4 / 20
ベルの心
しおりを挟む
「おかあさま。どうしてぼくをおいていってしまったの。さみしいよ、おかあさま。」
幼い私が、闇の中で泣いている。
母を亡くしたばかりで、3歳くらい。
この頃の私は、ドレスを着て過ごしていた気がする。
男でも女でもある両方の性の特徴を持って生まれた私を、『どちらとして育てればいいか』両親は悩んだ。
とりあえず、政敵にならないことを強調するために姫の姿で育てようということになっていた。
年頃になり、どちら寄りなのか自認出来る頃になれば、決めればよくて。
それまでは行ったり来たりでもいいのではないかと。
もし将来的に男の姿で育てることになるのであれば、幼い頃の姫姿は、上二人が王子だったから自分が望んだことにすればいいと、父親は笑っていた。
意地悪な正妃様はいたけれど、第二妃さまはお母さまのお友達で優しくて。カイザーお兄様もいつもお菓子をわけてくれて、とっても幸せだったのに。
お母様が亡くなったその日、正妃様がいきなり宮にやってきて、顔は優しい顔をしていたけどとても怖くて、『かわいそうに、これからは私があなたの母ですよ。私の宮で暮らしましょうね。』そういって、僕を引っ越しさせた。
カイザーお兄様たちにも会えなくなって、お父様にもあまり会えなくなった。
ロワお兄様は、皆が見ていないところで意地悪するの。
体が弱いからって嘘つかれて、お茶会も出れなくて、ロワお兄様の代わりに宿題をやらされて、4歳も上の子の宿題をやるために、とっても勉強しないと行けなくて、辛かった。
正妃様がいうの。
僕の体はおかしいんだって。
男の子と女の子両方の特徴がある体。普通じゃない。こんな体でお友達にばれたら恥ずかしいからお友達は作らないほうがいいんだって。
お母様は身分が低くて、僕はお父様の子だけど要らない子なの。
お父様やお兄様たちの足手まといにならないように、いっぱい努力して、みんなのために役に立てるようにならなきゃ。
こんな体じゃ、誰もお嫁さんに来てくれないし、お嫁さんにも行けない。
独り立ちできなくて、お兄様たちにご厄介になるんだから。
11歳になって、僕は女の人に赤ちゃんを産ませることができないことが確定した。
だけど、生理も来なくて、女性としても未成熟で赤ちゃんが産めないんだって。
正妃様は、せっかく器量だけはいいのに子どもが産めないんじゃ役立たずだわ。とおっしゃった。
政略結婚の道具にもなりゃしないと。
このくらいから、私は男の姿をとるようになった。
王女として生活していれば、王子から政略結婚の打診がくる。けれど、私には赤ちゃんを産むこともできないし、普通の体ではなかったから。
王家の恥を晒さないように、王子として扱われるようになった。
そして14歳。
相変わらず初潮はこない。
当然胸のふくらみはなく、中途半端な棒のような自分の体。
ロワは18歳だった。
「ベル。あなた、役に立たない体なのだから、お兄様のために差し出しなさい。」
お兄様が気持悪かった。
痛くて、血も出たし、悲しかったけど。
お兄様の役に立てたと言われて、嬉しいと思うことにした。
そうだ。
ずっと嫌だったんだよ。
15歳になって、初めて外に出してもらえた。
カルス=イオ=ブルーローズ公爵令息。
正妃さまと違う公爵家の人。
青い髪がきれいで、ダークブルーの瞳が深い海のようで、背が高くてがっしりして、頼りがいがありそうな素敵な人と知り合うことが出来た。
友達になって、一緒に騎士団に入った。
騎士団長、副団長になり、ずっと一緒だったけど、秘密を抱えたまま辛かった。
体のことやお兄様とのことをカルスに知られた。
へいき、な顔をするしかないじゃない。
お父様が元気になって、
カルスとカイザーお兄様が何か色々やっていたみたい。
あの人たちが断罪されて自由になれた。
