王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

ウインター王国

精霊の王の夢

世界の西に位置するスプリング王国は、あらゆる災害にまみれた国だった。

ウィンター王国に隣接する北の方では、火山活動による地震や噴火、サマー王国に面した海の方からは津波。
雨量も多く洪水や冠水にも悩まされ、秋月国と向かい合う東の方は台風の通り道であり、ハリケーンにも見まわれる。


厳しい環境。

だが、まだ人々にそれを何とかする知恵はなく、ただただ人々は自然を畏れ、祈りを捧げた。


「今までの災害の記録から、何か分かることはないだろうか…………。」

レイナード王は奮闘していたが、毎年災害で国民は亡くなっていく。

人々は祈った。

そして、巫女 アレクサンドリアは祈りながら自分が神の贄になることを決めてしまった。

「レイナード様。私には祈ることしかできません。私が神の御許に行き、神様にお願いします。」


書き置きをして、川に身を投げた巫女。

レイナード王は彼女を愛していた。

亡骸を前に抱きしめて泣き、彼女の想いを無にしないように働きづめて彼も妻を娶らぬまま儚くなった。

心を打たれた精霊の王は、スプリング王国に加護を与えた。


そして、巫女が今度は幸せになるように、その魂を愛し子とした。




「アレクサンドリア。レイナードに出会えてよかったな。２人が幸せに生涯を終えること。それが私たち精霊の願いだよ。」


精霊の王様は、スカイとアークを通じて、いつも二人を見守っている。