父様がそのようなことを言うなんて…。」
アルバートの手から王位がこぼれ堕ちたのを知り、お目通りを賜った王妃の実家・プライド侯爵家。
その当主は自分の娘に憤った。
大体この娘は役立たずだった。
美しく生まれたので、賢く育て、王妃になった。
プライド侯爵家は歴史が古く、高位貴族なれどその領地は潤っているとは言えず、当主も国の要職につけているとは言い難い。
それが運よく娘を王妃にできたので、てっきり便宜を図ってくれるものだと信じていたのに、この娘は『実家だからこそ重用すると不公平だと言われる、平等に取り扱う。』という。
教養が過ぎてあたまでっかちになってしまって、全く扱いづらい。
運よく最初の出産で王子殿下を産んだが、難産で子を望めなくなるし。
だが、陛下が娘にぞっこんで側妃を娶らないというので安堵した。
しかし、その代わり、公爵家の王弟やその令息が第二第三の王位継承者になってしまった。
それもこれも一人しか産めなかったからだ!
役立たず!!
アルバートの子が多ければよいと考えた私は、王妃の父として品よく取り繕い、陛下から「アルバート」の教育係の役を賜り、早期からアルバートに閨の教育を開始した。
結果、アルバートは性に興味を持った。
英雄色を好むというではないか。
この調子であれば、きっと将来側妃をたくさん娶って、子をたくさん得るだろう。
そうすれば、公爵家に王位をとられることもない!
そう思っていたのに…!
アルバート自身が公爵家のアレンを妃に望んだのは計算外だったが、どうにかして破局させようと思っていたら、運よく他の令嬢に目が向いたし、万々歳と油断していたらこうだ!
「お前もよく許したな!可愛い我が子だろう!!」
「我が子でも王座に就く資格のない者を国王にはできません。むしろもっと早く決断すべきだったのです。それでも毒杯を与えないだけ、私たちは甘いのですよ。」
「そうですよ。」
スッと、アルバトロス陛下が入ってくる。
「!!!」
「どうしました。親子で話したいというから席を外してみたら、言いたい放題。そもそも、アルバートがああなったのは教育係の責任もあると思いませんか。もちろん、義父なのだからと信頼しすぎた私も問題ですが。王妃を立派に育てたあなたなら、アルバートも立派に育つと思っていたのに。」
「王妃候補の娘と王太子の育て方は違います。それに、あなた方もたった一人の子だからと甘やかしたではありませんか。」
国王の仕事は下々が支えればよい!王妃のように賢くなくともいいのだ!
「………アルバートにはどこの領地もやれない。ああいう風になったのならば、どうしようもない。再教育で変わって欲しいが、更生しないのであれば去勢して幽閉するしかない。」
「去勢!お前もそれでいいのか!!血のつながった孫を抱けぬのだぞ!」
「やむを得ないでしょう。」
「ぐぬぬ…!」
「お父様を教育係にするべきではありませんでしたわ。少なくとも、今の教育体制になって座学だけは成績を上げておりますのよ?内政や外政に影響しない範囲の雑事くらいなら出来そうですわね。文字なら綺麗に書けそうですもの。後は、死ぬまでその体内魔力を有効に使ってもらえるように、毎日魔力を提供させることになりますわ…。」
「王妃の実家といえど、プライド侯爵家を重用するつもりはこれからもない。アルバートへの処遇は決定事項。侯爵をお送りしろ!」
「そんなっ………!」
プライド侯爵はつまみ出されるように追い出された。
伯爵に降爵されるのは、すぐのことだった。
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