空虚。
幼い私が、闇の中で泣いている。
母を亡くしたばかりで、3歳くらい。
この頃の私は、ドレスを着て過ごしていた気がする。
男でも女でもある両方の性の特徴を持って生まれた私を、『どちらとして育てればいいか』両親は悩んだ。
とりあえず、政敵にならないことを強調するために姫の姿で育てようということになっていた。
年頃になり、どちら寄りなのか自認出来る頃になれば、決めればよくて。
それまでは行ったり来たりでもいいのではないかと。
もし将来的に男の姿で育てることになるのであれば、幼い頃の姫姿は、上二人が王子だったから自分が望んだことにすればいいと、父親は笑っていた。
意地悪な正妃様はいたけれど、第二妃さまはお母さまのお友達で優しくて。カイザーお兄様もいつもお菓子をわけてくれて、とっても幸せだったのに。
お母様が亡くなったその日、正妃様がいきなり宮にやってきて、顔は優しい顔をしていたけどとても怖くて、『かわいそうに、これからは私があなたの母ですよ。私の宮で暮らしましょうね。』そういって、僕を引っ越しさせた。
カイザーお兄様たちにも会えなくなって、お父様にもあまり会えなくなった。
ロワお兄様は、皆が見ていないところで意地悪するの。
体が弱いからって嘘つかれて、お茶会も出れなくて、ロワお兄様の代わりに宿題をやらされて、4歳も上の子の宿題をやるために、とっても勉強しないと行けなくて、辛かった。
正妃様がいうの。
僕の体はおかしいんだって。
男の子と女の子両方の特徴がある体。普通じゃない。こんな体でお友達にばれたら恥ずかしいからお友達は作らないほうがいいんだって。
お母様は身分が低くて、僕はお父様の子だけど要らない子なの。
お父様やお兄様たちの足手まといにならないように、いっぱい努力して、みんなのために役に立てるようにならなきゃ。
こんな体じゃ、誰もお嫁さんに来てくれないし、お嫁さんにも行けない。
独り立ちできなくて、お兄様たちにご厄介になるんだから。
11歳になって、僕は女の人に赤ちゃんを産ませることができないことが確定した。
だけど、生理も来なくて、女性としても未成熟で赤ちゃんが産めないんだって。
正妃様は、せっかく器量だけはいいのに子どもが産めないんじゃ役立たずだわ。とおっしゃった。
政略結婚の道具にもなりゃしないと。
このくらいから、私は男の姿をとるようになった。
王女として生活していれば、王子から政略結婚の打診がくる。けれど、私には赤ちゃんを産むこともできないし、普通の体ではなかったから。
王家の恥を晒さないように、王子として扱われるようになった。
そして14歳。
相変わらず初潮はこない。
当然胸のふくらみはなく、中途半端な棒のような自分の体。
ロワは18歳だった。
「ベル。あなた、役に立たない体なのだから、お兄様のために差し出しなさい。」
お兄様が気持悪かった。
痛くて、血も出たし、悲しかったけど。
お兄様の役に立てたと言われて、嬉しいと思うことにした。
そうだ。
ずっと嫌だったんだよ。
15歳になって、初めて外に出してもらえた。
カルス=イオ=ブルーローズ公爵令息。
正妃さまと違う公爵家の人。
青い髪がきれいで、ダークブルーの瞳が深い海のようで、背が高くてがっしりして、頼りがいがありそうな素敵な人と知り合うことが出来た。
友達になって、一緒に騎士団に入った。
騎士団長、副団長になり、ずっと一緒だったけど、秘密を抱えたまま辛かった。
体のことやお兄様とのことをカルスに知られた。
へいき、な顔をするしかないじゃない。
お父様が元気になって、
カルスとカイザーお兄様が何か色々やっていたみたい。
あの人たちが断罪されて自由になれた。
空虚。
0
お気に入りに追加
178
あなたにおすすめの小説

顔も知らない番のアルファよ、オメガの前に跪け!
