悪役令息上等です。悪の華は可憐に咲き誇る

竜鳴躍

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保養エリアの視察

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だいぶ街は整備できた。

僕の屋敷のある中心街から港街のエリアを繋ぐ街道も整備し、より安全に積み荷を運べるようになったし、港街エリアの小高い丘に、保養地を作ったのだ。

疫病の蔓延で王都からは人の流出がとどまらず、逆に検疫体制や医療体制を早期から組んだ結果、疫病が流行らなかったニューイーストへの流入が増えている。

王都を離れ、こちらを商売の起点としたいといくつかの大商会は引っ越してきてくれたし、バカンスや疫病からの避難で一時的にこちらに住んでいるご婦人ご令嬢も多い。


なので、カエサルの勧めで王都の学園と通信教育が出来るように取り計らったところ、これが需要とマッチした。

学校の問題があり、躊躇していた学生がこちらに住むようになった。


こちらでも領民を対象に無料の学問所を開いていたけれど、やはり進んだ学問を学びたい人も多い。
いずれはイースト王国の進んだ研究分野も王都の学園でみなが学べるようになった方がいいと思う。



「王都はどんどんさびれているみたいですけど、こちらはどんどん発展しますね。よい住民が引っ越してくれました。」

「やっぱり初動の悪さもあるけど、王太子がアレだからじゃないかな……。」

「未来に展望が見えなければ、ですね。」


「そのうちアレン様が王太子になるんじゃないですか?アレン様が国王陛下になられるのであれば、私たちも安心ですし、嬉しいです。………寂しいけど。」

しゅん、と寂しそうに耳と尻尾が垂れる幻覚が見える。


「パイロンは年上なのに本当に子犬みたいでかわいいですね。」

よしよしすると、カエサルにぎゅっと後ろから抱きしめられた。


「可愛い子が好きですか?もう大型犬はいらないですか…?」

「大型犬?カエサルのこと??要らないわけないじゃない。どうしたの、もう…。」


「そういえば、新しく整備した保養地エリアですが、一番最初にアレン様にお楽しみいただきたいとプレオープンのお誘いがきていますが、いかがいたしますか?」

「いく!いくいく!」

「各部屋のテラスには備え付けのオンセン。懐石料理も作ってお待ちしているそうです。」


「ふふふ、じゃあ僕たちが行っている間は、パイロンに留守をお願いするね。何かあったら手紙を転送できるように、魔法をかけた紙を用意しておくから!」

「えっ……わ、わたしも「パイロン、お前にしか頼めない!任せたぞ!」

「えーっ…。はい、承知いたしました。」


「ふふ、パイロンには長期休暇をあげるから、後で行くといいよ。」








「動きがあるな。」

「新しくできたエリアの視察は、いつか行くだろうと思っていたが…。そろそろか。」

カエサルの感知外。

街の外の森の中から、望遠のスキルを使って様子を窺う者たち。

「楽しい旅行。まだ護衛はそれほどいないようだからねらい目だな。」

「あの馬鹿殿下の手綱をとれるのはターゲットだけだ。あほな依頼ではあるが、元サヤに納まってもらうのは悪いことじゃねぇ。」

「しかしなぁ…欲さえあれば魔法で依頼文を転送できるんだから、どうしようもない殿下だぜ。下半身おったててなくても魔法を使ってみろっての。」

「さぁ、いっちょやるか…!」



殿下が雇った者たちが、アレンを狙っている。


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