王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

おまけ

寒い日の夜

うう………。

寒いよう。

ウィンター王国に来て王太子妃になって。
王妃になって。

何年経っても朝晩の寒さには慣れない。

床下は温泉の熱で暖かいし、寝るまでは暖房も効いているけど、寝るときに暖炉の火も消しちゃうし、暖まった空気も朝には冷えている。

こんなに寒いんだから、平民はもっとたいへんだ。
みんなの生活をより良くしないとね。


子どもたちは別の部屋で寝ていて、僕は頭の半分を毛布から出してキョロキョロ。

精霊のスカイとアークはいない。
僕が幸せになったから、2人は安心して、よく精霊界に帰るようになった。

うう。寒い。目が覚めた。というかトイレいきたい。


隣で寝ている旦那さま。
レナードはすやすや。


むー。



勇気を出してモコモコを着込んでうさちゃんスリッパでトイレにいく。

お漏らししなくてすんだ。

やっぱり勇気だいじ。


そーっと布団の中に帰る。

分厚い羽毛布団の下は暖かな毛布。



「おいで。」


うっすらと目を開けて、毛布の中で腕を広げてくれる。


「……起こしちゃった？冷たい空気入れちゃったかな。ごめんね。」

「今晩は１０年に一度の寒気らしい。」


「みんな大丈夫かなぁ。」

「冬ごもりで１週間くらい外に出なくても大丈夫なくらいの備蓄は、シェルターに完備してるから、国民は大丈夫なはず。もちろんうちもね。子どもたちは今夜はみんなでくっついて眠るって言ってたよ。」


冷たくなった足をレナードが自分の足に挟む。

「くっついていたら、すぐあたたかくなる。」


「うふふ。」






寒い夜は、あなたの腕の中。