王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

おまけ

美人の妻を持つ夫は苦労する

「今日はお忍び～～～！」

重要な国際会議があって、南の国に来ています！

南国の王国サマー。



一年通して殆どを雪に覆われているウインター王国からすれば、南国は憧れの国だ。
当然皆行きたがった。

王太子として立派に公務をしている第一子のルカと王太子妃のオディールが留守を預かってくれるって言ってくれて、年をとったけれどまだまだお元気なスノー様とあられ様が娘たちを見てくれて…。


僕たちは今、サマーに降り立ってます！


……………というか、暑い～～～！



「アレックス、この日差しは僕たちには毒だ。このクリームを塗って、傘をさしていこう。みんな、露出している部分はしっかり塗って。」

スワン様がクリームを侍女に配って、ぬりぬり…。準備万端！



そう。

バカンスがてらに今日は大所帯です。


「クレイ、後で市場にいきたいな。南国フルーツをいっぱい食べて、種を買って帰らなくちゃ。」

リーフ様は小柄な体でぴょんぴょん飛び跳ねるようにはしゃいでいる。

スワン様も旦那様のリチャード様に自らクリームをぬりぬり。（この日差しで火傷しちゃうみたい。）


そして…………。



「うわあ！うわぁ！海っ、キラキラしてるっ！本当にお塩の匂いがするんだね！」

次男のサンドルがはしゃぐ視線のその先には、夫になったばかりのヤード。

「サンドル、はしゃぎすぎると転んでけがをしますよ。」



ふふふ、新婚旅行まだだったもんねぇ。
ルカの執事であるヤードは、責任感からか新婚旅行に行こうともしなかったし。

会議の前後の日程には余裕があるから、少しバカンスをしてもいいよね。

水着だって持ってきたし、この日のためにお腹のお肉をひっこめたんだからね！


――――でもその前に、暑いからお洋服がほしい。

涼しいお洋服が。

トラウザーズにシャツに革靴はしんどいよ。