くず勇者にざまあ。虐げられた聖者に一目ぼれした魔王の側近はやり直す

竜鳴躍

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カルディのディユ改良計画☆

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「なんだね、カルディ。」

「どうして、私たちは引きこもっているんですか?」


「それは、人間が私たち魔族を恐れ、殺そうとするからじゃ。」


「なんで私たちは自分たちのことを魔族だっていうんですか?魔族ってそんなに悪いものなんでしょうか。私たち、悪くないですよね?」

盗みなんかしないし、自分から攻撃だってしない。人を殺しているわけでもない。
むしろ人間の方がよっぽど悪いことをしていると思う。



「うん、確かに『魔族』っていうのは、『魔法に長けた種族』じゃからなぁ…。」


「じゃあ、陛下、ルシフェル様のお父様を魔王と呼ぶのは、『魔法に長けた種族の王』の略なんですね。じゃあ、悪魔は?」



ルシフェルはよく分からないようで、キョトンとしている。

サマエル先生は、長い沈黙の後、つぶやいた。



「それは…。起源がわからん。人間に言われたものが、そのまま残った可能性がある。」





「先生、知っていますか。人間が崇拝する神の使い、天使は両性具有なのだそうです。私たちもそうですよね。そして、神はけして人間に恩恵を与えるだけじゃない。時には天罰も与えます。私、思うんですけど。」


この『神』や『天使』と私たちは何が違うのでしょう。



がーーーーーん!



サマエル先生は目からウロコが落ちたような顔をした。



「引きこもってばかりいても、私たちは誤解されるだけで、きっといつか人間は攻撃してきます。ならば、私たちから打って出るのです!けして、私たちは邪悪な存在じゃないと!膨大な魔力や美貌が恐ろしいというのならば、同じような存在の『神』や『天使』だと言い張りましょう!このさい、真実はどうでもいいんです!」



「カルディ、天才じゃあ!お前は天才じゃあああ!!!!」

「すごおおい!カルディ、すごおおおおおおい!!!」




それからあっという間に、僕はルシフェル様のお父様にも直談判して、ディユの改造に取り掛かった。




まずはみんなの見た目。

黒やおどろおどろしい服は着たらダメッ。

人間の世界のファッション誌を取り寄せて、キラキライケメンに変身!

素敵な自然はそのままに、城とそのまわりの街のつくりや家の周りを整備して、鈴蘭の花飾りを灯りに設置。

光り輝くファンシーな街並みに変えさせた。



そして、ディユの国は、鬱蒼とした常闇の国から、メルヘンな光り輝く聖なる国へ生まれ変わったのであるッ!










「本当に行っちゃうの、カルディ。」

両親が不安げに見つめる。


「はい。これが私の『天啓』としての役目だと思いますから。」



僕はルシフェル様と一緒に人間の国に行くことにした。

この国が本当に素敵な国に変わったから、「俺たち実は魔族じゃなくて神なんだヨネ☆作戦」を実行しようと思う。
可能なら、人間の学校に通い、子どもたちから洗の…じゃなく、理解していただこう。


街が変わって、自分たちのことを『実は神や天使なんじゃ?』と思い始めた結果、サマエル先生の鑑定によれば、みんなのステータスはだいぶ変わったらしい。

属性に光や聖がつくようになり、翼のあった人は黒い翼や羽毛のない翼から、真っ白な羽の生えた翼に変わった。


もしかしたら、本当に、私たちは神だったのかもしれない。



長年の思い込みで、自ら変化していたのかも。



「じゃ、いこっ。カルディ♡」
可愛いルシフェル様の背中には、今では背中にかわいい白い羽が6枚生えている。

ディユ怖くない、人間の敵チガウ、のキャンペーンに最適!
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