小池 月
BL
男性オメガの「本田ルカ」は中学三年のときにアルファにうなじを噛まれた。性的暴行はされていなかったが、通り魔的犯行により知らない相手と番になってしまった。
それからルカは、孤独な発情期を耐えて過ごすことになる。
ルカは十九歳でオメガモデルにスカウトされる。順調にモデルとして活動する中、仕事で出会った俳優の男性アルファ「神宮寺蓮」がルカの番相手と判明する。
ルカは蓮が許せないがオメガの本能は蓮を欲する。そんな相反する思いに悩むルカ。そのルカの苦しみを理解してくれていた周囲の裏切りが発覚し、ルカは誰を信じていいのか混乱してーー。
★バース性に苦しみながら前を向くルカと、ルカに惹かれることで変わっていく蓮のオメガバースBL★
性描写のある話には※印をつけます。第12回BL大賞に参加作品です。読んでいただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします(^^♪
11月27日完結しました✨✨
ありがとうございました☆

歳上公爵さまは、子供っぽい僕には興味がないようです
チョロケロ
BL
《公爵×男爵令息》
歳上の公爵様に求婚されたセルビット。最初はおじさんだから嫌だと思っていたのだが、公爵の優しさに段々心を開いてゆく。無事結婚をして、初夜を迎えることになった。だが、そこで公爵は驚くべき行動にでたのだった。
ほのぼのです。よろしくお願いします。
※ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。

[完結]堕とされた亡国の皇子は剣を抱く
小葉石
BL
今は亡きガザインバーグの名を継ぐ最後の亡国の皇子スロウルは実の父に幼き頃より冷遇されて育つ。
10歳を過ぎた辺りからは荒くれた男達が集まる討伐部隊に強引に入れられてしまう。
妖精姫との名高い母親の美貌を受け継ぎ、幼い頃は美少女と言われても遜色ないスロウルに容赦ない手が伸びて行く…
アクサードと出会い、思いが通じるまでを書いていきます。
※亡国の皇子は華と剣を愛でる、
のサイドストーリーになりますが、この話だけでも楽しめるようにしますので良かったらお読みください。
際どいシーンは*をつけてます。
白い結婚を夢見る伯爵令息の、眠れない初夜
西沢きさと
BL
天使と謳われるほど美しく可憐な伯爵令息モーリスは、見た目の印象を裏切らないよう中身のがさつさを隠して生きていた。
だが、その美貌のせいで身の安全が脅かされることも多く、いつしか自分に執着や欲を持たない相手との政略結婚を望むようになっていく。
そんなとき、騎士の仕事一筋と名高い王弟殿下から求婚され──。
◆
白い結婚を手に入れたと喜んでいた伯爵令息が、初夜、結婚相手にぺろりと食べられてしまう話です。
氷の騎士と呼ばれている王弟×可憐な容姿に反した性格の伯爵令息。
サブCPの軽い匂わせがあります。
ゆるゆるなーろっぱ設定ですので、細かいところにはあまりつっこまず、気軽に読んでもらえると助かります。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
婚約破棄された婚活オメガの憂鬱な日々
月歌(ツキウタ)
BL
運命の番と巡り合う確率はとても低い。なのに、俺の婚約者のアルファが運命の番と巡り合ってしまった。運命の番が出逢った場合、二人が結ばれる措置として婚約破棄や離婚することが認められている。これは国の法律で、婚約破棄または離婚された人物には一生一人で生きていけるだけの年金が支給される。ただし、運命の番となった二人に関わることは一生禁じられ、破れば投獄されることも。
俺は年金をもらい実家暮らししている。だが、一人で暮らすのは辛いので婚活を始めることにした。
かくして王子様は彼の手を取った
亜桜黄身
BL
麗しい顔が近づく。それが挨拶の距離感ではないと気づいたのは唇同士が触れたあとだった。
「男を簡単に捨ててしまえるだなどと、ゆめゆめ思わないように」
──
目が覚めたら異世界転生してた外見美少女中身男前の受けが、計算高い腹黒婚約者の攻めに婚約破棄を申し出てすったもんだする話。
腹黒で策士で計算高い攻めなのに受けが鈍感越えて予想外の方面に突っ走るから受けの行動だけが読み切れず頭掻きむしるやつです。
受けが同性に性的な意味で襲われる描写があります。
貴族軍人と聖夜の再会~ただ君の幸せだけを~
倉くらの
BL
「こんな姿であの人に会えるわけがない…」
大陸を2つに分けた戦争は終結した。
終戦間際に重症を負った軍人のルーカスは心から慕う上官のスノービル少佐と離れ離れになり、帝都の片隅で路上生活を送ることになる。
一方、少佐は屋敷の者の策略によってルーカスが死んだと知らされて…。
互いを思う2人が戦勝パレードが開催された聖夜祭の日に再会を果たす。
純愛のお話です。
主人公は顔の右半分に火傷を負っていて、右手が無いという状態です。
全3話完結。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる