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ジョージを目で追う

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「こちらへは1か月ほど滞在予定でしたね。」
リュージュの息子は警戒しているらしい。


「せっかくですので、フォックス王国を視察できたらと思います。」


「そうしましたら、牧場や農場にご案内します。我が国の基幹産業ですから。案内役も用意しましょう。」

「今日は案内の方も交えて、晩餐にしましょう。それまで、離宮でゆっくりとお過ごしください。」

案内役、ね…。

「ありがとうございます。」


部下たちを連れて、離宮へ向かう。

あのジョージとかいう男であれば嬉しかったのだが、筋骨隆々とした大男が離宮までの案内役だった。


「あの、ジョージさんという方は?」

「ジョージは忙しいので。すみません、私のような大男で。」

「いえ…。」


ふと、中庭を挟んだ廊下の向こう側で、高齢の男性の後ろから書類を持ってパタパタと歩くジョージが見える。

あの高齢の男が宰相なのだろう。
顔立ちが似ている。
父と言っていたな。

なるほど、今は補佐だが、跡取りとしてすぐに宰相職を継がせるつもりか。


少し抜けた感じが可愛らしいな。

あれで一国の宰相なんて務まるのだろうか。



1か月、いる間にあの子、モノに出来るかな…。



ふふふ、楽しみだ。









「やっぱり信用できないね。」

「ティアもそう思う?」

「オパールを返してくれたのは嬉しかったけど、信用させて寝首をかきたいって感じに見える。精霊たちがそうだって言ってるもの!」

「それとなく無難に視察させて、重要な場所は見せないようにする。」

「それが良いと思うけれど、案内役をどうする?」


「案内役はジョージに任せようと思う。」


「ジョージさん!!?大丈夫かなぁ…。」

「大丈夫、ああみえてジョージはやる男だから。」


筆頭公爵家嫡男。あのスティーブの息子で、スージーの弟。

ティアの知らない一面が彼にはあるんだ。


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