5 / 44
陰謀の侯爵家2
しおりを挟む
「誰か!誰かいるかっ!」
突然体をおしやられ、リュージュは玄関から外に出された。
代わりに女がアクアの隣に立つ。
「旦那様、どうしましたか!」
「ああ、かわいそうにリュージュ。確かに私は昔、この女と関係があった。だが、君という縁ができて、結婚前に別れたのだ。おい、ローズ!お前とは別れたはずだ!今更屋敷まで押しかけてくるとはどういうことだ!」
(え?何が起こっているの…???)
「そんな、私がリュージュ、貴方の妻ではありませんか!子だってできたのに…!」
「お前がリュージュ??馬鹿も休み休み言いたまえ、私と結婚したいあまりに頭をおかしくしたのか?お前の髪の色は何色だ!」
「あ、赤い…!?」
誰にも自分がリュージュだと分かってもらえず、屋敷を追い出された。
硝子に映る顔は、あの女のもの。
あの女は魔女で、顔を入れ替えられたのだ。
おそらく初めから、旦那様はあの女と恋人だった。
初めから仕組まれていたんだ。
竜には呪いや魔法が効かないけれど、唯一、竜の雌は子を宿しているときだけその耐性が落ちる。
それを知っていて、そのためだけに子どもを作ったのだ。
父を殺された。
母を殺された。
お城を叔父に奪われた。
私が女の身で王族の力を承継し発現させていると分かっていたら、何をされたか分からない。
従兄弟の妻にされていたかもしれない。
ひたすら従順に、政略結婚の道具として大人しく。
利用価値があると思わせて、ただ、その時を待って…。
この国で幸せになれると思ったのに…。
ほっとしたのに。
行く当てもなく、街をうろつく。
あの女は有名な女だったらしい。
酒臭い男たちが私を舐めるような目で見て、声をかける。
「あんた…、ちょっと!」
酒場の前を通りかかり、男に絡まれて困っていた時、中から小太りの婦人が現れて追い払ってくれた。
「ありがとう、ございます…。」
「あなた、『ローズ』じゃないね…。」
おかみさんはこの顔の女の知り合いだった。
閉店した店の中で、温かいミルクがうれしい。
「そうかい、リュージュ様…。」
おかみさんは、魔除けの香を炊き、悪しき魔女の使い魔を予防すると、精霊に祈りを捧げ、話してくれた。
「私はローズと同郷でね。私にはそれほど力はないけれど、私たちは女神を奉り、精霊とともにある魔女の一族なのさ。とはいっても、本当に『魔女』と言えるほどの者はそういない。ローズも、多少占いができるほどの弱い力しかない子だった。彼女は本当に綺麗な子でね、心も優しかった。彼女には双子の妹がいたんだけどね、名前をロゼ。彼女は私から見ればそんなに見栄えが悪いとも思えないけど姉と比べて地味な顔をしていたのがコンプレックスだったみたいで、ちょっと被害妄想が激しい子だったね。それでも、ローズはロゼを大事にしていたんだが、ローズが得意のダンスで踊り子として私の酒場で働くことになった時、ロゼが私だって同じように踊れると騒ぎ出して……。断るとローズに場媚雑言をぶちまかしたんだ。そしてロゼはいなくなってしまった。私は予定通りローズを雇い入れて…、最近まで特に何とも思っていなかったんだけど……。もしかしたら、『ローズ』は『ロゼ』だったのかもしれないね。」
「まさか…!」
「顔を入れ替える魔法は、対象が死ねば永遠にその顔を自分のものとできる。実の姉を殺して、姉の顔と立場を奪ったんだろう。優しかったあの子が男を手玉にとるようになったのを見て、都会に毒されたのかと思ってたんだけどね。あんたの話を聞くとロゼだったとしか思えない。あんたを排除してそれで終わりにはしないはずだ。命が狙われるかもしれない。私でよかったら守らせておくれ。」
「……おかみさん、ありがとうございます。私に踊り子は無理ですが、裁縫や家庭教師なら自信があります。きちんと働きます。それと……実は私のお腹には子がいるのです。子を産めば、私も力が回復しますからどうかそれまででいいので、ここに置かせてくださいませんでしょうか。」
「もちろんだとも。その子から大きな加護を感じるよ。精霊の愛し子……いや、女神様の愛し子かもしれないね。きっとこの子がアンタの助けになるはずさ。」
恐ろしい女に追い詰められるように、仕事では時々邪魔が入り、生活は苦しい。
安泰だったフォックス王国も、王弟が兄夫婦を殺し、王位を奪ってしまった。
18になった第一王子とまだ7つの第二王子。
彼らがどうなったか、庶民では情報は得られない。
だがきっと、「男子」であれば………。
容易に想像がつく。
王女であった自分以上に、哀れなことになったであろう。
どこも同じか、とリュージュの胸は空虚に満ちた。
ほどなくして、頼りのおかみさんは苦しんで亡くなり、呪いや攻撃では亡くならないはずのリュージュは、生活苦に疲れて死んだ。
たった一人の、可愛い息子『ティア』を遺して。
侯爵家で生まれた子は、よりによって『ロゼ』に瓜二つで、アクアに似ていない子だった。
地味な容姿の赤毛の子。
リュージュが産んだ子と容姿を入れ替えるため、ティアを探したが、竜の子であり精霊の愛し子であるティアからは、どうやっても顔を奪うことはできなかった。
