王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

竜鳴躍

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ウインター王国

ヤードの気持ち

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クリフォート伯爵家は領地といっても親族の住まう土地くらいで、それぞれが王家の使用人として働いている。

そういう家だ。

その中でも当主家は代々執事長や侍女頭を務めてきた。

だから自分もそうするのかなと思ってきた。



領民がいない領地でよかった、とヤードは思う。



クリフォート伯爵家は爵位と領地を王家に返還し、領地は王家直轄地とした。

元々王家に仕える一族を優遇するための爵位と領地だったので、王家直轄地になるのであれば、何も変わらない。
親族の爵位はそのままだし、親族にも了解は得られた。




切っ掛けは、アレックス様がさらわれたことだ。

周辺を強化するにあたって、やっぱり信頼できる身内がいるのが一番いい。

ルカ様の成長を見守るためにも。


まだ学園に入学してなくてよかったなぁ、とヤードは思った。


親しい友達がいたら、別れたくなくなってただろうなぁ。



将来、僕もお父様お母様のようにお城勤めになれるように頑張ろう。

そして、将来はルカ様につくんだ!



「ヤード、お茶の淹れ方はこう!」

「主の好み、体調を把握し、主が過ごしやすいよう支えるのが執事の勤め!」

「ヤードっ!近くに騎士がいない場合は身をていしてでもお守りするのが執事!そんなことでは執事にはなれないぞ!このカッコイイ執事の黒いジャケットを着たければ精進せよ!」


「はいっ!」


体術剣術投擲などの武術に加えて経営学、財産管理、医学、料理、裁縫等、執事が一流にならなければならないことは多岐にわたる。

執事オブ執事に僕はなるのだ!

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