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困ったことはない?
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「おかえりなさい、旦那様。」
「ただいま…。」
お城で嫌なことがあったんだろうな。
旦那様の顔色が悪い。
「……ティア。できればその……。俺のことは『エディ』と呼んでくれないだろうか。君に『旦那様』と呼ばれるのは少しつらい…。君は俺の妻なのだから…。」
「ごめんなさい、僕…。」
「呼んでみて?」
「え…えでぃ?」
「君に名前を呼ばれるだけで、元気が出てくるよ。ありがとう。」
「エディ、夕餉はまだでしょう?一緒に食べよう。」
「待っていてくれたのか…。ありがとう!」
ダイニングに座ると、てきぱきと料理が運ばれてくる。
「ティア、今日は健やかに過ごせた?困ったことはなかったかい?」
「はい。ここの人たちはみんな優しくて親切で…。早く内政でお役に立ちたいです。困ったことなんてありません。」
「旦那様、ティア様は優秀です。来月にはこの家を一人できりもりできるようになるでしょう。」
「スティーブが言うなら間違いない。すごいな、ティアは。そうだ……学園の卒業資格を得たくはないかい?」
「学園?」
ドラゴが通ってたなぁ…。
これみよがしに卒業証書を見せつけにきてたっけ。
「今から実際に通うのは無理でも、テストさえ受ければ力があれば卒業資格をもらえるよ。俺もそうしたんだ。どうかな?」
「やります!!!」
「実は、また……戦争にいくことになったんだ。」
一呼吸おいて、エドワルドがこちらを見る。
「生きて帰るつもりだけど、俺は国王や貴族からは平民あがりめって嫌われているからね。足を引っ張られることもあるし、どうなるかわからない。万が一、俺が生きて帰らなければ、この家はティアのものにして。みんなを任せたよ。みんなを守ってさえくれるなら、再婚しても何をしても俺は構わないからね。」
「エディ。そんなこと言わないで。絶対に無事に帰ってきて。」
こんなことを言うエディがキライだ。
「大丈夫、念のため言っただけだから。やり残した大仕事もある。こんなところで終われるものか。」
本当の夫夫なら、ハグしてキスして。
触れ合っていたいのに。
それでもかまわないのに。
こんな夜でさえ、エディは僕に触れない。
「ただいま…。」
お城で嫌なことがあったんだろうな。
旦那様の顔色が悪い。
「……ティア。できればその……。俺のことは『エディ』と呼んでくれないだろうか。君に『旦那様』と呼ばれるのは少しつらい…。君は俺の妻なのだから…。」
「ごめんなさい、僕…。」
「呼んでみて?」
「え…えでぃ?」
「君に名前を呼ばれるだけで、元気が出てくるよ。ありがとう。」
「エディ、夕餉はまだでしょう?一緒に食べよう。」
「待っていてくれたのか…。ありがとう!」
ダイニングに座ると、てきぱきと料理が運ばれてくる。
「ティア、今日は健やかに過ごせた?困ったことはなかったかい?」
「はい。ここの人たちはみんな優しくて親切で…。早く内政でお役に立ちたいです。困ったことなんてありません。」
「旦那様、ティア様は優秀です。来月にはこの家を一人できりもりできるようになるでしょう。」
「スティーブが言うなら間違いない。すごいな、ティアは。そうだ……学園の卒業資格を得たくはないかい?」
「学園?」
ドラゴが通ってたなぁ…。
これみよがしに卒業証書を見せつけにきてたっけ。
「今から実際に通うのは無理でも、テストさえ受ければ力があれば卒業資格をもらえるよ。俺もそうしたんだ。どうかな?」
「やります!!!」
「実は、また……戦争にいくことになったんだ。」
一呼吸おいて、エドワルドがこちらを見る。
「生きて帰るつもりだけど、俺は国王や貴族からは平民あがりめって嫌われているからね。足を引っ張られることもあるし、どうなるかわからない。万が一、俺が生きて帰らなければ、この家はティアのものにして。みんなを任せたよ。みんなを守ってさえくれるなら、再婚しても何をしても俺は構わないからね。」
「エディ。そんなこと言わないで。絶対に無事に帰ってきて。」
こんなことを言うエディがキライだ。
「大丈夫、念のため言っただけだから。やり残した大仕事もある。こんなところで終われるものか。」
本当の夫夫なら、ハグしてキスして。
触れ合っていたいのに。
それでもかまわないのに。
こんな夜でさえ、エディは僕に触れない。
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