1人で離れで暮らさせても平然とする平民育ちの子に我慢がならない。
学校に行かせず、悪評をばら蒔き、イライラのはけ口にする。
美しく澄ました顔が許せない。
悪い魔女『ロゼ』は、いっそ忌々しいティアの顔を焼き、体を傷つけてやりたかったが、アクアの目がありできなかった。
アクアはアクアで、ティアを商品とみていた。
あれだけ美しければ、男でも政略の道具になりえるだろうから。
だから、暮らしで虐げていたとしても、顔や体に傷を作ることは許さなかった。
そして、ティア=シャワーズは、エドワルド=ドロップ将軍閣下の妻にと差し出された。
突然体をおしやられ、リュージュは玄関から外に出された。
代わりに女がアクアの隣に立つ。
「旦那様、どうしましたか!」
「ああ、かわいそうにリュージュ。確かに私は昔、この女と関係があった。だが、君という縁ができて、結婚前に別れたのだ。おい、ローズ!お前とは別れたはずだ!今更屋敷まで押しかけてくるとはどういうことだ!」
(え?何が起こっているの…???)
「そんな、私がリュージュ、貴方の妻ではありませんか!子だってできたのに…!」
「お前がリュージュ??馬鹿も休み休み言いたまえ、私と結婚したいあまりに頭をおかしくしたのか?お前の髪の色は何色だ!」
「あ、赤い…!?」
誰にも自分がリュージュだと分かってもらえず、屋敷を追い出された。
硝子に映る顔は、あの女のもの。
あの女は魔女で、顔を入れ替えられたのだ。
おそらく初めから、旦那様はあの女と恋人だった。
初めから仕組まれていたんだ。
竜には呪いや魔法が効かないけれど、唯一、竜の雌は子を宿しているときだけその耐性が落ちる。
それを知っていて、そのためだけに子どもを作ったのだ。
父を殺された。
母を殺された。
お城を叔父に奪われた。
私が女の身で王族の力を承継し発現させていると分かっていたら、何をされたか分からない。
従兄弟の妻にされていたかもしれない。
ひたすら従順に、政略結婚の道具として大人しく。
利用価値があると思わせて、ただ、その時を待って…。
この国で幸せになれると思ったのに…。
ほっとしたのに。
行く当てもなく、街をうろつく。
あの女は有名な女だったらしい。
酒臭い男たちが私を舐めるような目で見て、声をかける。
「あんた…、ちょっと!」
酒場の前を通りかかり、男に絡まれて困っていた時、中から小太りの婦人が現れて追い払ってくれた。
「ありがとう、ございます…。」
「あなた、『ローズ』じゃないね…。」
おかみさんはこの顔の女の知り合いだった。
閉店した店の中で、温かいミルクがうれしい。
「そうかい、リュージュ様…。」
おかみさんは、魔除けの香を炊き、悪しき魔女の使い魔を予防すると、精霊に祈りを捧げ、話してくれた。
「私はローズと同郷でね。私にはそれほど力はないけれど、私たちは女神を奉り、精霊とともにある魔女の一族なのさ。とはいっても、本当に『魔女』と言えるほどの者はそういない。ローズも、多少占いができるほどの弱い力しかない子だった。彼女は本当に綺麗な子でね、心も優しかった。彼女には双子の妹がいたんだけどね、名前をロゼ。彼女は私から見ればそんなに見栄えが悪いとも思えないけど姉と比べて地味な顔をしていたのがコンプレックスだったみたいで、ちょっと被害妄想が激しい子だったね。それでも、ローズはロゼを大事にしていたんだが、ローズが得意のダンスで踊り子として私の酒場で働くことになった時、ロゼが私だって同じように踊れると騒ぎ出して……。断るとローズに場媚雑言をぶちまかしたんだ。そしてロゼはいなくなってしまった。私は予定通りローズを雇い入れて…、最近まで特に何とも思っていなかったんだけど……。もしかしたら、『ローズ』は『ロゼ』だったのかもしれないね。」
「まさか…!」
「顔を入れ替える魔法は、対象が死ねば永遠にその顔を自分のものとできる。実の姉を殺して、姉の顔と立場を奪ったんだろう。優しかったあの子が男を手玉にとるようになったのを見て、都会に毒されたのかと思ってたんだけどね。あんたの話を聞くとロゼだったとしか思えない。あんたを排除してそれで終わりにはしないはずだ。命が狙われるかもしれない。私でよかったら守らせておくれ。」
「……おかみさん、ありがとうございます。私に踊り子は無理ですが、裁縫や家庭教師なら自信があります。きちんと働きます。それと……実は私のお腹には子がいるのです。子を産めば、私も力が回復しますからどうかそれまででいいので、ここに置かせてくださいませんでしょうか。」
「もちろんだとも。その子から大きな加護を感じるよ。精霊の愛し子……いや、女神様の愛し子かもしれないね。きっとこの子がアンタの助けになるはずさ。」
恐ろしい女に追い詰められるように、仕事では時々邪魔が入り、生活は苦しい。
安泰だったフォックス王国も、王弟が兄夫婦を殺し、王位を奪ってしまった。
18になった第一王子とまだ7つの第二王子。
彼らがどうなったか、庶民では情報は得られない。
だがきっと、「男子」であれば………。
容易に想像がつく。
王女であった自分以上に、哀れなことになったであろう。
どこも同じか、とリュージュの胸は空虚に満ちた。
