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なんだかうまくいかない
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「シャワーズ侯爵、良い話があるのですが…。」
「実は、ダイヤが眠っていて…。」
「今度、道が新しく整備され、新たな交易路ができると…。」
私に良い話が自然と集まってくる。
何も考えずに投資話にサインしても、どんなに眉唾な話でも、私が関われば嘘も真になり、侯爵家の富は増えていった。
表向きはリュージュだが、愛しのローズとの間に生まれた可愛い息子のドラゴ。
学園を優秀な成績で卒業し、私について仕事を覚え始めた。
末の王女様がドラゴの婚約者だ。
順風満帆!
要らない息子も高く売れたし。
ところが………。
「石が採れなくなった!?」
「我が領地が新しい交易路から外された!?」
「魔物の群れ!?」
「夜盗だと!?」
全ての目論見は外れ、詐欺のような眉唾話は詐欺でしかなく、まるで一切の女神の加護が消えたような、天罰のような荒天が続き、川は氾濫し土砂崩れはおき、作物もダメになり……。
頼みの鉱山も崩落事故で閉山に…。
収入が途絶え、貧しくなると一気に治安も悪くなり、外から人が寄り付かなくなっていく。
減っていく財産。
「ローズ」が女主人の役割をできるはずもなく、危機的状況について彼女はわからない。
無邪気な息子も一度や二度うまくいかないことがあっても、最終的に取り返せば大丈夫だと信じて疑わない。
「ローズ。王妃様と友人なのだろう?口利き等してもらえないだろうか…。」
「どうして?この家はうまくいっているのでしょう?王妃様に見返りを求めたら、関係性が変わってしまうわ。そんなことできないわよ。」
「あ、ああ……。そうだな…。」
………あれ?おかしい。
どうして急にうまくいかなくなったんだ。
というより、これが『普通』だということをどうして私は忘れていたんだ。
天候に左右されることがあるのは当たり前。
だから、不測の事態に備えて、あらかじめ対策を取っておくべきなのは当然。
うまい話には嘘や裏があるのも当たり前。
だから、事前に自分で情報の真偽を確かめてから乗る必要がある。
それなのに、いつから私はそういう当たり前の努力をしなくなった?
いつからか、ミスをしてもミスにならなくなった。
何も考えずとも富が得られるようになっていた。
そういえば、あれをこの家に迎えてからだ。
ドラゴと顔を入れ替えようとしてもうまくいかなかったアレ。
そういえば、アレはとりあえず離れに押しやっていたが、だれかアレの世話をする者がいただろうか。
いや、いない。
あんな幼子が市井育ちとはいえ、一人で暮らせるだろうか。
食料や衣類などをやった覚えもないのに。
考えたら『野たれ死ね』と言わんばかりの扱いだった。
なのに、どうしてアレは生き延びていたのか。
どうして、変だと気付かなかった?
ああ、もしかして、アレは……。あの子は……精霊の……女神の………⁉
だから今、私は罰を受けているのか……!?
(旦那様、急にどうしたのかしら…。)
ローズは独り言ちた。
旦那様の様子がおかしい。
私に王妃様のご機嫌をとれだなんて…。
冗談じゃない!
同じ悪い魔女、対等な存在のあの女に誰が頭を垂れるものか!
たらしこんだ男が王様だったというだけじゃないか。
急に仕事がうまくいかなくなったというのかしら。
それなら、私がこの魔女の力で、旦那様のもとへ良い縁をつなぐだけよ。
手駒になりそうなやつらは洗脳してしもべにすればいいわね。
洗脳ってやりすぎると廃人にしちゃうけど、他人なんてどうでもいいし。
ライバルはみんな殺してしまえばいい!
父親は真実に気づき始め、自分が大切なものを失ったことをようやく知るようになり。
母親は罪に罪を重ねようとしていた時。
二人の愛する息子であるドラゴは何不自由なく、甘やかされて育った。
離れで暮らす父親の元愛人の子の顔が本当は自分の顔だといわれたが、確かに奇麗だけれどどちらかといえば男の相手となりそうな容姿に、むしろ今の姿の方が男らしくて好ましい、あの顔でなくてこちらもよかったと思った。
魔女の母親が亡くなったらしく、引き取られてきたが、離れで一人暮らし。
進学もしないから、学園で会うことも社交界に一緒に参加することもなく、ただいるだけ。
(俺は美しい王女様を妻にして、お父様の爵位、この家のすべてを受け継ぐ。あいつには何もない。将来はどこかの男に嫁として出されるんだ。)
学園生活は天国だった。
だって公爵家である。
同じ世代に王族はおらず、学園内で自分より立場が上の者などいない。
他人の婚約者だろうと構わず、気に入った女は力ずくでも生徒会室に引きずり込んでコトに及んだ。
婚約解消になった者。
心の病になった者。
学園時代が被った者たちにどれだけ恨みを買っているかなど、ドラゴは気にも留めていなかった。
そういう行いが、今、父親を追い詰めているなんて、知る由もなかった。
まさか、婚約者を穢された令息や穢された令嬢、その家族たちが恨みに思って、父親の商談に罠を張って陥れているなど、考えもしなかった。
「実は、ダイヤが眠っていて…。」
「今度、道が新しく整備され、新たな交易路ができると…。」
私に良い話が自然と集まってくる。
何も考えずに投資話にサインしても、どんなに眉唾な話でも、私が関われば嘘も真になり、侯爵家の富は増えていった。
表向きはリュージュだが、愛しのローズとの間に生まれた可愛い息子のドラゴ。
学園を優秀な成績で卒業し、私について仕事を覚え始めた。
末の王女様がドラゴの婚約者だ。
順風満帆!
