王子様との婚約回避のために友達と形だけの結婚をしたつもりが溺愛されました

竜鳴躍

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ウインター王国

冷ややかな怒り

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「うふふ。アレックス様はいないわよ。あの子は弟が気に入っちゃったから。連れていっちゃった♡」

「どこへ。」


「うああああん!あああああ!」

「全く煩い!」

鳥籠の精霊たちと女の腕の中に捕まって泣きじゃくっているルカ。

交互に見て、怒りに震える。
部屋の外にいる騎士に目配せし、騎士は伝令に走った。

「どこかなんて知らないわよ。私はバカだから大事なことは教えてもらえないの。ねえ、あの子のことは忘れたらいいわよ。あの子の顔が好きだったの?しょうがないわねえ。」

目の前の女の顔が変わる。

アレックスの顔で下品に微笑み、女は胸を強調した。


「どう?この顔で、胸があるし、女のカラダよ?あなたが望むならずっとこのままでいても構わないわ!」


―――――秋月国の者には変装技術があり、忍び込んだり、諜報に長けた者がいると聞いたことがある。

この姉弟はそれだったのか。
だから、追い出したはずの城へ忍び込んで。

あの男は俺に化けていたに違いない。




気持ち悪い。




だが…………



目の端で人が集められたのを確認し、女に近づく。



「ああ。」


ふふ、と得意そうな女に触れ、レナードはルカをその腕から奪い、精霊の閉じ込められた籠を投げた。

「あっ!」



リチャードとクレイが女を拘束する。

「ああ♡あなたたちも良い男!ねえ、私のものにならない?」


「黙れメス豚。」

「最低最悪だな!」



あられ様は持っていた扇子をへし折る。
俺も同じ気持ちだ。


ルカをコンフォート公爵に抱いてもらい、クリフォートのお義父様と下がってもらう。
夫人たちの待つ部屋でルカは守ってもらおう。


「精霊たちの籠が開きません!」

「籠の鍵は弟が持っているもの!開かないわよ!」


「貸して!」

スワン王子はヘアピンを曲げてカシャッと開けた。


〈やっと出られた!〉〈レナード、アレックスが!〉

「精霊ならアレックスのところへいけるな!俺に場所を教えてくれ!そして、先に行ってアレックスを!」

精霊たちは光の筋を描きながらどこかへ向かう。
光は消えない。

ありがとう。


「秋月国に書状を!女を地下牢に閉じ込めておけ!」




アレックス。


必ず助けるから。
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