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もう我慢しない

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ただのカルスになり、会場に忍び込んだ。

会場に一際目を奪われる美しい人。

いくらか丸みを感じる。

記憶していたより、華奢。


だが間違いない。


団長。



「…………!」



彼の近くにいた王太子が他の王子と何か話している間に、彼の腕をとらえた。

何故こんなに簡単に。

彼に力を感じない。


人目につかないよう、彼を担いで屋根伝いに城を出て、拠点にしている適当な宿屋について、鍵をかけた。

「カルス。」

団長は、気づいていたらしい。
だから、大人しかったのか。


「お救いにあがりました。戻りましょう、国へ。」

「お前は何を考えているんだ!私は城へ戻る。お前は国へ帰れ!」

「あなたこそ何を?私は騎士団を辞め、姓を捨てて来ています。私の行動で国や一族が問われることはない。心配ご無用です。あなたは、国のためにまだ自分を犠牲にするつもりですか!」


「それが王族の努めだ。」

「不幸せになってほしくありません!」


「大丈夫だ。クレイは、大事にしてくれる…。」


頭がカッとなり、血が上る。


「絆されたんですか!………王太子のほうが、俺よりいいんですか?」


「………カルス?」


「好きです。学生の時から、初めて会った時から!」


宿屋のベッドに倒される。


久しぶりにみた部下は、雄の顔をしていた。


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