俺が王子でお前の嫁とは認めない！

離したくない

君と俺は昔、会っている。

市民による革命があったけど、それは君の両親のせいではない。

異常気象による農作物の不作に津波、地震などの被害が重なって、国民は困窮に苛まれていた。

この状況を改善するため、予算を投じよ、減税せよと言ったのを、止めたのは議会だ。

なのに、この国の貴族は全て王族が悪いことにして。
まだ赤ん坊の君を残し、両親も兄たちも、全てギロチンの露に消えたのだ。

革命が成功したとき、革命家は後悔しただろう。
なんせ、王家には財産らしい財産は残っておらず、全て国民のため私財を投じていたのだから。


すぐに市民による政治は行き詰まり、国王を求めた彼らは、異国へ嫁いだ王の弟夫婦を頼った。

北のオーリア帝国の第二王子で公爵に臣籍降下していた父は、一家でフレグランス公国へ移り、戴冠して再び王国となったのだ。


「クリストファ、アイビッシュだよ。あなたのいとこ。」
母が連れてきた小さな天使。

なんて可愛いんだろう。

気をつけて抱っこすると、柔らかく笑ってくれた。

「クリストファのお嫁さんだよ。アイビッシュには孕み腹がある。赤ちゃんを産めるんだ。クリストファの後は、二人の子孫が、またこの国を守っていくんだよ。」

「お母様。こんなかわいい天使が、僕のお嫁さんなのですか。大切にします。」


だって、アイビッシュには誰もいない。
僕が何でも教えてあげる。
一緒に遊んであげる。
だから寂しくないよ。

僕の全部をあげる。
だから、君も全部ちょうだい。




なのに君は拐われて。
やっと偶然見つけた君は、きっと俺の言うことなど聞きやしない。　
力尽くで逃げそうで。
だけど離したくないから。


囲い込んで、閉じ込めることにした。

孤児院を引き合いに。




ベッドの上で素肌を晒しながら、睨んでいるアイビッシュ。
くちゅくちゅと、受け入れる準備をさせられているのは不服だろうね。

「アイビー？唇を噛まないで。無理せず声を上げていいんだよ？」


「………ッ、誰がッ。―――！」

指を引き抜き、足を拡げさせる。


脚の間に体を入れると、悔しそうな瞳は濡れていて。
でも、辞めるつもりはない。


勢いよく全て収めると、短い悲鳴が上がる。

等しいリズムで刻み込み、体を揺する。

「ふふ、孕ませてあげる。そうなったら、もう君は誰がなんと言おうと、俺の妃だ。」


絶望の瞳から、涙がこぼれて、ダイヤモンドのようだと思った。