王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

竜鳴躍

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番外編 執事との恋

第二王子の恋

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欲しい人は、初めから兄のもので。

そして、僕は第二王子で彼は伯爵令息だった。



「サンドル。おいで。お兄さまが絵本を読んであげる。」

プラチナブロンドに緑の瞳の整った顔立ちの2歳年上のお兄さま。
お兄さまのこと、好き。
10歳にして、もうほとんど王太子教育も終わってる。
自慢の立派なお兄さま。
でも…………好きだけど、きらい。

「では、お茶を入れましょう。」
茶色の髪に茶色の瞳。
背筋がピンとして、僕より一回り年上の人。
お兄さま付きの執事のヤード=クリフォート伯爵令息。

「サンドル殿下は、オレンジジュースがよろしいですか?」

「は、はい!」

目の前でジャケットを脱ぎ、シャツの袖をまくってオレンジを絞ってくれる。

かっこいい………。


「おいしいですか?よかったです。」

「ねえ、ヤード。王子教育の算数が難しいの。教えて欲しいな……。」

「サンドル。算数ならば僕が教えようか?」

「ヤードがいいんですっ!」

「本当にサンドルは僕よりヤードに懐いちゃって。困ったものだ。そのうち、お前も執事が必要なのに選ばないらしいし。悪いがヤードはあげられないぞ?」

ぷう!






あれは僕が3歳で兄が5歳。
お母様は双子の妹のメリルとリリルを出産したばかりで、僕たちだけで初めての公務。

護衛の目をかいくぐって、僕たちに飛びかかってきた人がいた。


「王子たち!私の背に!」

カカカっ!

「ぎゃあ!」

ヤードはナイフを投擲して威嚇すると、あっと言う間にやっつけしまった。


その時に恋をしてしまった。



僕は第二王子。

彼は兄付きの執事なのに。

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