ほどなくして、頼りのおかみさんは苦しんで亡くなり、呪いや攻撃では亡くならないはずのリュージュは、生活苦に疲れて死んだ。
たった一人の、可愛い息子『ティア』を遺して。
侯爵家で生まれた子は、よりによって『ロゼ』に瓜二つで、アクアに似ていない子だった。
地味な容姿の赤毛の子。
リュージュが産んだ子と容姿を入れ替えるため、ティアを探したが、竜の子であり精霊の愛し子であるティアからは、どうやっても顔を奪うことはできなかった。
1人で離れで暮らさせても平然とする平民育ちの子に我慢がならない。
学校に行かせず、悪評をばら蒔き、イライラのはけ口にする。
美しく澄ました顔が許せない。
悪い魔女『ロゼ』は、いっそ忌々しいティアの顔を焼き、体を傷つけてやりたかったが、アクアの目がありできなかった。
アクアはアクアで、ティアを商品とみていた。
あれだけ美しければ、男でも政略の道具になりえるだろうから。
だから、暮らしで虐げていたとしても、顔や体に傷を作ることは許さなかった。
そして、ティア=シャワーズは、エドワルド=ドロップ将軍閣下の妻にと差し出された。
1,051
お気に入りに追加
1,461
あなたにおすすめの小説
【完結】僕はキミ専属の魔力付与能力者
みやこ嬢
BL
【2025/01/24 完結、ファンタジーBL】
リアンはウラガヌス伯爵家の養い子。魔力がないという理由で貴族教育を受けさせてもらえないまま18の成人を迎えた。伯爵家の兄妹に良いように使われてきたリアンにとって唯一安らげる場所は月に数度訪れる孤児院だけ。その孤児院でたまに会う友人『サイ』と一緒に子どもたちと遊んでいる間は嫌なことを全て忘れられた。
ある日、リアンに魔力付与能力があることが判明する。能力を見抜いた魔法省職員ドロテアがウラガヌス伯爵家にリアンの今後について話に行くが、何故か軟禁されてしまう。ウラガヌス伯爵はリアンの能力を利用して高位貴族に娘を嫁がせようと画策していた。
そして見合いの日、リアンは初めて孤児院以外の場所で友人『サイ』に出会う。彼はレイディエーレ侯爵家の跡取り息子サイラスだったのだ。明らかな身分の違いや彼を騙す片棒を担いだ負い目からサイラスを拒絶してしまうリアン。
「君とは対等な友人だと思っていた」
素直になれない魔力付与能力者リアンと、無自覚なままリアンをそばに置こうとするサイラス。両片想い状態の二人が様々な障害を乗り越えて幸せを掴むまでの物語です。
【独占欲強め侯爵家跡取り×ワケあり魔力付与能力者】
* * *
2024/11/15 一瞬ホトラン入ってました。感謝!
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

いつかコントローラーを投げ出して
せんぷう
BL
オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。
世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。
バランサー。
アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。
これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。
裏社会のトップにして最強のアルファ攻め
×
最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け
※オメガバース特殊設定、追加性別有り
.
【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。
N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間
ファンタジーしてます。
攻めが出てくるのは中盤から。
結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。
表紙絵
⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101)
挿絵『0 琥』
⇨からさね 様 X (@karasane03)
挿絵『34 森』
⇨くすなし 様 X(@cuth_masi)
◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。

俺の推し♂が路頭に迷っていたので
木野 章
BL
️アフターストーリーは中途半端ですが、本編は完結しております(何処かでまた書き直すつもりです)
どこにでも居る冴えない男
左江内 巨輝(さえない おおき)は
地下アイドルグループ『wedge stone』のメンバーである琥珀の熱烈なファンであった。
しかしある日、グループのメンバー数人が大炎上してしまい、その流れで解散となってしまった…
推しを失ってしまった左江内は抜け殻のように日々を過ごしていたのだが…???
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる