虐げられても最強な僕。白い結婚ですが、将軍閣下に溺愛されているようです。

竜鳴躍

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兄弟2

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フォックス王国とはまた違う荘厳な宮殿。
砂漠にある国ながら、豊かな水源と植物の美しさ。
神聖ささえ感じる長い廊下を歩くと、大きな広間に出た。


質のよさそうなソファとテーブルも置かれている。


ここは、来客用の部屋なのだろうか。



「おいで。」


フェニックスの声で出てくる人影。

大人の男が、幼子を腕に抱いている。


その顔は…………。




「ダグ…ラス…にいさま。」


なんだ。

なんで。


でも。


恥ずかしい。

視界が滲む。



「えど…わーど。エドワード…。私の弟、エドワード………。」


「エディ……。」

ティアの小さな手が私の背中を撫でる。


タイガーが声を震わせる。

「生きていたのか、ダグラス!なんで、連絡しなかったんだ…っ!スージー嬢だって……ッ!」

「タイガー!」
身を乗り出したタイガーはスネイクに止められた。

タイガーもスネイクも王族として、ダグラスたちと面識があった。
エドワードの配下になり、かつてのダグラスの婚約者や側近たちとも交流していた。


「まあ待て。ダグラスは確かに死んだ。このダグラスは私が蘇生した。だが、蘇生ができるギリギリの時間だったから……過去の記憶が一部欠落しているんだ。」

「……ッ!」



「すまない………。私には、家族のことも友人のことも、分からないんだ…。ただ、フェニ……。夫が、教えてくれたから、大体は知っている。でも、エドワード。お前のことはなんとなく覚えてた、みたいだ。」

「この状態では、『魔女』をどうにかするまでは、明かせなかったんだ。」



「ちょっと待って……。夫?!」


「ダグラスは悪くない。記憶がないのをいいことに、絆して、掻っ攫ったのは私だ。スージー嬢には殴られても仕方がない。」



「エドワード。」

腕に抱いた小さな子は、兄と同じ髪の色。
子どもはきょとんとして、私を見る。


「おじさんもエドワードなの?僕もエドワードなの!同じだね!おかあさま、エドワードが一番の宝物なんですって!おじさんもそうなのかもね!」


子どもは幼い。

何年も何年もかけて、『家族』になったんだ。




「お兄さまが、生きて、幸せでよかった、です。」

「もう悪い魔女はいないものな。」

「ああ、後は大始末が残っているが、俺たちが優勢だ!」





しかし、ティアが呟いたのだ。




「………悪い魔女は、あと一人います。」
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