要らない息子も高く売れたし。
ところが………。
「石が採れなくなった!?」
「我が領地が新しい交易路から外された!?」
「魔物の群れ!?」
「夜盗だと!?」
全ての目論見は外れ、詐欺のような眉唾話は詐欺でしかなく、まるで一切の女神の加護が消えたような、天罰のような荒天が続き、川は氾濫し土砂崩れはおき、作物もダメになり……。
頼みの鉱山も崩落事故で閉山に…。
収入が途絶え、貧しくなると一気に治安も悪くなり、外から人が寄り付かなくなっていく。
減っていく財産。
「ローズ」が女主人の役割をできるはずもなく、危機的状況について彼女はわからない。
無邪気な息子も一度や二度うまくいかないことがあっても、最終的に取り返せば大丈夫だと信じて疑わない。
「ローズ。王妃様と友人なのだろう?口利き等してもらえないだろうか…。」
「どうして?この家はうまくいっているのでしょう?王妃様に見返りを求めたら、関係性が変わってしまうわ。そんなことできないわよ。」
「あ、ああ……。そうだな…。」
………あれ?おかしい。
どうして急にうまくいかなくなったんだ。
というより、これが『普通』だということをどうして私は忘れていたんだ。
天候に左右されることがあるのは当たり前。
だから、不測の事態に備えて、あらかじめ対策を取っておくべきなのは当然。
うまい話には嘘や裏があるのも当たり前。
だから、事前に自分で情報の真偽を確かめてから乗る必要がある。
それなのに、いつから私はそういう当たり前の努力をしなくなった?
いつからか、ミスをしてもミスにならなくなった。
何も考えずとも富が得られるようになっていた。
そういえば、あれをこの家に迎えてからだ。
ドラゴと顔を入れ替えようとしてもうまくいかなかったアレ。
そういえば、アレはとりあえず離れに押しやっていたが、だれかアレの世話をする者がいただろうか。
いや、いない。
あんな幼子が市井育ちとはいえ、一人で暮らせるだろうか。
食料や衣類などをやった覚えもないのに。
考えたら『野たれ死ね』と言わんばかりの扱いだった。
なのに、どうしてアレは生き延びていたのか。
どうして、変だと気付かなかった?
ああ、もしかして、アレは……。あの子は……精霊の……女神の………⁉
だから今、私は罰を受けているのか……!?
(旦那様、急にどうしたのかしら…。)
ローズは独り言ちた。
旦那様の様子がおかしい。
私に王妃様のご機嫌をとれだなんて…。
冗談じゃない!
同じ悪い魔女、対等な存在のあの女に誰が頭を垂れるものか!
たらしこんだ男が王様だったというだけじゃないか。
急に仕事がうまくいかなくなったというのかしら。
それなら、私がこの魔女の力で、旦那様のもとへ良い縁をつなぐだけよ。
手駒になりそうなやつらは洗脳してしもべにすればいいわね。
洗脳ってやりすぎると廃人にしちゃうけど、他人なんてどうでもいいし。
ライバルはみんな殺してしまえばいい!
父親は真実に気づき始め、自分が大切なものを失ったことをようやく知るようになり。
母親は罪に罪を重ねようとしていた時。
二人の愛する息子であるドラゴは何不自由なく、甘やかされて育った。
離れで暮らす父親の元愛人の子の顔が本当は自分の顔だといわれたが、確かに奇麗だけれどどちらかといえば男の相手となりそうな容姿に、むしろ今の姿の方が男らしくて好ましい、あの顔でなくてこちらもよかったと思った。
魔女の母親が亡くなったらしく、引き取られてきたが、離れで一人暮らし。
進学もしないから、学園で会うことも社交界に一緒に参加することもなく、ただいるだけ。
(俺は美しい王女様を妻にして、お父様の爵位、この家のすべてを受け継ぐ。あいつには何もない。将来はどこかの男に嫁として出されるんだ。)
学園生活は天国だった。
だって公爵家である。
同じ世代に王族はおらず、学園内で自分より立場が上の者などいない。
他人の婚約者だろうと構わず、気に入った女は力ずくでも生徒会室に引きずり込んでコトに及んだ。
婚約解消になった者。
心の病になった者。
学園時代が被った者たちにどれだけ恨みを買っているかなど、ドラゴは気にも留めていなかった。
そういう行いが、今、父親を追い詰めているなんて、知る由もなかった。
まさか、婚約者を穢された令息や穢された令嬢、その家族たちが恨みに思って、父親の商談に罠を張って陥れているなど、考えもしなかった。
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