29 / 44
ダグラスの里帰り
しおりを挟む
戴冠式は青空に恵まれた中、行われた。
ファンファーレとともに、真っ赤な絨毯を歩いて、エドワードは冠を戴く。
そして、その隣にはティア。
ティアもまた、王妃の冠をその頂に乗せた。
2度目の結婚式のような式典。
誰からも祝福されなかった1度目の結婚式。
2度目の結婚式には、国民やお屋敷のみんな、そして、タイガーやスネイクたちはもちろん、フェニックス殿下とダグラスも駆けつけ、たくさんの拍手や歓声で沸いた。
その様子を嬉しそうに眺めているダグラス殿下は、話をややこしくしないように仮面をつけ、腕に小さなエドワードを抱いている。
式典が終わり、エドワードは屋敷のみんなを集めて、ダグラスたちを引き合わせた。
「ダグラス…殿下っ!」
感極まってスティーブたちは目にいっぱい涙をためて。
でも、ダグラス殿下は分からない…。
「すまない…。一度死んで、記憶がないんだ…。でも、再会できてよかった。これからもエドワードを頼む…。」
なんて悲しいんだろう。
スージーは、久しぶりに身に着けたドレスを開いて、優雅にカーテシーをした。
「生きていてくださって、嬉しいですわ。お幸せに…。」
私も幸せになりますわ。
そうほほ笑む彼女の側には、タイガーさんがいる。
タイガーさんは、ずっと、ずっと…スージーのことが好きだったみたい。
でも、スージーはダグラス殿下のことが忘れられなくて。
タイガーさん、頑張って!
スージーは本当に誰よりも幸せになってもらいたい…。
「私はファイアーバード王国で暮らしているから、あまり会えないかもしれないが、もしよかったら、遊びに来てもらえると嬉しい。」
一晩ゲストルームで過ごした後、フェニックス殿下にエスコートされて、ダグラス殿下は帰っていった。
幼い頃過ごした庭も、次期国王になるために勉強に執務に励んだ自分の部屋も、思い出からはまるっきり変わってしまっていて、残念だった。
―――――――フレックスとベラドンナには、長男のフレディの他に、次男のサンディ、長女のフラ、次女で末の王女のララがいた。
今は、貴族牢に入ってもらっているけれど、ベラドンナとフレディはいなくなり、フレックスも断頭台の露と消えた。
過ぎたことは戻らない。
これから、やるべきことをしなければ。
「エディ、子どもたちの調書は上がって来た?」
「ああ。人となりやこれまでの行いも全てあがってきた。」
気が重くてもやらなければならない。
二人っきりになった寝室で、僕らは調書をめくった。
ファンファーレとともに、真っ赤な絨毯を歩いて、エドワードは冠を戴く。
そして、その隣にはティア。
ティアもまた、王妃の冠をその頂に乗せた。
2度目の結婚式のような式典。
誰からも祝福されなかった1度目の結婚式。
2度目の結婚式には、国民やお屋敷のみんな、そして、タイガーやスネイクたちはもちろん、フェニックス殿下とダグラスも駆けつけ、たくさんの拍手や歓声で沸いた。
その様子を嬉しそうに眺めているダグラス殿下は、話をややこしくしないように仮面をつけ、腕に小さなエドワードを抱いている。
式典が終わり、エドワードは屋敷のみんなを集めて、ダグラスたちを引き合わせた。
「ダグラス…殿下っ!」
感極まってスティーブたちは目にいっぱい涙をためて。
でも、ダグラス殿下は分からない…。
「すまない…。一度死んで、記憶がないんだ…。でも、再会できてよかった。これからもエドワードを頼む…。」
なんて悲しいんだろう。
スージーは、久しぶりに身に着けたドレスを開いて、優雅にカーテシーをした。
「生きていてくださって、嬉しいですわ。お幸せに…。」
私も幸せになりますわ。
そうほほ笑む彼女の側には、タイガーさんがいる。
タイガーさんは、ずっと、ずっと…スージーのことが好きだったみたい。
でも、スージーはダグラス殿下のことが忘れられなくて。
タイガーさん、頑張って!
