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かわいそうな陛下

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消えたはずの先王の第二王子の凱旋。

正気に戻った人々は喜んだ。

『悪い魔女』であった王妃・ベラドンナの悪魔のような所業。


ベラドンナとその息子フレディの亡骸とともに、還って来た第二王子。
第二王子は、美しい妻と元友好国の王子らとともに、国へ入った。

その第二王子は、平民出身だと思われていた、エドワルド=ドロップ伯爵。騎士団長その人だった。


「エドワード殿下お帰りなさい!」
「エドワード殿下!」


これから、フレックス陛下はその地位を不当に得たものとして断罪され、エドワルドがエドワードとして新しい陛下になる。

エドワードに陰口を叩いていた者は怯えていたが、エドワードは気にしていない。






「魅了されていたとはいえ…っ、口惜しい!」

「私たちはダグラス殿下になんてことを…!お仕えする陛下たちを手にかけたなんて…ッ!」

「お、お前たち!どうしたというのだ!」


「みんな正気に還ったのですよ。陛下は変わらないようですね。魅了ではなく、兄陛下を手にかけ、甥をあのような目にあわせたのですね!?」

「私たちは、悔やんで悔やんで…。エドワード殿下が即位した暁には処罰を受けるつもりだというのに!」


エドワードが来るまで逃がさないと、近衛騎士はフレックスを縛り上げている。



つか、つか、つか、と靴のヒールの音が響く。




「誰だ!」





「フレックス陛下。私ですわ。リュージュ=シャワーズです。王妃様と王太子様があのようなことになり、お悔やみ申し上げます。」


フレックス陛下、わたくしがいますわ。

かわいそうな陛下。



その声は、甘く、毒のように響く。
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