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番外編 執事との恋
恋人
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壇上で気を失った主の弟を、その話題の執事がサッと助けた。
床に倒れる前に抱え、大事そうに愛おしげに抱き抱える。
「申し訳ございません。サンドル様は頑張りすぎるところがありまして、試験勉強同様、今日の準備を明け方までなさっておりまして。恒常的な寝不足だと思いますが、保健室へ運ばせていただいてもよろしいでしょうか。」
けして独りよがりではない。
互いを想い合っている姿に、学生たちは噂を鵜呑みにしてはいけないことを学び、サンドルの評価を変えた。
天才ではないかもしれない。
だが、それでも王族として立派であろうと努力する真面目な王子。
倒れる程の過剰な努力をさせるまでに追い込んだのは、彼を認めず、他の王族と比べてきた自分たちなのだと。
「お母様、いかがですか?18まで待たずとも、もういいではないですか。」
ルカはかわいい弟と自分の執事を見送って、保護者に混ざっていたアレックスにたずねた。
アレックスはハンカチで目を拭っている。
「そうだね。アレなら、認めるよ。卒業まで…………ああ、それは僕たちもいえないか。18までは最後までは許さないけどね。」
アレックスは自分とレナードの結婚した頃を思い出した。
18で結婚して、来年には20年。
早いなあ。
あの子が立派になってくれて、なんてうれしいことか。
床に倒れる前に抱え、大事そうに愛おしげに抱き抱える。
「申し訳ございません。サンドル様は頑張りすぎるところがありまして、試験勉強同様、今日の準備を明け方までなさっておりまして。恒常的な寝不足だと思いますが、保健室へ運ばせていただいてもよろしいでしょうか。」
けして独りよがりではない。
互いを想い合っている姿に、学生たちは噂を鵜呑みにしてはいけないことを学び、サンドルの評価を変えた。
天才ではないかもしれない。
だが、それでも王族として立派であろうと努力する真面目な王子。
倒れる程の過剰な努力をさせるまでに追い込んだのは、彼を認めず、他の王族と比べてきた自分たちなのだと。
「お母様、いかがですか?18まで待たずとも、もういいではないですか。」
ルカはかわいい弟と自分の執事を見送って、保護者に混ざっていたアレックスにたずねた。
アレックスはハンカチで目を拭っている。
「そうだね。アレなら、認めるよ。卒業まで…………ああ、それは僕たちもいえないか。18までは最後までは許さないけどね。」
アレックスは自分とレナードの結婚した頃を思い出した。
18で結婚して、来年には20年。
早いなあ。
あの子が立派になってくれて、なんてうれしいことか。
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