虐げられても最強な僕。白い結婚ですが、将軍閣下に溺愛されているようです。

ロゼの腹づもり

灰と成り果てたものは、還ってこない。

邪魔なあの女がいなくなった今が好機よ。


アクアも素敵だったけど、やはり王妃の座ほど魅力的なものはないわ。
それになんだか、侯爵家の羽振りがいまいち悪くなってきている気がするし…。


「かわいそうな陛下！今、お助けしますわ！」


「！？」


私が見つめると近衛騎士は頬を染めて。

ゆっくりと陛下を拘束していた手が緩む。


「陛下。今の国王は貴方様ですわ。王位簒奪の輩など、返り討ちにしてやればよいのです。」



品の良い顔が歪に歪む。

「おお、リュージュ！」


「アクア様、ドラゴ。いいですね、陛下をお守りするのです。」

「あ、ああっ、そうすれば借金は帳消しになるのだよな………っ。」

「将来の義父は守る！」


リュージュの姿をしたロゼの後ろには、武装した夫と息子。

大事なのは陛下だけ。
この二人がどうなろうと、構わない。



それよりも許せないのは。


本物のリュージュの息子がドラゴニアの権能持ちで、平民あがりと思っていた夫が、この国の第二王子だったこと。



私は私が一番じゃなきゃ気に入らない。

生まれつき美しく生まれた者が許せない。

姉を手に掛け、元王女をはめてのし上がった。


なのにアレが私の幸せを壊す！



アレがドラゴニアの権能持ちだということは、私への疑いが起こる。

今は混乱しているけど、私が偽物だという証明だもの！



私から奪われていく。


そんなのは嫌！



「さあ、私の傀儡ちゃんたち。第二王子の首をとるのよ。」


近衛騎士たちは呻きながら、城を出ていった。