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戦いにいきます

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ティアはいい子だ。

きっと私がいなくても幸せになる。なれる。



この戦いを機に、私は王に反旗を翻そう。

兄がもういないことが分かった。

ならばもう我慢することはない。


兄の仇を討つ。

できれば国を取り返したいけれど、取り返した後、王様になりたいという気持ちがあるわけじゃない…。


ただ、一部の重臣のみ甘い汁を吸わせ、国民や他国からむしり取る、そういう政治を続かせるわけにはいかない。

もう十分力をつけた。


あの愚王に近づき、立場を得、言われるがまま戦場へ行き。

他国を侵略ではなく、我が国の属国になる形で収めていったのは、この時のため。

一度は属国に下った国々にも、水面下では牙を研ぎ続けてもらった。


ファイアーバード王国にも秘密裏に文を送ってある。

デモンストレーション的に開戦した後は、速やかに軍門に下り、他国と合流したならば陛下への御目通りと称して奴らを倒す。



俊足の『猫』、旧ブラックキャット王国。

闇の『蛇』・旧スネーク王国。

彼らは味方で、私の部下。

あいつの息のかかった正規兵は撒いて、彼らだけでやり遂げる。




――――あいつらは私の手で必ずや…。

先ずはそのためにも、絶対に魔女・ベラドンナを討ち取る。

激しい憎しみを抱く旧敵国の兵ならば、やすやすとベラドンナに魅了されることはない。
ベラドンナに操られた騎士たちは、彼らが対処してくれる。
その間にベラドンナを倒してしまえばいいのだ。

強大な魔法を使うあの女を倒すのは、並大抵のことではないが、今の私たちであれば。




あの時、逃げた先で助けてくれたのは、魔女の旅団の皆さんだった。

魔物が救う森に飛ばされた私たちは、みなで助け合い、戦えぬ者を守りながら森を進んでいた。

幸い、食料になるものは森を探せばあったが、肉体的精神的に疲弊していた頃、外商から帰った善き魔女たちが隠れ家に案内してくれた…。

「あなた、リリーの息子ね。お母さんに似ているわ。」

「貴方のお父さんもね、この森に迷い込んでしまって。その時にお世話したリリーを見初めて連れて行ったのよ。」

「そうしたら、ベラドンナがね………。」

「ベラドンナはリリーをライバル視していて、王子様に見初められたのが相当くやしかったみたいで、リリーが城に嫁いで、すぐにここを出たのよ。」

「闇落ちしたのはその時だったのかもしれないわね。魔女の中で醜い気持ちで歪んだ者が闇落ちして、『悪い魔女』と呼ばれる存在になるのよ。闇落ちすると、魔力が100倍に膨れ上がって、今まで使えなかった強い魔法も使えるようになるの。ごめんなさい、ベラドンナが森を出る前に、彼女が危険な存在になっていると気づいていればよかった。妃だなんて簡単に近づけない存在になる前に気付いていれば、リリーに忠告だってできたのに。そうすれば……。」

魔女たちには占いや、ちょっとした魔法薬を作ったりするくらいの力しかないのだと謝罪した。

束になっても到底かなわないのだと。


彼女たちは私に救いをくれた。







きっとあなたは聖獣の力に目覚める時がくるでしょう。
久しく王族といえど目覚める者は現れなかった。
だが、あなたはきっと目覚める。
その時、あなたには同じく聖獣の力を持つ味方がいる。
他国との協力を得たときがその時。
強大な魔女も聖獣の力ならば倒せるでしょう。



そのために、ともに生き残った兄の側近、婚約者だった人たちの家族とともに、牙を研ぎ続け、味方を集めてきたのだ。



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