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クズ勇者の一度目の人生 ※R18
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「魔王、ルシフェル。人類の敵、魔族は今日で根絶やしにしてくれる、この勇者グラディウスがなぁ!!!!」
魔王は魔王のくせにほわんとした美形だった。
魔王のくせにプラチナブランドが光りに透ける、どこか神々しい男。
側近の黒髪の男は警戒していたようだが、俺たちは『交渉に来た』体で深部まで乗り込んだ。
回復役に連れてきたユースが、『おかしいよ。本当にこの人たちが悪なの?倒すべき相手なの?確かにどこかおどろおどろしいところだけど、森の奥なんてこんなものだと思うし、この人たちに襲われたことはないじゃない。』と言っていたが、そんなことは知らない。
それが、こいつらの罠なんだと言い切れば、他のパーティーメンバーは俺に同意した。
女魔法使いは赤毛のセクシー美女、ミズル。
女剣士はストロベリーブロンドのショートカットのスレンダー美女、レイ。
冒険者ギルドに出向いて、俺が直々にスカウトした女たち。
手練れな上に、美しい。
ユースは俺の家の奴隷だ。
孤児院で見目の良かったこいつを、父親が引き取って来た。
使用人の仕事をさせて、年頃になれば慰み者にでもしようと思って金で買って来たようだが、当時の俺はそんなことは分からず、ただ、俺より綺麗なこいつが許せなくて、父親から俺専用の奴隷として譲ってもらった。
見た目がどんなに綺麗でも、俺に使い潰されるのだと思うと胸がスッとして。
そのうち、神殿で適性を図る儀式の日になり、俺は『勇者』でこいつが『聖者』だということになった。
せっかく勇者なのだから、俺の好きにパーティーを組みたかったのに、回復役枠はこいつで確定してしまい、同時に、表向きは奴隷ではなく、普通の使用人の扱いをしなくてはならなくなってイラついた。
ディユを討ち滅ぼし、凱旋すると、父も母も、友人たちも使用人も讃えてくれた。
みんな俺には甘い。
年をいって、やっとできた、しかも男児。
世界は俺を中心に回っている。
地味な婚約者が出迎えてくれた。
だが、俺には王女との縁談がある。
こいつには学生時代から宿題やテスト、領地経営などの仕事、めんどくさいあれこれを押し付けてきた。
便利な女だったが、王命を盾にこんな女はもう捨ててしまおう。
凱旋パーティーは明日。
明日は勲章も受ける。そして王女が俺の女に。
「………っ!!!」
「ユース、分かってるよな?」
誰も来ない部屋の中。
いつものようにベッドに突き飛ばし、俺がそういえば、ユースは服を脱ぎ、足を広げる。
女が好きだが、仮にも勇者のこの俺が、女遊びで外聞を悪くするわけにはいかない。
子どもが出来ても厄介だ。
だから、こいつに、そういう相手をさせている。
「………っ、あう、うううぅ。」
いっつもいっつも声を殺して泣くなよ。
でも、それも楽しいといえば楽しい。
俺は、王女と結婚した。
実家は今では、公爵だ。
俺は、王女を娶った公爵。
貴族として、順風満帆。
富も、名声も、権力も。全て俺の思いのまま。
いつの間にか、勝手にユースは自死していた。
まあ、どうでもいい。
ディユを潰し、魔族がいなくなっても、世の中は変わらなかった。
変わるどころか、むしろ魔物が街に徘徊する量が増えた気がする。
だが、そんなの気のせいだよな。
神殿も回復魔法の利きが悪くなったらしいが、偶然だろう。
俺は俺の仕事を終えたんだ。
いつまでも俺に頼るんじゃねえ。
魔王は魔王のくせにほわんとした美形だった。
魔王のくせにプラチナブランドが光りに透ける、どこか神々しい男。
側近の黒髪の男は警戒していたようだが、俺たちは『交渉に来た』体で深部まで乗り込んだ。
回復役に連れてきたユースが、『おかしいよ。本当にこの人たちが悪なの?倒すべき相手なの?確かにどこかおどろおどろしいところだけど、森の奥なんてこんなものだと思うし、この人たちに襲われたことはないじゃない。』と言っていたが、そんなことは知らない。
それが、こいつらの罠なんだと言い切れば、他のパーティーメンバーは俺に同意した。
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手練れな上に、美しい。
ユースは俺の家の奴隷だ。
孤児院で見目の良かったこいつを、父親が引き取って来た。
使用人の仕事をさせて、年頃になれば慰み者にでもしようと思って金で買って来たようだが、当時の俺はそんなことは分からず、ただ、俺より綺麗なこいつが許せなくて、父親から俺専用の奴隷として譲ってもらった。
見た目がどんなに綺麗でも、俺に使い潰されるのだと思うと胸がスッとして。
そのうち、神殿で適性を図る儀式の日になり、俺は『勇者』でこいつが『聖者』だということになった。
せっかく勇者なのだから、俺の好きにパーティーを組みたかったのに、回復役枠はこいつで確定してしまい、同時に、表向きは奴隷ではなく、普通の使用人の扱いをしなくてはならなくなってイラついた。
ディユを討ち滅ぼし、凱旋すると、父も母も、友人たちも使用人も讃えてくれた。
みんな俺には甘い。
年をいって、やっとできた、しかも男児。
世界は俺を中心に回っている。
地味な婚約者が出迎えてくれた。
だが、俺には王女との縁談がある。
こいつには学生時代から宿題やテスト、領地経営などの仕事、めんどくさいあれこれを押し付けてきた。
便利な女だったが、王命を盾にこんな女はもう捨ててしまおう。
凱旋パーティーは明日。
明日は勲章も受ける。そして王女が俺の女に。
「………っ!!!」
「ユース、分かってるよな?」
誰も来ない部屋の中。
いつものようにベッドに突き飛ばし、俺がそういえば、ユースは服を脱ぎ、足を広げる。
女が好きだが、仮にも勇者のこの俺が、女遊びで外聞を悪くするわけにはいかない。
子どもが出来ても厄介だ。
だから、こいつに、そういう相手をさせている。
「………っ、あう、うううぅ。」
いっつもいっつも声を殺して泣くなよ。
でも、それも楽しいといえば楽しい。
俺は、王女と結婚した。
実家は今では、公爵だ。
俺は、王女を娶った公爵。
貴族として、順風満帆。
富も、名声も、権力も。全て俺の思いのまま。
いつの間にか、勝手にユースは自死していた。
まあ、どうでもいい。
ディユを潰し、魔族がいなくなっても、世の中は変わらなかった。
変わるどころか、むしろ魔物が街に徘徊する量が増えた気がする。
だが、そんなの気のせいだよな。
神殿も回復魔法の利きが悪くなったらしいが、偶然だろう。
俺は俺の仕事を終えたんだ。
いつまでも俺に頼るんじゃねえ。
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