スージーは本当に誰よりも幸せになってもらいたい…。
「私はファイアーバード王国で暮らしているから、あまり会えないかもしれないが、もしよかったら、遊びに来てもらえると嬉しい。」
一晩ゲストルームで過ごした後、フェニックス殿下にエスコートされて、ダグラス殿下は帰っていった。
幼い頃過ごした庭も、次期国王になるために勉強に執務に励んだ自分の部屋も、思い出からはまるっきり変わってしまっていて、残念だった。
―――――――フレックスとベラドンナには、長男のフレディの他に、次男のサンディ、長女のフラ、次女で末の王女のララがいた。
今は、貴族牢に入ってもらっているけれど、ベラドンナとフレディはいなくなり、フレックスも断頭台の露と消えた。
過ぎたことは戻らない。
これから、やるべきことをしなければ。
「エディ、子どもたちの調書は上がって来た?」
「ああ。人となりやこれまでの行いも全てあがってきた。」
気が重くてもやらなければならない。
二人っきりになった寝室で、僕らは調書をめくった。
678
お気に入りに追加
1,463
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~
乃ぞみ
BL
※ムーンライトの方で500ブクマしたお礼で書いた物をこちらでも追加いたします。(全6話)BL要素少なめですが、よければよろしくお願いします。
【腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者】
エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。
転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。
エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。
死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。
「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」
「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」
全体的に結構シリアスですが、明確な死亡表現や主要キャラの退場は予定しておりません。
闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったります。
本編ド健全です。すみません。
※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。
※ 攻めがまともに出てくるのは五話からです。
※ タイトル変更しております。旧【転生先がバトル漫画の死亡フラグが立っているライバルキャラだった件 ~本筋大幅改変なしでフラグを折りたいけど、何であんたがそこにいる~】
※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。
【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。
N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間
ファンタジーしてます。
攻めが出てくるのは中盤から。
結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。
表紙絵
⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101)
挿絵『0 琥』
⇨からさね 様 X (@karasane03)
挿絵『34 森』
⇨くすなし 様 X(@cuth_masi)
◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。
今日も、俺の彼氏がかっこいい。
春音優月
BL
中野良典《なかのよしのり》は、可もなく不可もない、どこにでもいる普通の男子高校生。特技もないし、部活もやってないし、夢中になれるものも特にない。
そんな自分と退屈な日常を変えたくて、良典はカースト上位で学年で一番の美人に告白することを決意する。
しかし、良典は告白する相手を間違えてしまい、これまたカースト上位でクラスの人気者のさわやかイケメンに告白してしまう。
あっさりフラれるかと思いきや、告白をOKされてしまって……。良典も今さら間違えて告白したとは言い出しづらくなり、そのまま付き合うことに。
どうやって別れようか悩んでいた良典だけど、彼氏(?)の圧倒的顔の良さとさわやかさと性格の良さにきゅんとする毎日。男同士だけど、楽しいし幸せだしあいつのこと大好きだし、まあいっか……なちょろくてゆるい感じで付き合っているうちに、どんどん相手のことが大好きになっていく。
間違いから始まった二人のほのぼの平和な胸キュンお付き合いライフ。
2021.07.15〜2021.07.16
【完結】僕はキミ専属の魔力付与能力者
みやこ嬢
BL
【2025/01/24 完結、ファンタジーBL】
リアンはウラガヌス伯爵家の養い子。魔力がないという理由で貴族教育を受けさせてもらえないまま18の成人を迎えた。伯爵家の兄妹に良いように使われてきたリアンにとって唯一安らげる場所は月に数度訪れる孤児院だけ。その孤児院でたまに会う友人『サイ』と一緒に子どもたちと遊んでいる間は嫌なことを全て忘れられた。
ある日、リアンに魔力付与能力があることが判明する。能力を見抜いた魔法省職員ドロテアがウラガヌス伯爵家にリアンの今後について話に行くが、何故か軟禁されてしまう。ウラガヌス伯爵はリアンの能力を利用して高位貴族に娘を嫁がせようと画策していた。
そして見合いの日、リアンは初めて孤児院以外の場所で友人『サイ』に出会う。彼はレイディエーレ侯爵家の跡取り息子サイラスだったのだ。明らかな身分の違いや彼を騙す片棒を担いだ負い目からサイラスを拒絶してしまうリアン。
「君とは対等な友人だと思っていた」
素直になれない魔力付与能力者リアンと、無自覚なままリアンをそばに置こうとするサイラス。両片想い状態の二人が様々な障害を乗り越えて幸せを掴むまでの物語です。
【独占欲強め侯爵家跡取り×ワケあり魔力付与能力者】
* * *
2024/11/15 一瞬ホトラン入ってました。感謝!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる