くず勇者にざまあ。虐げられた聖者に一目ぼれした魔王の側近はやり直す

凶刃

目の前には大好きな人。

この時間が少しでも長く続きますように。

くるくる回る黒い華。

愛しい人と指を絡め、腰を抱かれる。



「失礼、」



間を縫って、どこにでもいる地味なボーイが―――――



その瞬間、殺気とともに、姿が変わる。

手には光の剣。

「「グラディウス！！！」」



「キャアアア！」
逃げ惑う参加者をはじめ、王族、彼に向かう騎士。
彼ら全員にルシフェル様が結界を張る。

バサッと翼が広がり、その背や羽の中に陛下や王女を包んで守る。

「ルシフェルぅ！この悪魔め！王女は俺のものだ！解放しろ！」


血走った眼。


「君は何を言っているんだい？」

「ルシフェル様、わたくし、怖いです。気持ち悪いですわ。」

「大丈夫だよ。僕が守るからね。」


ルシフェル様の体の周りに色とりどりの光の玉が浮かび、建物や内装に結界が張られる。



シロナ様は王太子殿下が守っている。



僕はパルチザンを抜き、奴に向かって行く。


「ルシフェル様、お任せください！」

「カルディ！後ろ！」


ルシフェル様の声で避けると、最大級の火炎魔法は散った。


振り返ると、一回目の勇者パーティーの二人がそこにいた。